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元凶との対立
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「イザベラお嬢様!こんなに早くどうされたのですか?」
家に着くと侍女のララが急いで駆け寄る。
「体の具合が悪くなられたのですか?」
私はララの顔を見て涙が込み上げ、思わず抱きついた。
「もう学園にも行きたくない。家も出て行きたい」
そう言うとララは背中を摩りながら頷いた。
「私もこの家の使用人も皆がイザベラ様の味方です。イザベラ様が出て行かれるのなら、皆付いて行きます」
力強く言ってくれる。
今の私の支えはララやこの家の使用人達だ。
「あら、イザベラさん。こんなに早く帰ってくるなんて何事なの?侯爵家の名を汚すようなことはしないで下さいね」
再婚相手の未亡人アンナが偉そうに言ってくる。
「お嬢様になんて失礼なことを言うんですか!イザベラ様を傷つけることはこの家の使用人全員が許しません!」
「何事だ?」
「あなた!!ねぇ、この使用人が私に酷いことを言うんです!」
「何だって!」
父はアンナを庇うように私とララを睨み付けた。
「アンナは侯爵夫人だ。お前達が敬うべき相手だろう。何を考えている!」
全ての元凶はこの男だ。
頭のネジがどれだけ緩んでいるのかしら。
父親だとも思いたくない。
こんな人‥‥
「ララ、行きましょう」
「待ちなさい!イザベラ!」
私は返事をすることなくララの手を引くと部屋に入った。
「旦那様はあの二人が来られてから、さらにイザベラ様に冷たく当たられて、私達も見ていられません。あの女の言いなりです」
ララは悔しさを滲ませ唇を噛んだ。
「いいのよ、ララ。私にはあなたも皆も付いていてくれるから気にしないわ。あんな人、父親だとは思わないもの」
病気の母を見舞うこともせず、未亡人に溺れるような人を親だとは思いたくもない。
ララや使用人を皆連れて、この家を早く出て行きたい。
今の私のたったひとつの願いだ。
夕食は必ず全員でとることが決められている為、嫌々ながらも席に着く。
「今日もイザベラ様は授業には出られていなかったんですよ、お父様」
アリサがわざとらしく大きい声で言う。
「イザベラ!何故授業に出ないんだ!今日も勝手に帰って来て、我が儘がすぎるぞ!」
その一切を無視して食べていると、
「侯爵家の人間として恥ずかしくないのか!もっとまともな生き方が出来ないのか」
父は私を怒鳴り付けた。
私も限界に達した。
「お言葉ですがお父様。まともな生き方をされていない方に言われたくありませんわ」
「何だと!!」
「母が病で苦しんでいる時に、他の女に入れ込むような人間に何も言われたくありません」
「イザベラ!!」
バンッ
テーブルを思い切り叩きつけた父を見て私は立ち上がると部屋へ戻った。
二度と口もききたくない。
ララはベッドで蹲る私に、温かいミルクティーを入れてくれた。
「イザベラ様が旦那様に言ったことは正しいですよ。落ち込む必要などありません!」
「ララ‥‥あなたが居てくれて良かった‥‥」
色々な感情が溢れて涙が止まらなかった。
家に着くと侍女のララが急いで駆け寄る。
「体の具合が悪くなられたのですか?」
私はララの顔を見て涙が込み上げ、思わず抱きついた。
「もう学園にも行きたくない。家も出て行きたい」
そう言うとララは背中を摩りながら頷いた。
「私もこの家の使用人も皆がイザベラ様の味方です。イザベラ様が出て行かれるのなら、皆付いて行きます」
力強く言ってくれる。
今の私の支えはララやこの家の使用人達だ。
「あら、イザベラさん。こんなに早く帰ってくるなんて何事なの?侯爵家の名を汚すようなことはしないで下さいね」
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「お嬢様になんて失礼なことを言うんですか!イザベラ様を傷つけることはこの家の使用人全員が許しません!」
「何事だ?」
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「何だって!」
父はアンナを庇うように私とララを睨み付けた。
「アンナは侯爵夫人だ。お前達が敬うべき相手だろう。何を考えている!」
全ての元凶はこの男だ。
頭のネジがどれだけ緩んでいるのかしら。
父親だとも思いたくない。
こんな人‥‥
「ララ、行きましょう」
「待ちなさい!イザベラ!」
私は返事をすることなくララの手を引くと部屋に入った。
「旦那様はあの二人が来られてから、さらにイザベラ様に冷たく当たられて、私達も見ていられません。あの女の言いなりです」
ララは悔しさを滲ませ唇を噛んだ。
「いいのよ、ララ。私にはあなたも皆も付いていてくれるから気にしないわ。あんな人、父親だとは思わないもの」
病気の母を見舞うこともせず、未亡人に溺れるような人を親だとは思いたくもない。
ララや使用人を皆連れて、この家を早く出て行きたい。
今の私のたったひとつの願いだ。
夕食は必ず全員でとることが決められている為、嫌々ながらも席に着く。
「今日もイザベラ様は授業には出られていなかったんですよ、お父様」
アリサがわざとらしく大きい声で言う。
「イザベラ!何故授業に出ないんだ!今日も勝手に帰って来て、我が儘がすぎるぞ!」
その一切を無視して食べていると、
「侯爵家の人間として恥ずかしくないのか!もっとまともな生き方が出来ないのか」
父は私を怒鳴り付けた。
私も限界に達した。
「お言葉ですがお父様。まともな生き方をされていない方に言われたくありませんわ」
「何だと!!」
「母が病で苦しんでいる時に、他の女に入れ込むような人間に何も言われたくありません」
「イザベラ!!」
バンッ
テーブルを思い切り叩きつけた父を見て私は立ち上がると部屋へ戻った。
二度と口もききたくない。
ララはベッドで蹲る私に、温かいミルクティーを入れてくれた。
「イザベラ様が旦那様に言ったことは正しいですよ。落ち込む必要などありません!」
「ララ‥‥あなたが居てくれて良かった‥‥」
色々な感情が溢れて涙が止まらなかった。
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