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第2話 レズふたり旅

#33 杏里版『蜘蛛の糸』

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「す、すげえ」

「いいケツしてんな。こいつ」

「くう。太腿もたまらんぜよ」

「乳でけー。90センチはあると見た」

「むほっ。ガチでこいつパイパンじゃね? ビラビラまでモロに見えてるじゃん!」

「おい、あれだ。誰か、脚立を持ってこい」

 なんだか足元が騒がしい。

 獲物が手の届きそうなところまで落ちてきたせいで、群集のテンションは今やMAXだ。

 脚立ってなにそれ?

 この人たち、何するつもりなの?

 杏里は窓から両手でだらりとぶら下がったままである。

 もちろん、生まれたままの丸裸だ。

 黒人バイブは衝撃でどこかへ吹っ飛んだらしく、股間が夜風にすーすーする。

 なんとかでっぱりを探そうと、足先でカベを探ってみた。

 が、外壁はつるんとした素材でできていて、足掛かりになりそうなものは何もない。

「あったぜ、オヤジ」

 また声がして、足の下がにぎやかさを増した。

「おお、でかした。よし、そこに立てかけろ」

「誰から登る? この脚立じゃ、せいぜいふたりずつだぜ」

「じゃんけんで決めるか」

「ちょっと、あんたたち、あたしらはどうなるのよ?」

「あたしらって、おまえ、女じゃねーか」

「女だってさ、こんなとびきりのビッチ見たら、もう放っておけないよ。思わずレズっちゃいたくなるってもんさ。ねえ、みんな」

「そうだそうだ」

「わかったよ。じゃ、仲間に入んな。じゃ、行くぞ、最初はグー!」

 って、ちょっと、何の相談してるのよ! そこのあんたたち!

「やったあ! 勝ったよ! じゃあ、あたしから!」

 その声に乳房越しに下を見ると、脚立を真っ赤な髪のヤンキー風姉さんが嬉々として登って來るところだった。

「うそ。やだ」

 杏里が目を見開いた理由は、他でもない。

 ヤンキー姉さんが、右手にあの極太バイブをしっかり握りしめているのである。

 どうやら、杏里のお〇んこから外れてすっ飛んだバイブは、砂浜に落下して、彼女に拾われたらしかった。

「うししししっ! これであのビッチをヒイヒイ言わせてやるんだ。中をぐちゃぐちゃにかき回してね!」

「おっしゃあー! 2番はあたいだよーん!」

 続いて登ってきたのは、脚立が壊れそうなほど太った、相撲取りのような女である。

「あたい、今だからカミングアウトするけどさあ、実は、レズだったりしてえ。ムフフフフ」

 ま、マジで?

 青ざめる杏里。

 凶器片手の赤毛ヤンキーも嫌だが、レズの相撲取りはもっと勘弁してほしい。

 ええい、こうなりゃ、ヤケだ。

「みい! 聞こえてる? ねえ、みいったら!」

 杏里は窓に向けてまた叫び始めた。

「何でも言うこと聞くからさあ。奴隷にでも何でもなってあげるから、いい加減、助けてよォ!」



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