転生悪役令嬢は、どうやら世界を救うために立ち上がるようです

戸影絵麻

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#36 謀略①

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「わかったわ。信じる」
 
 私はため息混じりに言った。

 確かにこんなこと、ふつうのねずみにできることではない。

「だから、教えて。ここがどこで、何がどうなってるのか。ただし、手短にね。いつまた牢屋番がやってくるか、知れないから」

「はい。元からそのつもりでした」

 澄ました顔で答えるねずみ。いや、女神。名前はなんだっけ。確か、リリスとか言ってたな。

「ここは、あなたのいた世界とは別の”世界線”にある、モルディア王国。アスガイア大陸の西に位置しています」

「アスガイア大陸?」

 そんなの、聞いたことないけど、ま、異世界だから、あたりまえか。

「この惑星には、アスガイア大陸と、北氷河大陸、南氷河大陸の3つの大陸があり、人間族はすべてこのアスガイア大陸に住んでいます」

 大陸が3つ?

 なんてうらやましい。

 こりゃ、地理の勉強が楽そうじゃん。

「それで、あなたの立場ですが、これは明らかにえん罪です。クリスティーヌ=ロックハートは、すなわち、罠にかけられたというわけです」

「張本人は、誰?」

 うすうす見当はついてたけど、念のため、訊いてみた。

「あなたを陥れたのは、もちろん、彼女、従姉のアグネス。目的は、王妃の座に自分が座ること。これは、長年にわたる彼女の計画だったのです」

 リリスの言葉に、私の中で怒りの炎がメラメラと燃え上がった。

 やっぱり、あの女だったのか。

 くそう、許さない!
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