そんなお口で舐められたら💛

戸影絵麻

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第2話 レズふたり旅

#44 危険がいっぱい

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 魚の群れの中を泳ぐようにして、通路を渡った。

 だが、きらびやかなショーウィンドウの並ぶその周辺には、すでにみいの姿はない。

 トイレの表示のある狭い通路に飛び込むと、床に何か落ちているのが視界に入ってきた。

 麦わら帽子。

 さっきまでみいがかぶっていたものである。

 まず、女子トイレに入ってみた。

 がらんとして、誰もいない。

「みい! みいったら、どこにいるの?」

 個室の中かもしれないと思い、大声で呼びかけてみたが、返事はない。

 仕方なく、ひとつひとつ扉を開けて中を確かめてみた。

 やはりどれももぬけの殻だ。

 鍵がかかっている個室はないから、みいはここにはいないことになる。

 一度外に出て、今度は男子トイレに飛び込んだ。

 小便用の便器の前に立ち、気持ちよさげに小用を足していたサラリーマンが、杏里に気づき、ぎょっとしたような顔をする。

 その拍子にペニスが勃起したのか、小便がズボンにかかり、

「あぎゃ」

 と悲鳴を上げた。

 杏里の巨乳とむき出しのムチムチの太腿が、瞬時に勃起中枢を刺激したに違いない。

「あの、女の子、見ませんでしたか? 水色のワンピ着た、ツインテールのかわいい子」

 男の惨状にかまわず、せかせかと杏里はたずねた。

 ズボンをびしょびしょに濡らしながら、サラリーマンが首を振る。

 どうやら杏里のミラクルバディから、視線を外せなくなってしまったらしい。

「そうですか。すみません。お邪魔しました」
 
 頭を下げて、男子トイレを後にする。

「あーん、どこいっちゃったんだろう?」

 通路に佇み、杏里は髪の毛を両手でくしゃくしゃかき回した。

 みいの最後の言葉が気にかかる。

 -杏里さま、鈍感過ぎます。みいの気持ちも知らないでー

 あれって、ひょっとして、と思う。

 愛の告白ってやつ?

 胸がドキドキする。

 カーッと顔が熱くなってくる。

 乳首がつんと固くなり、太腿の間がじわっと濡れてきた。

 思えばこの旅行中、ずっとすれ違いばかりだったのだ。

 いい雰囲気になると、みいの第二人格が登場して、すべてを台無しにしてしまう。

 その繰り返し。

 あー、せっかく相思相愛ってことがわかったのに。

 今度は私の気持ちを伝える番なのに。

 通路から立ち去ろうと、踵を返しかけた時だった。

 ふいにかすかな悲鳴を耳にした気がして、杏里はぴくりと足を止めた。

 気配が伝わってくる。

 どこからか、衣ずれの音がする。

 振り返ると、男子トイレと女子トイレの間に、もうひとつ大きな扉があるのが目に入ってきた。

 多機能付トイレ。

 赤ちゃん連れのお母さんたちが、中でおしめを替えたりできるよう、スペースを広くとったトイレである。

 あんまり扉が大きいので、壁かと思い、見落としていたのだ。

 音はその中から聞こえてくる。

 扉に近づき、引いてみた。

 鍵がかかっている。

「やめて」

 みいの声がした。

「ひどいこと、しないで」

 怯えている。

 なに?
 
 杏里は焦った。

 この中で何が起こってるの?

 扉と壁の間に、数ミリほど隙間がある。

 のぞくと、カンヌキ型の金属の棒が見えた。

 金具に上から落とし込むタイプの、きわめて簡素な鍵である。

 これならなんとかなるかも。

 杏里は耳の上で髪をまとめているヘアピンを抜いた。

 それを隙間に射し込んで、そうっとカンヌキを持ち上げていく。

 カチャン。

 カンヌキが外れる音がした。

 楽勝じゃん。

 杏里は小躍りした。

 私、ドロボーの才能あるかも!

 そろそろと扉を引いていく。

 徐々に中が見えてきた。

 そして、それを眼にしたとたん、杏里は危うく悲鳴を上げそうになった。

 ふつうのトイレの倍以上の広い空間。

 その奥に、ぽつんと洋式の便器がある。

 最初に目に飛び込んできたのは、真っ白な桃。

 つるつるすべすべの、どこかで見たことのある可愛い白桃だ。

「そ、そんな…」

 杏里の喉からうめきが漏れた。

「誰だ」

 と、黒い影がさっと杏里のほうを振り向いた。

 


 

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