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カルロ•ハーラル•エドレッド1
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王位第一継承者であるカルロ•ハーラル•エドレッド。
俺は次期国王である為、身の安全が最優先されてきた。
そのせいで、幼い頃から人前で顔を晒すことは禁じられてきた。
俺の顔が知れれば命を狙う者も現れる。
権力争いに利用される場合もある。
その為、この国の王子の顔は誰もが知らないままだった。
幼い頃から厳しい教育を受け、王宮ではそれぞれの専門分野の家庭教師がついて学んできた。
学園に通う歳になっても同級生と関わることは禁止されていた。
万が一にも王子だとバレたら、権力欲しさに近づいて来る者達がいるからだ。
子供は何も思わなくても、その後ろには親がいる。
父親も何度も命を狙われ危ない思いをしてきたらしい。
だからこそ、俺の環境には神経質になっていた。
遊び相手に困っていたわけではない。
父の側近や護衛の息子が俺の側近や侍従となり、話し相手で遊び相手だった。
学園には王族が使用する為に、南の棟が用意されている。
他の生徒に会うことなく授業を受け卒業資格は取れる。
試験は同じものを受けていた。
俺はもちろん、学年一位だ。
だが毎回俺の点数にあと一点二点と追いつきそうな者がいた。
初めは気にならなかったが、三位を大きく引き離して一位と二位は拮抗している。
名前はイザベラ•ボルヴァンド。
女性だった。
もちろん会ったことも無い。
だが気になって調べさせた。
堅苦しく気難しいタイプの女性だろう‥
そう思っていた。
けれど、品の良い美人で教師からの評判も良いと報告を受けた。
色白で髪は腰まで長い黒髪で、目は珍しいアンバーだと。
でも、まぁ‥会うことはないだろう‥
そう思っていた。
ある日、試験を終えた後、女性教師に聞いてみた。
「いつも二位を取る女性はどのような人ですか?」
「ああ、イザベラ•ボルヴァンドね。イザベラさんはとても優秀な生徒です。あの理解力と知識量、先見の明も含めて当主に相応しい素質をお持ちです。女性にしておくのは勿体ないと言ったら怒られるでしょうか」
そう言って笑った。
この教師がそこまで褒めるならよほど優秀なのだろう。
気を抜けば一位を取られるかもしれない。
「でも最近はお母様を亡くされて、お可哀想です」
「母親が?」
「長い間、ご病気だったようです」
そんな辛い環境であったのか‥‥
少し心配になった。
今回のテストでは順位が下がるかもしれないな‥‥
と、思ったが彼女はまたもや二位だった。
しかも一点差だ。
神経が図太いのか、本物の天才か‥‥
会ってみたいが教室に行くわけにはいかない。
それから暫くして、俺の側近が噂話を耳にした。
「今世間ではボルヴァンド侯爵が男爵家の未亡人と再婚した話で持ちきりです」
ボルヴァンド?‥‥イザベラ•ボルヴァンドの父親か?
ついこの前、母親を亡くしたと聞いたばかりだが‥‥
「おい!彼女の様子が知りたい。皆に調べさせろ」
「え?調べるのですか?‥まさか惚れてしまわれたとか?」
「会ったこともない」
「では何故?」
「気になる。母親を亡くして気落ちしているだろうに、すぐに父親が再婚したとなれば、年頃の女性なら傷ついているだろう」
「‥‥会わずとも惚れることがあるのですね‥‥」
「そうではない。ただ気になるだけだ」
「‥‥」
学園内に人を送り、様子を調べさせた。
再婚相手の娘のアリサは、イザベラにいじめられていると言い、学園でよく涙を流していることを知った。
本当にその様な女性だったのか?
暫くして彼女がクラスで授業を受けていないようだと報告を受けた。
一体何処にいるのだろう‥‥
時々皆の授業中に学園内を見回ってみた。
中庭の奥には王族の者が人目につかないように休憩できるガゼボが造られている。
一般の生徒は奥には行かない様に指導がされている為、ここで人に会うことはない。
たまたまそのガゼボを覗いてみると、一人の女性が本を読んでいた。
長い黒髪の女性だった。
この人がイザベラか?
「サボってるのか?」
声を掛けると、ビクッと体を揺らし驚いてこちらを見た。
大きく見開かれた瞳はアンバーの瞳で綺麗だった。
聞いていた通り色白で美人だ。
聞いて想像していたよりもはるかに美人だ。
この女性が人をいじめる?
とてもそうは見えない‥‥
俺は反対側のベンチにゴロンと寝転んだ。
彼女はとても驚いていたが、また黙って本を読み続けた。
俺も黙って寝てるだけ。
時々彼女を見ると、長いまつげがパチパチと動き、真剣に読む姿も美しかった。
聞かれるのが怖くて先に自分から言った。
「俺は男爵家の三男だから気楽なものだよ」
すると彼女は安心したようにふっと笑った。
同じ建物内の人間ではないことが分かってホッとしたようだ。
「私は侯爵家の娘だけど、親には期待されてないからいいのよ」
「そうか」
彼女が誰よりも優秀なことは知っていたが何も言わなかった。
それから俺のベンチ通いが始まった。
彼女を見てることに幸せを感じるようになっていた。
時々交わす言葉で彼女の性格が分かってきた。
気は強そうだが、正直で真面目で繊細だ。
クラスに居られないのなら、再婚相手の娘の方がよほどしたたかで彼女を陥れているのだろう。
彼女が可哀想だ。
こんなに優秀なのに授業も受けられないとは由々しき問題だ‥‥
俺は次期国王である為、身の安全が最優先されてきた。
そのせいで、幼い頃から人前で顔を晒すことは禁じられてきた。
俺の顔が知れれば命を狙う者も現れる。
権力争いに利用される場合もある。
その為、この国の王子の顔は誰もが知らないままだった。
幼い頃から厳しい教育を受け、王宮ではそれぞれの専門分野の家庭教師がついて学んできた。
学園に通う歳になっても同級生と関わることは禁止されていた。
万が一にも王子だとバレたら、権力欲しさに近づいて来る者達がいるからだ。
子供は何も思わなくても、その後ろには親がいる。
父親も何度も命を狙われ危ない思いをしてきたらしい。
だからこそ、俺の環境には神経質になっていた。
遊び相手に困っていたわけではない。
父の側近や護衛の息子が俺の側近や侍従となり、話し相手で遊び相手だった。
学園には王族が使用する為に、南の棟が用意されている。
他の生徒に会うことなく授業を受け卒業資格は取れる。
試験は同じものを受けていた。
俺はもちろん、学年一位だ。
だが毎回俺の点数にあと一点二点と追いつきそうな者がいた。
初めは気にならなかったが、三位を大きく引き離して一位と二位は拮抗している。
名前はイザベラ•ボルヴァンド。
女性だった。
もちろん会ったことも無い。
だが気になって調べさせた。
堅苦しく気難しいタイプの女性だろう‥
そう思っていた。
けれど、品の良い美人で教師からの評判も良いと報告を受けた。
色白で髪は腰まで長い黒髪で、目は珍しいアンバーだと。
でも、まぁ‥会うことはないだろう‥
そう思っていた。
ある日、試験を終えた後、女性教師に聞いてみた。
「いつも二位を取る女性はどのような人ですか?」
「ああ、イザベラ•ボルヴァンドね。イザベラさんはとても優秀な生徒です。あの理解力と知識量、先見の明も含めて当主に相応しい素質をお持ちです。女性にしておくのは勿体ないと言ったら怒られるでしょうか」
そう言って笑った。
この教師がそこまで褒めるならよほど優秀なのだろう。
気を抜けば一位を取られるかもしれない。
「でも最近はお母様を亡くされて、お可哀想です」
「母親が?」
「長い間、ご病気だったようです」
そんな辛い環境であったのか‥‥
少し心配になった。
今回のテストでは順位が下がるかもしれないな‥‥
と、思ったが彼女はまたもや二位だった。
しかも一点差だ。
神経が図太いのか、本物の天才か‥‥
会ってみたいが教室に行くわけにはいかない。
それから暫くして、俺の側近が噂話を耳にした。
「今世間ではボルヴァンド侯爵が男爵家の未亡人と再婚した話で持ちきりです」
ボルヴァンド?‥‥イザベラ•ボルヴァンドの父親か?
ついこの前、母親を亡くしたと聞いたばかりだが‥‥
「おい!彼女の様子が知りたい。皆に調べさせろ」
「え?調べるのですか?‥まさか惚れてしまわれたとか?」
「会ったこともない」
「では何故?」
「気になる。母親を亡くして気落ちしているだろうに、すぐに父親が再婚したとなれば、年頃の女性なら傷ついているだろう」
「‥‥会わずとも惚れることがあるのですね‥‥」
「そうではない。ただ気になるだけだ」
「‥‥」
学園内に人を送り、様子を調べさせた。
再婚相手の娘のアリサは、イザベラにいじめられていると言い、学園でよく涙を流していることを知った。
本当にその様な女性だったのか?
暫くして彼女がクラスで授業を受けていないようだと報告を受けた。
一体何処にいるのだろう‥‥
時々皆の授業中に学園内を見回ってみた。
中庭の奥には王族の者が人目につかないように休憩できるガゼボが造られている。
一般の生徒は奥には行かない様に指導がされている為、ここで人に会うことはない。
たまたまそのガゼボを覗いてみると、一人の女性が本を読んでいた。
長い黒髪の女性だった。
この人がイザベラか?
「サボってるのか?」
声を掛けると、ビクッと体を揺らし驚いてこちらを見た。
大きく見開かれた瞳はアンバーの瞳で綺麗だった。
聞いていた通り色白で美人だ。
聞いて想像していたよりもはるかに美人だ。
この女性が人をいじめる?
とてもそうは見えない‥‥
俺は反対側のベンチにゴロンと寝転んだ。
彼女はとても驚いていたが、また黙って本を読み続けた。
俺も黙って寝てるだけ。
時々彼女を見ると、長いまつげがパチパチと動き、真剣に読む姿も美しかった。
聞かれるのが怖くて先に自分から言った。
「俺は男爵家の三男だから気楽なものだよ」
すると彼女は安心したようにふっと笑った。
同じ建物内の人間ではないことが分かってホッとしたようだ。
「私は侯爵家の娘だけど、親には期待されてないからいいのよ」
「そうか」
彼女が誰よりも優秀なことは知っていたが何も言わなかった。
それから俺のベンチ通いが始まった。
彼女を見てることに幸せを感じるようになっていた。
時々交わす言葉で彼女の性格が分かってきた。
気は強そうだが、正直で真面目で繊細だ。
クラスに居られないのなら、再婚相手の娘の方がよほどしたたかで彼女を陥れているのだろう。
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