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三男坊の正体は‥

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創立記念日当日。

祝賀行事は夕方からとなっていた。
家はアリサの準備で慌ただしかった。
ドレスをチラリと見たが、真っ赤で裾にはフリルが施されている。
金色のリボンが何ヶ所か付けられていて、センスを疑うような仕上がりだ。
確かに目立つわね‥‥

ララが部屋に私を呼びに来た。

「学園のサリー様がいらしています」

「ああ、衣装を持って来られたのね。今行くわ」

サリー先生の元へ行くと何も持っていない。

「先生、式典用の衣装をお持ちくださったのではないのですか?」

「あなたを迎えに来たわ」

「?」

「ボルヴァンド侯爵様、イザベラさんは先に連れて行かせてもらいますね。学園の準備を手伝っていただきますので」

「ああ、勝手に連れて行ってくれ。今我が家は忙しいんだ」

サリー先生は、私の手を引くと馬車に乗せ王宮に向かった。

王宮に着くと大勢のメイド達が私を出迎えてくれて、部屋に案内される。

⁈皆、王宮で衣装を着替えるのかしら‥‥

メイド達は手慣れている。
私に着せられたのは、アイスブルーの美しいドレスだった。
細かな刺繍も施され手が込んでいる。
一人ずつにこんな手間のかかる衣装を用意するものかしら‥‥
不思議に思っていると、

「これは大変貴重なアイスブルーダイヤモンドです」

そう言って大きなダイヤのネックレスを着けられた。
この色‥‥ハーラルの瞳の色と同じだわ‥

あ!!!!
ハーラルに何も言わずに来てしまったわ!
一緒に参加すると言ったのに、迎えを待たずに王宮に先に来てしまったわ‥
どうしましょう‥‥


ガチャ
戸が開く。


「!!え?ハーラル⁇」

部屋に入って来たのはハーラルだった。

「あまりの美しさに見惚れるな」

ハーラルは私の頬をそっと撫でると、

「やっぱり君は綺麗だ」

「‥‥‥」

私は驚いて声が出ない。
目の前のハーラルは、男爵家の三男のはずなのに、着ているものには王家の紋章が付いている。
頭の中が混乱している。
ちょっと待って‥‥三男が王家の紋章を付けてもいいの⁈
男爵家なのよね?

「待って‥‥待って、待って。今少し混乱しているの」

「頭の良い君が理解できないか?」

「待って‥だって‥あなた男爵家で‥三男で‥‥いつもサボってて」

ははははっ
「誰より賢い君が混乱するのか?」

「どういう事?」

ハーラルは、私の指を軽く握り持ち上げると口付けをした。

「俺の望むお返しをもらうよ」

「⁈」

ハーラルが頭にティアラを着けてくれる。
同じアイスブルーダイヤモンドが散りばめられている。

「これを着けてもらいたい人に出逢えて良かった。
俺へのお返しは君自身だ」





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