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第2話 レズふたり旅

#53 悶々タヌキ寝入り

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 みいが何をしようとしているのか。

 目を開けて確かめてみるまでもなかった。

 温かいものが寄って来る気配がしたかと思うと、乳首の先にふと何か固いものが触れたのである。

「あん」

 悩ましい声を上げたのは、杏里ではなく、みいのほうだった。

「やだ…。杏里さまの乳首…硬くなってる」

 杏里はどきりそした。

 図星だったからだ。

 さっきみいに舐められたせいで、乳首はふたつとも恥ずかしいくらい勃起してしまっている。

 これ以上はないくらいに固く、大きく膨らんでしまっているのだ。

「でも、いいんだもん。そのほうが」

 歌うように言って、みいが上半身を上下させ始めた。
 
 トイレでの行為の真逆である。

 今度は杏里が攻められているのだ。

 みいの小さいながら固いつぼみが、杏里の大きめの乳首を弾いた。

 乳首で乳首を転がすようにして、乳房をぐいぐい押しつけてきた。

 杏里の巨乳は、芯のない柔らかな豆腐のようなものである。

 たちまちその中心にお椀型をしたみいの乳房がめり込んだ。

 乳頭同士が正面からぶつかり合い、痺れるような快感のシグナルが杏里の背筋を駆け抜ける。

 ああ、だめ…。

 杏里は身体を固くしながら、奥歯をかみしめた。

 気持ち、いい…。

 このままじゃ、声が…声が漏れちゃうよ…。

「杏里、さまあ」

 喘ぎ声が大きくなるにつれ、みいの動きが速くなる。

「好きなのに…こんなに好きなのに…もう、バカ、バカ、バカあ」

 杏里の肩に両手ですがりつき、しきりに胸乳を押しつけてくるのだ。

 ありがと、みい。

 私も好きだよ。

 杏里は目頭が熱くなるのを覚えた。

 でもさ。

 どうしてそういうこと、起きてる時に言ってくれないの?

「みい、自分が情けない。浮気者の杏里さまのこと、こんなに好きになるなんて」

 みいは快感に身を震わせながら、なぜか泣いているようだった。

「けど、仕方ないよね。杏里さまにとって、みいは、ただの、ペットにすぎないんだもの」

 ちょ、ちょっと、ちょっとお。

 誰もそんなこと、言ってないじゃない!

 もう、こうしてはいられなかった。

 みいの愛を受け止めるなら、今だ。
 
 彼女の要らぬ心配を解消してやり、いよいよラブラブのカップルとしてふたり生まれ変わるのだ。

 杏里はぱっちり目を開けた。

 そして、乳房をすりつけているみいの顔を正面から見据えて、わざと明るい声で言った。

「あれ? みいったら、裸でなにやってんの?」

 とたんにみいの頬が真っ赤になる。

 飛びのくと、腕で胸を隠して杏里を睨みつけた。

「な、何にもしてません! もう、杏里さまの、い、いじわる! そ、そんな杏里さま、みい、き、嫌いです!」




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