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限界
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家ではアリサがもうすでに婚約者になったかのような振る舞いだった。
「お母様!今度の創立記念日は、王宮で式典が行われると発表がありましたわ!その時に王太子様の婚約者を公表するようです」
「まぁ!!アリサ、あなたと王太子の婚約が皆に公表されるのね?本当にすごいわ!」
「アリサ、君が侯爵家の娘になってくれて誇らしいよ。アリサのお陰で我が侯爵家も安泰だ!」
この人達と夕食を共にする時間が一番の苦痛だわ‥‥
「お母様!早くドレスを新調して下さいね。婚約者の私が一番目立つ物でなければ、王太子様にもご迷惑が掛かりますから」
「ええ、もちろん。一番目立つ豪華なドレスにしましょう!」
「金に糸目は付けず、豪華なドレスをあつらえよう」
三人は興奮し大いに盛り上がっている。
チラリとアリサは私を見ると、
「イザベラ様は新しいドレスなど必要ありませんわよね?」
と嘲笑った。
「要らないわ」
私には学園で採寸した式典用の衣装が作られているはずだ。
アリサは婚約者だから、学園で用意されるものは着ないということだろう‥‥
「イザベラさんは関係ないことだもの。何を着たっていいでしょう」
「そうだな。お前などある物で十分だ。アリサと姉妹になれただけでも感謝しろ」
三人は私を蔑んだ言い方をした。
「学園でも皆さんが、私を婚約者だと言ってくださいますの。見た目も性格も可愛らしいから、王太子様が守ってあげたくなったのだろうと言われますわ」
「ええ、ええ、そうでしょう。アリサの可愛らしさは特別ですもの」
「ああ、愛らしいからな」
この人達、頭の中身はあるのかしら?
「王太子殿下に会われたのですか?」
「え?‥いえ、会ったことはないけど、王家の方が私の所にわざわざ話をしに来たんですもの。婚約者に選ばれたのは間違いないわよ。噂を聞きつけ何処かで私を見たのかもしれないわ」
「あなたを選ぶメリットが王家にあるのかしら?」
「はぁ?」
「何言ってんのアンタ!」
「イザベラ!」
三人揃ってまた激昂する。
「あなたのように嘘つきで人を陥れるような汚い真似をする人間が選ばれたのなら、この国も終わりだわ」
バンッ!!
「ちょっとあんた!何様のつもり?私は王太子妃になるのよ!無礼だわ」
「事実を述べただけよ。嘘の演技で皆を騙して、私を悪者に仕立て上げたじゃない。あなたを選んだのなら王太子殿下はきっと頭の中身がからっぽなのね。だとしたらお似合いだわ」
「何ですって!嫌われ者のあんたが何を偉そうに言ってんのよ」
「何てこと言うの、アンタ」
「イザベラ!いい加減にしろ」
「身分の低さが言葉使いにも出てるわね。気をつけた方がいいわよ」
「あんた、負け惜しみでしょ」
「妬んでるだけだわ!みっともない」
「お前のような可愛げのない女は誰も選ばんだろうな」
「あなた!こんな人早く追い出しましょうよ!王家にも失礼になるわ」
「そうよ!こんな姉がいると王太子様が可哀想だと心を痛めるわ」
「そうだな、イザベラには遠くの領地に行ってもらおう」
私は黙って立ち上がり
「私も出て行くつもりでいますので、ご心配なく」
そう言うと部屋へ戻った。
この家で暮らすのはもう無理だ。
私も限界だわ‥‥
出て行こう‥‥
「お母様!今度の創立記念日は、王宮で式典が行われると発表がありましたわ!その時に王太子様の婚約者を公表するようです」
「まぁ!!アリサ、あなたと王太子の婚約が皆に公表されるのね?本当にすごいわ!」
「アリサ、君が侯爵家の娘になってくれて誇らしいよ。アリサのお陰で我が侯爵家も安泰だ!」
この人達と夕食を共にする時間が一番の苦痛だわ‥‥
「お母様!早くドレスを新調して下さいね。婚約者の私が一番目立つ物でなければ、王太子様にもご迷惑が掛かりますから」
「ええ、もちろん。一番目立つ豪華なドレスにしましょう!」
「金に糸目は付けず、豪華なドレスをあつらえよう」
三人は興奮し大いに盛り上がっている。
チラリとアリサは私を見ると、
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と嘲笑った。
「要らないわ」
私には学園で採寸した式典用の衣装が作られているはずだ。
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「イザベラさんは関係ないことだもの。何を着たっていいでしょう」
「そうだな。お前などある物で十分だ。アリサと姉妹になれただけでも感謝しろ」
三人は私を蔑んだ言い方をした。
「学園でも皆さんが、私を婚約者だと言ってくださいますの。見た目も性格も可愛らしいから、王太子様が守ってあげたくなったのだろうと言われますわ」
「ええ、ええ、そうでしょう。アリサの可愛らしさは特別ですもの」
「ああ、愛らしいからな」
この人達、頭の中身はあるのかしら?
「王太子殿下に会われたのですか?」
「え?‥いえ、会ったことはないけど、王家の方が私の所にわざわざ話をしに来たんですもの。婚約者に選ばれたのは間違いないわよ。噂を聞きつけ何処かで私を見たのかもしれないわ」
「あなたを選ぶメリットが王家にあるのかしら?」
「はぁ?」
「何言ってんのアンタ!」
「イザベラ!」
三人揃ってまた激昂する。
「あなたのように嘘つきで人を陥れるような汚い真似をする人間が選ばれたのなら、この国も終わりだわ」
バンッ!!
「ちょっとあんた!何様のつもり?私は王太子妃になるのよ!無礼だわ」
「事実を述べただけよ。嘘の演技で皆を騙して、私を悪者に仕立て上げたじゃない。あなたを選んだのなら王太子殿下はきっと頭の中身がからっぽなのね。だとしたらお似合いだわ」
「何ですって!嫌われ者のあんたが何を偉そうに言ってんのよ」
「何てこと言うの、アンタ」
「イザベラ!いい加減にしろ」
「身分の低さが言葉使いにも出てるわね。気をつけた方がいいわよ」
「あんた、負け惜しみでしょ」
「妬んでるだけだわ!みっともない」
「お前のような可愛げのない女は誰も選ばんだろうな」
「あなた!こんな人早く追い出しましょうよ!王家にも失礼になるわ」
「そうよ!こんな姉がいると王太子様が可哀想だと心を痛めるわ」
「そうだな、イザベラには遠くの領地に行ってもらおう」
私は黙って立ち上がり
「私も出て行くつもりでいますので、ご心配なく」
そう言うと部屋へ戻った。
この家で暮らすのはもう無理だ。
私も限界だわ‥‥
出て行こう‥‥
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