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第2話 レズふたり旅

#8 デンジャラス・ビーチ③

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 ほんの一瞬だったけど、みいを抱きしめることができて、杏里は満足だった。

 特に、みいの尖った乳首が杏里の柔らかな乳房にめり込む感触は、極上ものといえた。

 できることなら、水着を脱がせてお互い裸になり、心ゆくまで乳房をすりすりこすり合わせたいところである。

 が、いくらなんでもそれは早すぎるだろう。

 そう判断して今は我慢することにした。

 処女モードのみいはデリケートなのだ。

 行水の時パイずりしてくれたり、アナルで生け花をいけてくれたりしたあのみいとは別人格なのである。

「よおし、じゃあ、今度は私の番だよ。ちゃんと声で誘導してね」

「わかりました」

 タオルで目隠ししてくれながら、みいが笑った。

「がんばってくださいね。みい、早くスイカが食べたいです」

「任せなさいって」

 十分距離を取ったところで、

「よーい、はじめ!」

 みいの号令が聞こえてきた。

 棒切れを振りかざして、よたよた歩き始める杏里。

 くどいようだが、杏里は体の割に巨乳である。

 乳房の重さは相当なものだ。

 特に今は、首から下がった紐状のブラで支えているだけなのだから、不安定で仕方がない。

 下手に動くと乳首がポロリとはみ出してしまうのだ。

 だからどうしても歩みが慎重になる。

 更に乳房が左右にぶらぶら揺れるため、足取り自体、かなり危なっかしい。

「こっちですよー。そっちじゃないですよー」

 みいの声のほうに向かって進んでいるつもりなのだが、目隠しされているため、平衡感覚がうまく働かない。

「もっと右でーす。そんなことじゃ、いつまでたっても、スイカ、食べられませんよー」

 耳で聞くだけのみいの声は、背筋がうずうずするほど可愛らしい。

 澄んだ細い声なのだが、その芯になにやらまろやかなものがあって、耳にしているだけで心地よくなってくる。

 スイカを割るふりをして、もう一度抱きしめちゃおうかな。

 ふらふら歩きながら、ふとそんなことを思う。

 こうした些細なスキンシップの積み重ねが大切なのだ。

 まず、みいに私の肌を慣れさせておかないと…。

 そんな邪念が杏里の頭をよぎった時である。

 ふいに、

「きゃあっ」

 とみいが悲鳴を上げた。

 きゃあって、それなに?

 どういう指示なの?

 杏里は足を止めた。

「ご、ごめんなさい」

 再び、みいの声がした。

「あ、だ、だめです。そ、そんな…何を…。や、やめてください」

 なんだか、かなり困惑しているような声音である。

「どうしたの?」

 不吉な予感がして、杏里は目隠しのタオルを取り去った。

 次の瞬間、想定外の光景が、目に飛び込んできた。

 みいが、男に羽交い絞めにされている。

 いつからそこにいたのか。

 筋骨たくましい、プロレスラーのような巨漢だった。
 
 角刈りの頭。

 黒いサングラス。

 見事に日焼けした肌は、なめし皮のようにてらてら光っている。

 沖でサーフィンに興じていた若者たちのうちのひとりに違いない。

「人にぶつかっといて、それはねーだろ? 姉ちゃん」

 にたにた笑いながら、男が言った。

「それにあんた、やってほしいんだろ? だからそんなきわどい水着着てるんだろ?」

「ううう」

 杏里は番犬のようにうなり声を上げた。

 背後から抱きしめるついでに、男の太い指が水着の上からみいの乳首をもてあそんでいる。

 乳首をつまんだりひっぱったりしながら、同時に手のひらで乳房を愛撫しているのだ。

「ちょっと、何なのよ、あんた」

 かっと頭に血がのぼって、気がつくと杏里は大声で怒鳴っていた。

 さっきのガキどもといい、ここは民度の低い輩が多すぎる。

「みいを放しなさい。私が相手になるから」

 男の顔がこっちを向いた。

「ほほう」

 感心したように、口を丸く開ける。

「こりゃまた、すごいボインちゃんのお出ましだな。おまえら、連れなのか?」

 ボインちゃん?

 なにそれ?

 すでに死語でしょ、そんなもん。

「みいは私の恋人なの。誰にも触らせない」

「ぐは。そのデカおっぱいでおまえ、レズビアンなのか?」

 男がわざとらしくのけぞった。

「いいからみいを放してあげて。なんなら私が代わりになるから」

「いいのか? そうだな。ロリもいいが、巨乳も捨て難いな」

 男がみいを砂の上に突き飛ばした。

「女より男のほうがずっといいってこと、思い知らせてやるぜ」

 ヒグマみたいに両腕を差し上げ、のっしのっしと近づいてくる。

「杏里さま…」

 砂浜に横座りになったみいが、杏里のほうを見つめて今にも泣き出しそうな声で言う。

「大丈夫よ。私なら慣れてるから」

 杏里はみいにウインクしてみせると、やにわにブラの紐に指をかけた。

「さあ、寄っておいで。気持ちいいもん、たっぷり触らせてあ・げ・る」



 

 

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