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夕食後に会った人2
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「明日、陛下の元に連れて行く。皇妃の生まれ変わりの事はまだ本人には話していない。機会があればするつもりだ。信じてもらえないだろうがな」
目の前まで来るとバンッと両手で机を叩きつけ、スタンリーは固まったままだ。
「本当にそうなのか?髪は銀か?瞳は銀か?」
「いや。髪は金で瞳は紫だ」
はぁぁ‥
スタンリーは力が抜けたように、その場に座り込んだ。
「何だよ、それは別人だろ?少しくらい似た女もいるだろうよ。驚かすなよ。今までこの国に現れていないのに急にこんなところで出て来るわけないだろ。今更そんな昔のおとぎ話あるわけないぞ」
「だが皇妃の為に作ってあるドレスはぴったりだ」
「そんなの、たまたま体型も似てただけだろ?いい加減にしてくれよ。今更昔話に振り回されるつもりはない!」
「帝国復活を謳って生まれ変わりを捜していたのは、ウェルズス家の方だ。いいのか?」
「帝国⁇今はこの国で十分だろう。国を乱すことはやめてくれ!我が公爵家は代々この国を表と裏で支えてきた。今この平和な国こそがウェルズス家が望んでいたものだ。それでいいだろう」
「確かに、表と裏でこの王家を護ってきたのはウェルズス家だ。だからこそ、ウェルズス家の望みを叶えてやりたい。皇帝の側近だったウェルズスが最も望んだことは、生まれ変わった皇帝と皇妃を一緒にさせ、帝国を復活させることだった。ならば、叶えてやらないか?」
「やめてくれ!何が言いたい?本物かどうかも分からない女を生まれ変わりに仕立て上げて、王妃にでもしろと言うのか?俺は賛成しない。父や兄とて、今はもうそんな話信じていない」
「‥‥分かった。では、本人を見てもらおう。そなたの協力なしには彼女を守れない」
「⁈どういう意味だ?」
「ウェルズス家には、我が王家よりも皇妃の肖像画が多いと聞く。絵心のあったウェルズスが自分で描いた物があるそうだな。お前達ウェルズス家は俺よりも詳しいだろう。では、付いて来い!」
「はぁぁ⁇」
スタンリーはあからさまに呆れたような声を出した。
嫌そうにしながらも付いて来る。
廊下にいる者にルリアは部屋かと聞けば、今食堂に入って行ったと言う。
まさかこんな時間まで中庭にいたのか?
逃げ出せるか調べていたのではないだろうな‥‥
バンッと慌てて扉を開けると、驚いたように立ち上がりカーテシーをする。
完璧なその姿はやはり王女の品格と風格がある。
平民になりたいなどと、自分の姿をまったく解っていない。
スタンリーは、あれほど嫌そうにしていたにもかかわらず、急にルリアの元まで行くと跪いている。
勝手に手を取り口付けまでするとは無礼な男だ。
よく釘を刺さねばならないだろう。
この男は自他共に認める女たらしだ。
目を付けた女は必ず落とす自信を持っている。
ルリアと二人きりにするのは危ない。
だが、この男の能力を借りなければルリアを守れないのも事実だ。
ルリアが皇妃の生まれ変わりだと信じてくれれば協力してくれるだろう。
アルンフォルトでルリアを罪人でないと国王に認めてもらわなければならない。
でないと、俺の妃になる時にルリアを引き摺り下ろそうとする輩が出てこないとも限らない。
国同士で正式な婚姻を認めなければ、後々面倒なことになる。
その為に、この男にはアルンフォルトでひと仕事してもらう必要がある。
俺のルリアの手を触った代償に、きっちり働いてもらうぞ。
目の前まで来るとバンッと両手で机を叩きつけ、スタンリーは固まったままだ。
「本当にそうなのか?髪は銀か?瞳は銀か?」
「いや。髪は金で瞳は紫だ」
はぁぁ‥
スタンリーは力が抜けたように、その場に座り込んだ。
「何だよ、それは別人だろ?少しくらい似た女もいるだろうよ。驚かすなよ。今までこの国に現れていないのに急にこんなところで出て来るわけないだろ。今更そんな昔のおとぎ話あるわけないぞ」
「だが皇妃の為に作ってあるドレスはぴったりだ」
「そんなの、たまたま体型も似てただけだろ?いい加減にしてくれよ。今更昔話に振り回されるつもりはない!」
「帝国復活を謳って生まれ変わりを捜していたのは、ウェルズス家の方だ。いいのか?」
「帝国⁇今はこの国で十分だろう。国を乱すことはやめてくれ!我が公爵家は代々この国を表と裏で支えてきた。今この平和な国こそがウェルズス家が望んでいたものだ。それでいいだろう」
「確かに、表と裏でこの王家を護ってきたのはウェルズス家だ。だからこそ、ウェルズス家の望みを叶えてやりたい。皇帝の側近だったウェルズスが最も望んだことは、生まれ変わった皇帝と皇妃を一緒にさせ、帝国を復活させることだった。ならば、叶えてやらないか?」
「やめてくれ!何が言いたい?本物かどうかも分からない女を生まれ変わりに仕立て上げて、王妃にでもしろと言うのか?俺は賛成しない。父や兄とて、今はもうそんな話信じていない」
「‥‥分かった。では、本人を見てもらおう。そなたの協力なしには彼女を守れない」
「⁈どういう意味だ?」
「ウェルズス家には、我が王家よりも皇妃の肖像画が多いと聞く。絵心のあったウェルズスが自分で描いた物があるそうだな。お前達ウェルズス家は俺よりも詳しいだろう。では、付いて来い!」
「はぁぁ⁇」
スタンリーはあからさまに呆れたような声を出した。
嫌そうにしながらも付いて来る。
廊下にいる者にルリアは部屋かと聞けば、今食堂に入って行ったと言う。
まさかこんな時間まで中庭にいたのか?
逃げ出せるか調べていたのではないだろうな‥‥
バンッと慌てて扉を開けると、驚いたように立ち上がりカーテシーをする。
完璧なその姿はやはり王女の品格と風格がある。
平民になりたいなどと、自分の姿をまったく解っていない。
スタンリーは、あれほど嫌そうにしていたにもかかわらず、急にルリアの元まで行くと跪いている。
勝手に手を取り口付けまでするとは無礼な男だ。
よく釘を刺さねばならないだろう。
この男は自他共に認める女たらしだ。
目を付けた女は必ず落とす自信を持っている。
ルリアと二人きりにするのは危ない。
だが、この男の能力を借りなければルリアを守れないのも事実だ。
ルリアが皇妃の生まれ変わりだと信じてくれれば協力してくれるだろう。
アルンフォルトでルリアを罪人でないと国王に認めてもらわなければならない。
でないと、俺の妃になる時にルリアを引き摺り下ろそうとする輩が出てこないとも限らない。
国同士で正式な婚姻を認めなければ、後々面倒なことになる。
その為に、この男にはアルンフォルトでひと仕事してもらう必要がある。
俺のルリアの手を触った代償に、きっちり働いてもらうぞ。
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