上 下
58 / 475
第2話 レズふたり旅

#22 下ごしらえ

しおりを挟む
 バーベキューにブイヤベースのコンボで満腹になると、きっちり後片付けまで手伝わせてから、杏里は康夫を解放した。

「さ、よく働いたね。あんたはもう、帰っていいから」

「え? 泊まらせてくれるんじゃなかったのかよ?」

 不満そうに太い眉を吊り上げる康夫。

 しこたまビールを飲んだせいで、もともと赤銅色の顔が更に赤みを増している。

「なに勝手なこと言ってるのよ。残った缶ビール全部あげるから、さ、帰った帰った!」

 もとより杏里は一滴もアルコールは口にしていない。

 まだ未成年だし、ビールなんてどこがうまいかわからないからだ。

「こんな夜中にかよ。そりゃないぜ」

「家、すぐ近くじゃないの。さっきLINE交換してあげたでしょ。それでがまんしなさいよ」

 それでも未練たらしくぶつぶつ言っている康夫を、力づくでコテージから追い出した。

 杏里がここまでやっきになるのには、わけがある。

 杏里にとって、夜はこれからが本番なのだ。

 みいとふたりきりの夜を、むさくるしい男に邪魔なんてされたくない。

 その伏線として、自分は飲まないものの、こっそりみいにはアルコールを与えてあった。

 さすがにビールは飲まないだろうから、マンゴー味のトロピカルカクテルを、ジュースと称してそれとなく飲ませておいたのである。

 案の定、シャワー室から出てくると、みいはとろんとした目をして杏里に訴えてきた。

「みい、とってもおねむです。バッテリー充電しながら、寝ちゃいます」

 風呂上がりのみいは、薄いピンクのネグリジェを着ている。

 裾が短いので、可愛いパンティが半分見えている。

 しかも生地が薄いため、ノーブラの乳輪がくっきり透けてしまっているというサービスぶりだ。

「う、うん、そうだよね」
 
 杏里は作り笑いで答えた。

 みいの肢体に目が行ってはずせない。

 わあ、いいじゃん、いいじゃん。

 早く裸にして弄びたいよ。

 などと不謹慎なことを考えているせいだ。

「きょうはいろんなことがあったから、みいも疲れちゃったよね」

「はあい。寝室はお2階でしたっけ」

「そうだよ。お昼間に荷物置いたでしょ。いいわ、連れてってあげる」

 肩を貸して2階に上がり、手前の部屋にみいを寝かせた。

 自分は奥の部屋に入り、ベッドの端に腰かける。

 Tシャツとショートパンツを脱ぐと、ブラとパンティだけの姿になった。

 クローゼットの扉を開ける。

 扉の内側に貼られた鏡に、己の全身を映してみた。

 我ながらほれぼれする。

 少し食べ過ぎたせいで下腹がぽっこりしているが、そのほかは非の打ち所がない。

 杏里はバイセクシャルだが、基本的にはナルシストである。

 世界中の誰よりも、自分のことが好きでたまらない。

 特に顔と体が好きすぎるほど好きなのだ。

 だから、風呂上がりに裸になると、必ず自分のヌードに欲情する。

 欲情したからには、鎮めるための儀式が必要だ。

 ほてりを鎮めないと、頭に血がのぼって何も手につかなくなってしまうのだ。

 つき出したGカップのロケットおっぱい。

 後ろを映すと、パンティから半分顔を出した白桃のようなヒップが、格好よくつんと上を向いている。

 ああ、なんて可愛いの。

 ふふっ。

 この身体で、みいと絡み合う。

 わくわくしてきた。

 みいも可愛いけど、わたしも脱ぐとすごいんだ。

「ちょっとだけなら、いいかな。そう、みいが寝るまでなら」
 
 そう自分に言い聞かせると、杏里は鏡の中の分身を見つめながら、ゆっくりとブラのホックを外し始めた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

声劇・シチュボ台本たち

ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。 声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。 使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります) 自作発言・過度な改変は許可していません。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

おチンポ冷凍室

野田C菜
大衆娯楽
究極のオカマの物語 ~配下のラッキースケベ生活~

生意気な女の子久しぶりのお仕置き

恩知らずなわんこ
現代文学
久しくお仕置きを受けていなかった女の子彩花はすっかり調子に乗っていた。そんな彩花はある事から久しぶりに厳しいお仕置きを受けてしまう。

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

処理中です...