転生悪役令嬢は、どうやら世界を救うために立ち上がるようです

戸影絵麻

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#69 接触③

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「つまりさ、アグネスは、本当に君が”M"のスパイだと信じてるんじゃないかってことだよ。だから、王子の提案にもあえて異議を唱えなかった。図書館にひそむ”M”の密偵を特定し、あわよくば君の化けの皮を剥がすためにね」

「そんな、濡れ衣だよ」

 私は憤然となった。

「クリス、いえ、私がそんなことするわけないじゃない」

「まあね。俺も君のこと、信じたいのはやまやまだけど…。とにかく、ここは王子の計画に乗っかって、王立図書館に潜入するしかないんじゃないかな。君が正しいのなら、必然的にそこで潔白を証明できるわけだしさ」

 ソロの言うことは、もっともである。

 ただ、正直、怖かった。
 
 得体のしれない魔王の手先と、ひとりで対面するなんて。

 そこで私は彼に頼み込むことにした。

「わかったわ。じゃ、あんたもついてきてよ。物陰にでも隠れて見ててくれればいいからさ、でもって、危なくなったら助けてほしいの」

「俺が?」

 ソロが目をしばたたいた。

「うん。だって、この世界には、頼れそうな人、もうあんたしかいないんだもの」

 色っぽくしなをつくって、私は言った。
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