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第2話 レズふたり旅

#32 天国から地獄

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 伸縮自在のつり革につかまり、思う存分腰を上下する。

 最初こそ少し抵抗があったものの、リズムに乗ってくると、これがもうたまらなく快適だった。

 騎乗位の時と違い、不安定な男の腹の上で危なっかしくバランスをとる必要もない。

 男の意に任せて突き上げられるのではなく、自分でもっとも感じるところを好きなだけ刺激できる。

 ペニスがはずれて落っこちることを恐れる心配もない。

 更に興奮する要素は、大勢の観衆が窓の外に鈴なりになって、杏里を貪るように鑑賞していることだ。

 コテージの2階は、海に向かって傾斜した砂浜から見るとかなり高い位置にある。

 建物の中では2階だが、外から見上げると3階分くらいの高さになる。

 だから血にはやった輩が下から飛びついてくることもない。

 玄関の分厚い扉には鍵がかけてあるから、中に乱入されることもないはずだ。

 とにかく今は、気の済むまでみせつけてやればいい。

「あんあんあんあんっ」

 リズミカルにバイブを出し入れしながら、杏里は叫ぶ。

 黒光りするそれは、信じられないほど太く、まさに黒人のコックを模したのではないかと思われるほどだ。

 らせんを描くように尻を大きく回転させると、中で亀頭がGスポットのつぶつぶをこすり上げ、これがまたなんともいえず極上の快楽だった。

 我慢できなくなり、杏里は片手で吊り革につかまり、もう片方の手を自由にした。

 自由になったほうの手でさっそくたわわな乳房を揉みつぶしにかかると、

「おおーっ」

 と観衆の間からどよめきが起こった。

 片手で宙づりになり、バイブを秘所にずんずん突っ込みながら、己の乳房を愛撫しまくる全裸の少女。

 第三者から見れば、これこそエロスの極み。

 真夏の夜の淫夢と言えたに違いない。

 気をよくした杏里の右手が、乳房を離れ、今度は股の間に降りていく。

 極太バイブをくわえ込んだ襞の隙間からのぞくクリを弄ろうというのだった。

 杏里のクリは今や空豆大に充血し、勃起している。
 
 その変化は、乳首の勃起同様、はた目から見ても十分にわかるほどだ。

 指先が敏感な部分に触れた。

 包皮が剥けて、外に顔を出したピンク色の部分である。

「ああ、だめ」

 杏里の「だめ」は、たいていが真逆の意味だ。

「だ、だめ、杏里、そんなとこ、さわっちゃあ」

 などと言いながら、クチュクチュつんつん親指と人差し指で突起をつまんでは、苛めにいじめている。

 それが気持ちよくて、

「はああああああっ!」

 身体をびくんびくんと波打たせた時だった。

 反動で尻が半回転し、バイブが大きく傾いた。

「あっ!」

 悲鳴を上げた時には、もう遅かった。

 バイブがはじけ飛び、杏里の身体が窓の外に飛び出したのだ。

 吊り革がねじれ、あまりの痛みに左手が離れた。

「きゃっ!」

 落ちる!

 死に物狂いで伸ばした両手が、かろうじて窓の桟をつかんだ。

「うおおおおっ!」

 群集が足元に駆け寄ってくる気配。

 まずい。

 ここであの中に落っこちたら。

「助けて! みい!」

 大声を上げかけて、杏里ははっと息を呑んだ。

 これではみいの思うつぼではないか。

 あのドS女王様が、おいそれと助けてくれるはずがない。

 ふと、そう思ったのである。

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