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第1話 美少女ペットみい

#9 ペットの特技

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「植木ばさみ、ありますか?」

「えっと、庭の納屋にあったと思うけど。そんなもの、何に使うの?」

「ご主人様は、お湯を沸かしてお待ちください。すぐ戻りますから」

「お湯? この暑いのに?」

 全裸のまま、庭に降りていってしまった少女を見送ると、仕方なく杏里は台所で鍋に水を張り、言われた通り湯を沸かしにかかった。

「お待たせしました」

 10分ほどして戻ってきた少女を見ると、色とりどりの花を入れたポリバケツを提げていた。

 杏里の家の庭は自然の宝庫である。

 あちこちに咲く花を、手当たり次第に切って持ってきたらしい。

 縁側に面した和室のちゃぶ台の上に新聞紙を敷き、そこに花を並べると、少女が言った。

「お湯の入ったお鍋を、ここに」

「まさか、その花、おひたしにして食べるつもりじゃないでしょうね」

 半ば呆れ気味に訊くと、

「違います。お湯は、消毒用です」

 杏里が運んできた鍋に、少女は切り花を一本ずつ、切断面を下にしてお湯につけ始めた。

「ねえ。どうしてこれが夏の課題になるのかな? いい加減、教えてくれてもいいんじゃない?」

 たまりかねてたずねると、

「華道です。私、前のご主人様に、生け花、習ったことがあるんです。ペットとはいえ、日本人の女である以上、日本文化を身につけなきゃいけないよ、って言われて」

 根元を消毒した切り花を並べながら、少女が答えた。

「あ、生け花かあ。いいね、それ。ナイスかも」

 手を叩いて喜んだものの、そこで杏里はハタと気づいた。

「でも、うちには剣山も花瓶もないんだけど」

 養父の小田切も杏里も、およそ風流にはほど遠いドライな性格なのだ。

 ここへ越してきてから半年以上になるが、その間、花を飾ったことなど一度もない。

「大丈夫です。花瓶の役は、私がやりますから」

 すべての花を消毒し終えると、少女がまじめな口調でそう言った。

「は?」

 花瓶の役?

 何それ?

 きょとんとする杏里。

 新聞紙に包んだ花を畳の上に置き、お湯の入った鍋も部屋の隅に片づけると、少女がちゃぶ台の上を布巾で拭き始める。

「スマホの準備をお願いします」

「今度は、スマホ?」

「記録撮影用です。写生するより、写真を撮ったほうが早いですから」

「そっか。そうだよね」

 杏里はショートパンツの尻ポケットから、スマホを取り出した。

「では、行きます」

 少女が、やにわにちゃぶ台の上によじ登った。

 胸を台につけ、高々と尻を上げ始める。

 ほぼ垂直に近い位置まで尻を上げると、首をねじって杏里を見つめ、少し苦しそうな声で言う。

「さあ、私を花瓶だと思って、お花を生けてください。まずは、ユリとひまわりの取り合わせなどが、よろしいのではないかと思います」

「生けるって、どこに…?」

「ここ、です」

 プリプリと尻を振る少女。

「みいの、アナルとおまんこに、です」

「…え…?」

 杏里の目が点になる。

「い、生け花を習ったって、こ、こういうことだったの?」

「早くしてください」

 少女がせかすように言った。

「みいの得意のポーズは、これだけじゃないんですから」

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