97 / 99
#97 〇〇〇爆弾④
しおりを挟む
落ちていくよだかは次第に光を放ち始めた。
作品のラストシーンをなぞって、星になっているのだ。
今のよだかは、いわば流星爆弾だった。
又三郎が空を振り仰ぎ、何か叫んだようだった。
その懐に飛び込むように、一筋の光が突き刺さる。
「やった!」
ダーク=トルストイ、いや、今となってはカンパネルラとなった少年が、快哉の叫び声を上げた。
「ガラスのマントが砕けたぞ! よだか爆弾が、バリアを打ち破ったんだ!」
その時にはすでに、私は砲塔の風防ガラスを開け、銀河鉄道の鼻先によじ登っていた。
「次は私の番! 白黒つけるから、このまま列車をMに衝突させて!」
両手をメガホンにして、叫び返した。
よだかに続き、銀河鉄道それ自体も爆弾として使う。
それが私の考えた計画なのだ。
そして、奥の手はー。
「わかった。やってやるよ。どうせカンパネルラはこの銀河鉄道を降りたら死ぬんだ。特攻して死んだところで同じことさ」
風に逆らって、カンパネルラの声が途切れ途切れに聞こえてきた。
私は銀河鉄道の鼻先にまたがった。
正面から吹きつけてくる烈風に、眼を開けているのもひと苦労だ。
線路は大きく弧を描き、いったん地上すれすれまで下がった後、急角度で上昇している。
正直、ジェットコースターは大の苦手だけれど、この際文句を言ってもいられない。
次の山の向こうが、魔王M-風の又三郎の立つ街である。
頂点まで登り切ると、魔王の真っ黒な巨体と、驚愕に歪んだ顔が視界に入ってきた。
銀河鉄道が坂を下り始め、速度がマックスに達した瞬間、私は列車の屋根を蹴って宙に飛び出した。
「賢治お兄ちゃん! トシはここだよ! もう悲しむことなんてないんだよ!」
作品のラストシーンをなぞって、星になっているのだ。
今のよだかは、いわば流星爆弾だった。
又三郎が空を振り仰ぎ、何か叫んだようだった。
その懐に飛び込むように、一筋の光が突き刺さる。
「やった!」
ダーク=トルストイ、いや、今となってはカンパネルラとなった少年が、快哉の叫び声を上げた。
「ガラスのマントが砕けたぞ! よだか爆弾が、バリアを打ち破ったんだ!」
その時にはすでに、私は砲塔の風防ガラスを開け、銀河鉄道の鼻先によじ登っていた。
「次は私の番! 白黒つけるから、このまま列車をMに衝突させて!」
両手をメガホンにして、叫び返した。
よだかに続き、銀河鉄道それ自体も爆弾として使う。
それが私の考えた計画なのだ。
そして、奥の手はー。
「わかった。やってやるよ。どうせカンパネルラはこの銀河鉄道を降りたら死ぬんだ。特攻して死んだところで同じことさ」
風に逆らって、カンパネルラの声が途切れ途切れに聞こえてきた。
私は銀河鉄道の鼻先にまたがった。
正面から吹きつけてくる烈風に、眼を開けているのもひと苦労だ。
線路は大きく弧を描き、いったん地上すれすれまで下がった後、急角度で上昇している。
正直、ジェットコースターは大の苦手だけれど、この際文句を言ってもいられない。
次の山の向こうが、魔王M-風の又三郎の立つ街である。
頂点まで登り切ると、魔王の真っ黒な巨体と、驚愕に歪んだ顔が視界に入ってきた。
銀河鉄道が坂を下り始め、速度がマックスに達した瞬間、私は列車の屋根を蹴って宙に飛び出した。
「賢治お兄ちゃん! トシはここだよ! もう悲しむことなんてないんだよ!」
0
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。

皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~
桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」
ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言?
◆本編◆
婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。
物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。
そして攻略者達の後日談の三部作です。
◆番外編◆
番外編を随時更新しています。
全てタイトルの人物が主役となっています。
ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。
なろう様にも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる