3 / 90
王宮脱出
しおりを挟む
どれくらい時間が経ったのだろう。
泣き疲れて眠ってしまったようで、外は暗くなっている。
けれど、誰も夕食を呼びに来る者はいない。
この王宮は今や王妃の手先の者ばかりで、私を慕ってくれていた者はもう誰も残されていないようだ。
私の侍女もメイドも護衛騎士も、私が大聖堂に行った後すぐに王宮を追い出されたと聞いている。
父や母の側に居た側近や護衛もあの事故で共に亡くなってしまった。
生まれ育った王宮が、まるで知らない場所のように思えた。
とにかく、今一番考えるべきことは朝までに何とかここを逃げ出すことだ。
カールフラン公爵と一緒になるつもりなどない。
絶対に嫌。
私の両親が築き上げた王宮を、私利私欲で変える王妃の言いなりになるなんて私には無理だわ。
先王の娘のプライドよ。
あんな人に屈するなんてできないわ。
泣いてる暇なんてもうない。
自分の身は自分で守らなきゃ‥‥
持ち帰ってきたばかりのトランクに必要な物を足す。
一人で生活するならお金の用意も必要になる。
どこで生活できるかわからないけれど、働く所が決まるまでの生活費は必要だわ。
王女として育った私はもちろん働いたことなどない。
想像もつかない。
でも母は昔から、何かあった時は平民の暮らしをするかもしれないと必要な物を用意してくれていた。
役立つ時が来たのは残念だけど、これを使わせてもらうわ。
見た目の見窄らしい箱は、誰も触った気配がない。
「良かった!」
箱を開けると何着かの服や靴、ショールの他にも袋に入った金貨が入っている。
手先の器用な母は、サイズを分けて服を縫ってくれていた。
今着れそうな薄紫色のワンピースに着替えると、白いブラウス、赤茶のスカートをトランクに押し込めた。
ブーツはひとつ足に合う物があった。
金貨の袋を入れ、頭からショールを被ると地下の隠し通路に繋がる壁を開いた。
私の部屋には複雑な仕掛けがいくつかある。
この壁を開けれるのはきっと私しかいない。
地下の隠し通路はいくつも枝分かれしていて、知らない者は中を彷徨うことになる。
私は小さい頃から教え込まれている為、全ての道を熟知している。
まずはこの道を通って王都の街へ出る。
手に持った小さなランプの明かりを頼りに暗い地下通路を歩いて行く。
一人で歩く暗闇は心細くて恐ろしかった。
風の音がビューっと響く度に怖くて立ち止まった。
じわりと涙が込み上げる。
十八とはいえ、こんな真っ暗な中を女一人で歩くのはやはり心細い。
「お父様‥お母様‥」
私の両親は本当に仲が良かった。
というより、父は母を溺愛していて常に側においていた。
片時も離れたくないと堂々と言っていたほどだ。
母は隣国の王女で父の一目惚れから始まり大恋愛をして結婚したという。
何とも珍しく、まるで子供が憧れる童話のようだ。
そんな両親が羨ましかった。
私にもいつかそんな日が訪れてほしいと思っていた。
婚約者のカイトに対しては、恋愛というより親しい友人のような感情しか持てていなかった。
けれど本来王族、貴族はお互いに利のある者と結婚するのが当然のことで私も理解していた。
‥‥カールフラン公爵は絶対に嫌だけど‥
カイトのブロイド家は、元々王族の血を引く由緒ある公爵家で、そのうえ財力もある。
王家にとっては喜ばしい結婚であったはずだ。
ブロイド家にとっても、王族との繋がりはさらに権力を持てるようになるのだろう。
でも王家を離れ市井に降りて平民になるのなら、私にはもう関係のない話になる。
まぁ‥これで良かったのかもしれない。
自由になれると思えば少しは楽になる。
暗闇を歩きながら前向きに考えてみる。
あんな王宮で暮らすより、三十も年上の暴力男に嫁ぐより、平民として好きに生きる方がきっと私の性に合うと思うわ。
私は王女として厳しい教育は受けてきたけれど、父も母もやりたい事は何でも理解し許してくれた。
私は女だてらに剣術をたしなみ、護身術もひと通りは身に付けている。
きっかけはライナだった。
カイトとの婚約が決まった十三歳の頃。
母とライナと数人の令嬢達とお茶会をした時のこと。
ライナはいつも母を目の敵にしていた。
「王妃様はいつも大勢の方に護られていらっしゃいますから安心でございますわね。ご自分が何もお出来にならなくとも護ってもらえるのですからお幸せですわね」
「ええ、頼りになる方達ばかりで幸せです」
ライナは母に対して無能な女だと嫌味を言っていたのだが、純粋な母は素直に幸せだと喜んでいた。
私に対しても、
「王女様も同様に皆様方に護っていただかなくてはね。この先危険な事があったら困りますものね。優秀な護衛に任せておけば、立場上護っていただけるのですから安心ですわね」
とフフッと笑った。
悪意に満ちていた。
母や私が自らは無能でも、王妃と王女の立場があるから護ってもらえていると嫌味を言い続けていた。
そして自分の方が人として優れているという主張をするのだ。
母はお人好しで、純真無垢で少女のような人だったから悪意に腹を立てることはなかった。
けれど私は負けず嫌いで、理不尽なことが大嫌いだ。
無能無能と遠回しの嫌味に腹が立った。
護ってもらわずとも自分の身は自分で守ると剣術を始めた。
勉学にも励んだ。
教育係を増やし、我が国に隣接する七カ国の言語もすべて習得した。
ライナより無能だなんて言わせない。
と、意気込んでいたものの、現実は逆転してしまった‥‥
両親が亡くなり王弟殿下であった叔父のリベールが国王となった。
そして妃であるライナが王妃の立場を手に入れた。
この国では、王位継承は男性のみ。
娘の私には父の跡を継ぐことができなかった。
王弟殿下である叔父は、幼い頃から私をとても可愛がってくれていた。
両親よりも私に甘かった。
だから何か相談する時は、まず叔父であるリベール殿下を頼って味方につけた。
両親が亡くなった時も、「これからは私がルリアの親だよ」と慰めてくれた。
「王宮に戻ったら一番に私の元においで」
そう言ってくれた大好きな叔父に一目も会えずに出てきたことが心残りだ。
この国では古くからのしきたりで、国王が亡くなると王妃や王女は大聖堂で三ヶ月の祈りの儀と呼ばれる喪に服すことが決められている。
それはかつて国王亡き後、妃が権力を振りかざし、後の政権争いで紛争が起こった歴史があるからだ。
その為、妃と娘は三ヶ月喪に服すという表向きで王宮を去り大聖堂へ行かされる。
その間、王家の者と関わることは禁じられていた。
朝昼晩、司祭と共に祈りの儀式を執り行っていた私は、三ヶ月振りにやっと王宮へ戻ってきたのだ。
それなのにこの有り様だ。
延期になった結婚は婚約解消され、三十も年上の男との結婚を決められ、王宮には知る者もいなくなり居場所も無くなった‥‥
出口が見えてきた‥
王都の街へと繋がる地下通路は、古い小屋の下が出口になっている。
階段を上がり床を押し上げる。
少し埃っぽい暗い小屋の中には、テーブルや椅子、ベッドも置いてある。
誰もこんな古い小屋が王宮と繋がっているとは思わないだろう。
だからこそ、昔からいざという時にはこの隠し通路が使われてきた。
これを伝えられるのは国王の実子のみ。
私の他に今知る者は叔父のリベール国王だけだろう。
そのうちメルディナや、双子の弟マルクスにも伝えられるだろうけど、今はまだ即位したばかりで教えられていないだろう。
今夜はここで一晩休んで、明日また考えなきゃいけない。
これからどうやって生きていこう‥‥
それにしてもお腹すいたわ‥‥
泣き疲れて眠ってしまったようで、外は暗くなっている。
けれど、誰も夕食を呼びに来る者はいない。
この王宮は今や王妃の手先の者ばかりで、私を慕ってくれていた者はもう誰も残されていないようだ。
私の侍女もメイドも護衛騎士も、私が大聖堂に行った後すぐに王宮を追い出されたと聞いている。
父や母の側に居た側近や護衛もあの事故で共に亡くなってしまった。
生まれ育った王宮が、まるで知らない場所のように思えた。
とにかく、今一番考えるべきことは朝までに何とかここを逃げ出すことだ。
カールフラン公爵と一緒になるつもりなどない。
絶対に嫌。
私の両親が築き上げた王宮を、私利私欲で変える王妃の言いなりになるなんて私には無理だわ。
先王の娘のプライドよ。
あんな人に屈するなんてできないわ。
泣いてる暇なんてもうない。
自分の身は自分で守らなきゃ‥‥
持ち帰ってきたばかりのトランクに必要な物を足す。
一人で生活するならお金の用意も必要になる。
どこで生活できるかわからないけれど、働く所が決まるまでの生活費は必要だわ。
王女として育った私はもちろん働いたことなどない。
想像もつかない。
でも母は昔から、何かあった時は平民の暮らしをするかもしれないと必要な物を用意してくれていた。
役立つ時が来たのは残念だけど、これを使わせてもらうわ。
見た目の見窄らしい箱は、誰も触った気配がない。
「良かった!」
箱を開けると何着かの服や靴、ショールの他にも袋に入った金貨が入っている。
手先の器用な母は、サイズを分けて服を縫ってくれていた。
今着れそうな薄紫色のワンピースに着替えると、白いブラウス、赤茶のスカートをトランクに押し込めた。
ブーツはひとつ足に合う物があった。
金貨の袋を入れ、頭からショールを被ると地下の隠し通路に繋がる壁を開いた。
私の部屋には複雑な仕掛けがいくつかある。
この壁を開けれるのはきっと私しかいない。
地下の隠し通路はいくつも枝分かれしていて、知らない者は中を彷徨うことになる。
私は小さい頃から教え込まれている為、全ての道を熟知している。
まずはこの道を通って王都の街へ出る。
手に持った小さなランプの明かりを頼りに暗い地下通路を歩いて行く。
一人で歩く暗闇は心細くて恐ろしかった。
風の音がビューっと響く度に怖くて立ち止まった。
じわりと涙が込み上げる。
十八とはいえ、こんな真っ暗な中を女一人で歩くのはやはり心細い。
「お父様‥お母様‥」
私の両親は本当に仲が良かった。
というより、父は母を溺愛していて常に側においていた。
片時も離れたくないと堂々と言っていたほどだ。
母は隣国の王女で父の一目惚れから始まり大恋愛をして結婚したという。
何とも珍しく、まるで子供が憧れる童話のようだ。
そんな両親が羨ましかった。
私にもいつかそんな日が訪れてほしいと思っていた。
婚約者のカイトに対しては、恋愛というより親しい友人のような感情しか持てていなかった。
けれど本来王族、貴族はお互いに利のある者と結婚するのが当然のことで私も理解していた。
‥‥カールフラン公爵は絶対に嫌だけど‥
カイトのブロイド家は、元々王族の血を引く由緒ある公爵家で、そのうえ財力もある。
王家にとっては喜ばしい結婚であったはずだ。
ブロイド家にとっても、王族との繋がりはさらに権力を持てるようになるのだろう。
でも王家を離れ市井に降りて平民になるのなら、私にはもう関係のない話になる。
まぁ‥これで良かったのかもしれない。
自由になれると思えば少しは楽になる。
暗闇を歩きながら前向きに考えてみる。
あんな王宮で暮らすより、三十も年上の暴力男に嫁ぐより、平民として好きに生きる方がきっと私の性に合うと思うわ。
私は王女として厳しい教育は受けてきたけれど、父も母もやりたい事は何でも理解し許してくれた。
私は女だてらに剣術をたしなみ、護身術もひと通りは身に付けている。
きっかけはライナだった。
カイトとの婚約が決まった十三歳の頃。
母とライナと数人の令嬢達とお茶会をした時のこと。
ライナはいつも母を目の敵にしていた。
「王妃様はいつも大勢の方に護られていらっしゃいますから安心でございますわね。ご自分が何もお出来にならなくとも護ってもらえるのですからお幸せですわね」
「ええ、頼りになる方達ばかりで幸せです」
ライナは母に対して無能な女だと嫌味を言っていたのだが、純粋な母は素直に幸せだと喜んでいた。
私に対しても、
「王女様も同様に皆様方に護っていただかなくてはね。この先危険な事があったら困りますものね。優秀な護衛に任せておけば、立場上護っていただけるのですから安心ですわね」
とフフッと笑った。
悪意に満ちていた。
母や私が自らは無能でも、王妃と王女の立場があるから護ってもらえていると嫌味を言い続けていた。
そして自分の方が人として優れているという主張をするのだ。
母はお人好しで、純真無垢で少女のような人だったから悪意に腹を立てることはなかった。
けれど私は負けず嫌いで、理不尽なことが大嫌いだ。
無能無能と遠回しの嫌味に腹が立った。
護ってもらわずとも自分の身は自分で守ると剣術を始めた。
勉学にも励んだ。
教育係を増やし、我が国に隣接する七カ国の言語もすべて習得した。
ライナより無能だなんて言わせない。
と、意気込んでいたものの、現実は逆転してしまった‥‥
両親が亡くなり王弟殿下であった叔父のリベールが国王となった。
そして妃であるライナが王妃の立場を手に入れた。
この国では、王位継承は男性のみ。
娘の私には父の跡を継ぐことができなかった。
王弟殿下である叔父は、幼い頃から私をとても可愛がってくれていた。
両親よりも私に甘かった。
だから何か相談する時は、まず叔父であるリベール殿下を頼って味方につけた。
両親が亡くなった時も、「これからは私がルリアの親だよ」と慰めてくれた。
「王宮に戻ったら一番に私の元においで」
そう言ってくれた大好きな叔父に一目も会えずに出てきたことが心残りだ。
この国では古くからのしきたりで、国王が亡くなると王妃や王女は大聖堂で三ヶ月の祈りの儀と呼ばれる喪に服すことが決められている。
それはかつて国王亡き後、妃が権力を振りかざし、後の政権争いで紛争が起こった歴史があるからだ。
その為、妃と娘は三ヶ月喪に服すという表向きで王宮を去り大聖堂へ行かされる。
その間、王家の者と関わることは禁じられていた。
朝昼晩、司祭と共に祈りの儀式を執り行っていた私は、三ヶ月振りにやっと王宮へ戻ってきたのだ。
それなのにこの有り様だ。
延期になった結婚は婚約解消され、三十も年上の男との結婚を決められ、王宮には知る者もいなくなり居場所も無くなった‥‥
出口が見えてきた‥
王都の街へと繋がる地下通路は、古い小屋の下が出口になっている。
階段を上がり床を押し上げる。
少し埃っぽい暗い小屋の中には、テーブルや椅子、ベッドも置いてある。
誰もこんな古い小屋が王宮と繋がっているとは思わないだろう。
だからこそ、昔からいざという時にはこの隠し通路が使われてきた。
これを伝えられるのは国王の実子のみ。
私の他に今知る者は叔父のリベール国王だけだろう。
そのうちメルディナや、双子の弟マルクスにも伝えられるだろうけど、今はまだ即位したばかりで教えられていないだろう。
今夜はここで一晩休んで、明日また考えなきゃいけない。
これからどうやって生きていこう‥‥
それにしてもお腹すいたわ‥‥
11
お気に入りに追加
176
あなたにおすすめの小説


純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる