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Vol.2 俺の名前はタロウ②
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ピロリン
ベットに埋もれながら寝ていた僕は、スマホの通知の音で起こされた。
昨日の告白が誰かにバレて、冷やかしのチャットが来たのだろうか?嫌な予感がして即座にスマホを確認する。
画面にはチャットアプリの通知で「ご当選おめでとうございます」と表示されていた。
明らかに身に覚えのないチャット通知に不信感を半分、冷やかしの連絡ではないことへの安堵感半分で、僕はベットから起き上がった。スマホの画面には10:00と時間が表示されていて、起きるにはちょうどいい時間だったのだ。
部屋から出ると、父母はすでに出社していた。両親は共働きなので、二人とも僕にはあまり時間を割いてくれない。それが心地よかったりもする。
ピンポーン、呼び鈴が鳴り、インターホンを確認するとお届け物でーすと元気のよい声がスピーカー越しに聞こえた。めんどくさいなと少し思いながら、宅急便を受け取る。荷物は小さな段ボールでお届け先には田中太郎様と書いてあった。
僕って何かネットで注文したんだっけ、不思議に思いながら段ボールを開けるとMINEテスター当選おめでとうございますという文言とQRコードが表紙に印刷された説明書のような本、そして肌色の5cmx5cmほどのシールの中央に黒い直径2cmの機械が付いたピップエ〇キバンのようなものが入っていた。
不審に思いながらも説明書を読み進める。
テスター当選おめでとうございます。株式会社MINEから、無償でMINEを送付させていただきました。QRコードを読み込みセットアップを完了してください。理想のあなたへ成長するお手伝いをさせていただきます。
MINE、最近話題の次世代サービスだ。テレビで存在を聞いていたが、実際に目にしてみるとうさん臭さをどうしても感じてしまう。
そういえばとスマホを取り出してみる。
案の定、今朝僕を起こした通知もMINEのテスター当選についてのお知らせだった。
「噂通り個人情報筒抜けすぎでしょ。。。」
僕はMINEが当然のようにチャットのアカウントと住所を把握していり事に恐怖を覚えたが、理想の自分へ成長するという文言に惹かれ始めていた。
昨日を含め、今までの人生で感じたみじめな場面が走馬灯のように駆け抜ける。
小学校では、2人組のペアでいつも最後の一人になってしまっていた。
中学校では、明確にクラスのカースト下位と判断され、誰も僕に話しかけてくれなかった。
高校では、、、昨日の仕打ちだ。
こんな自分を変えたい、意を決して僕はQRコードをスキャンした。
白い画面に黒い字でMINEの文字と、ようこそ、田中太郎さんの文字が浮かぶシンプルなホームページに飛ばされた。
驚いたことに、名前の下には僕のTwitterを含めたすべてのSNSの情報や、インターネットショッピングのアカウント名が既に記載されていた。
MINEは、インターネット上のほぼすべての個人情報にアクセスすることができる。そのため、インターネット上の個人情報をつなぎ合わせて人間性を分析、現在の性格と本人が潜在的に憧れている理想の性格を特定する。
次に現在の性格から、理想の性格へ移行するサポートをA.I.が行い、人類全員が自分らしく生きるサポートをする画期的なアプリケーション。という話は何度もテレビで紹介されていたが、実際に自分の個人情報の筒抜け具合を目にしてみるとくらくらする。
スマホの画面いっぱいの僕の個人情報の羅列を確認した後、ホームページの一番下には、上記のアカウント情報が自分のもので正しい場合は、太郎さん専用のA.I.を作成します。次のページへお進みください。と記載されていた。
次への文字をタップすると画面にはA.I.作成中(0%)という文字が表示され、その下に小さく、同封の説明書を参照し、MINEの装着をお願いします。と書いてあった。
説明書を読み進めたが、簡単に言うと以下のことが書かれていた。
・人類全員が理想の自分を実現して、楽しい人生を過ごせることを目標にMINEはサービスを運営している。
・国と連携し、全ての個人情報へアクセスしているがMINE事業以外には使用しないことを誓う。
・MINEサービスは、スマホとMINEシールの連携で成り立つ。(MINEシールとは、同封されていたピップエ〇キバンのようだ)
・MINEシールは一度耳の裏に付けてしまえば簡単には取れず、防水機能もあるため外さずに日常生活を送る事ができる。
・先行テスターの情報は、個人情報が特定されない範囲でMINEサービス品質向上に使用する。
説明書を読み終わり、MINEシールを耳の裏に付け終わると同時に、ピロンッとスマホが鳴った。
画面にはA.I.作成完了の文字が表示されていた。
「俺の名前はタロウ、よろしくな!」
突然、声が聞こえた。
ベットに埋もれながら寝ていた僕は、スマホの通知の音で起こされた。
昨日の告白が誰かにバレて、冷やかしのチャットが来たのだろうか?嫌な予感がして即座にスマホを確認する。
画面にはチャットアプリの通知で「ご当選おめでとうございます」と表示されていた。
明らかに身に覚えのないチャット通知に不信感を半分、冷やかしの連絡ではないことへの安堵感半分で、僕はベットから起き上がった。スマホの画面には10:00と時間が表示されていて、起きるにはちょうどいい時間だったのだ。
部屋から出ると、父母はすでに出社していた。両親は共働きなので、二人とも僕にはあまり時間を割いてくれない。それが心地よかったりもする。
ピンポーン、呼び鈴が鳴り、インターホンを確認するとお届け物でーすと元気のよい声がスピーカー越しに聞こえた。めんどくさいなと少し思いながら、宅急便を受け取る。荷物は小さな段ボールでお届け先には田中太郎様と書いてあった。
僕って何かネットで注文したんだっけ、不思議に思いながら段ボールを開けるとMINEテスター当選おめでとうございますという文言とQRコードが表紙に印刷された説明書のような本、そして肌色の5cmx5cmほどのシールの中央に黒い直径2cmの機械が付いたピップエ〇キバンのようなものが入っていた。
不審に思いながらも説明書を読み進める。
テスター当選おめでとうございます。株式会社MINEから、無償でMINEを送付させていただきました。QRコードを読み込みセットアップを完了してください。理想のあなたへ成長するお手伝いをさせていただきます。
MINE、最近話題の次世代サービスだ。テレビで存在を聞いていたが、実際に目にしてみるとうさん臭さをどうしても感じてしまう。
そういえばとスマホを取り出してみる。
案の定、今朝僕を起こした通知もMINEのテスター当選についてのお知らせだった。
「噂通り個人情報筒抜けすぎでしょ。。。」
僕はMINEが当然のようにチャットのアカウントと住所を把握していり事に恐怖を覚えたが、理想の自分へ成長するという文言に惹かれ始めていた。
昨日を含め、今までの人生で感じたみじめな場面が走馬灯のように駆け抜ける。
小学校では、2人組のペアでいつも最後の一人になってしまっていた。
中学校では、明確にクラスのカースト下位と判断され、誰も僕に話しかけてくれなかった。
高校では、、、昨日の仕打ちだ。
こんな自分を変えたい、意を決して僕はQRコードをスキャンした。
白い画面に黒い字でMINEの文字と、ようこそ、田中太郎さんの文字が浮かぶシンプルなホームページに飛ばされた。
驚いたことに、名前の下には僕のTwitterを含めたすべてのSNSの情報や、インターネットショッピングのアカウント名が既に記載されていた。
MINEは、インターネット上のほぼすべての個人情報にアクセスすることができる。そのため、インターネット上の個人情報をつなぎ合わせて人間性を分析、現在の性格と本人が潜在的に憧れている理想の性格を特定する。
次に現在の性格から、理想の性格へ移行するサポートをA.I.が行い、人類全員が自分らしく生きるサポートをする画期的なアプリケーション。という話は何度もテレビで紹介されていたが、実際に自分の個人情報の筒抜け具合を目にしてみるとくらくらする。
スマホの画面いっぱいの僕の個人情報の羅列を確認した後、ホームページの一番下には、上記のアカウント情報が自分のもので正しい場合は、太郎さん専用のA.I.を作成します。次のページへお進みください。と記載されていた。
次への文字をタップすると画面にはA.I.作成中(0%)という文字が表示され、その下に小さく、同封の説明書を参照し、MINEの装着をお願いします。と書いてあった。
説明書を読み進めたが、簡単に言うと以下のことが書かれていた。
・人類全員が理想の自分を実現して、楽しい人生を過ごせることを目標にMINEはサービスを運営している。
・国と連携し、全ての個人情報へアクセスしているがMINE事業以外には使用しないことを誓う。
・MINEサービスは、スマホとMINEシールの連携で成り立つ。(MINEシールとは、同封されていたピップエ〇キバンのようだ)
・MINEシールは一度耳の裏に付けてしまえば簡単には取れず、防水機能もあるため外さずに日常生活を送る事ができる。
・先行テスターの情報は、個人情報が特定されない範囲でMINEサービス品質向上に使用する。
説明書を読み終わり、MINEシールを耳の裏に付け終わると同時に、ピロンッとスマホが鳴った。
画面にはA.I.作成完了の文字が表示されていた。
「俺の名前はタロウ、よろしくな!」
突然、声が聞こえた。
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