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#9 審判③
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「そして、もうひとつ」
私が言い返す言葉をなくし、オタオタしていると、柚木先生似の王子が横から強い口調で言い放った。
「クリス、おまえとの婚約はなかったものとする。明日にでも私は、臣民の前でおまえとの婚約破棄とアグネスとの婚約を発表するつもりだ。栄えある王家の血統に悪人の血を入れるわけにはいかぬからな。おまえはうわさにに聞く悪役令嬢そのものだ。まさに地下牢で生涯を終えるのがふさわしい」
婚約?
私が柚木先生、もとい、この王子様と?
でもって、あっという間に婚約破棄?
しかも、この私が、悪役令嬢だって?
なんだか、悲しくなってきた。
前に、柚木先生に告白して振られた夢を見たことがあるけれど、その時と同じくらい…。
「もうよい、目障りだ。連れていけ」
人の気も知らず、重々しい口調で王様が命令した。
「その者を地下牢に連行しろ。400年の間、絶対に外に出すでないぞ」
カチャカチャと金属音を響かせて、どこからか甲冑で身を固めたサイボーグみたいな一団が現れた。
ロボットのアームみたいな腕が伸びてきて、私の肩をがっしりとつかんだ。
ちょっと、やめてよ! 痛い! 痛いってば!
夢ならここで醒めるはずなのに、いっこうにその気配はなかった。
カーペットの上を、ずるずる引きずられていく私。
通廊の窓が鏡となり、その様子を克明に映し出している。
その時になって、初めて私は気づいた。
うそ。
私ってば、ドレス着てるし。
それに、名古屋嬢みたいなあの髪型。
私のセーラー服とショートボブはどこ行ったの?
ここまでくると、さすがに最初の予測を認めざるを得なかった。
私、やっぱり、異世界に転生しちゃったんだ!
たぶん、クリスティーヌ=ロックハートとかいう王子の元婚約者の頭の中に、意識だけ。
うはあ、やべーよ。
無実の罪で、懲役400年の地下牢暮らしだよ!
んもう! これ、ガチでやばすぎだって!
私が言い返す言葉をなくし、オタオタしていると、柚木先生似の王子が横から強い口調で言い放った。
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婚約?
私が柚木先生、もとい、この王子様と?
でもって、あっという間に婚約破棄?
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なんだか、悲しくなってきた。
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ちょっと、やめてよ! 痛い! 痛いってば!
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その時になって、初めて私は気づいた。
うそ。
私ってば、ドレス着てるし。
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ここまでくると、さすがに最初の予測を認めざるを得なかった。
私、やっぱり、異世界に転生しちゃったんだ!
たぶん、クリスティーヌ=ロックハートとかいう王子の元婚約者の頭の中に、意識だけ。
うはあ、やべーよ。
無実の罪で、懲役400年の地下牢暮らしだよ!
んもう! これ、ガチでやばすぎだって!
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