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最終話 消された第二王女は隣国の王妃になる

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無事に結婚式を終え、私とヴィル様は夫婦となった

その為、今私は寝室でヴィル様を待っている

ナイトドレスを着せられているが、これはあまりにも生地が透けていて恥ずかしい
胸元も大きく開いていて、これを着ていると言うのかしら‥‥
何も身に付けていないのと変わりないほど、体の線は露わになっている

ガチャ

扉を開く音がした
緊張しながら扉の方を見ると、ナイトガウンを羽織ったヴィル様が立っている

部屋は蝋燭の優しい灯りだけだが、ヴィル様の驚くように大きく開かれたエメラルドの瞳はよく見えた

「ヴィル様?こんなお見苦しい姿で申し訳ありません」

「いや‥‥えー‥その‥あまりに美しくて‥‥その‥‥はぁぁ」

目をキラキラと輝かせながら側まで来ると

「ワインを持ってきたんだ。その‥‥アリーの緊張をほぐす為にも少し飲むのはどうかと思って‥‥」

「まぁ、お気遣いありがとうございます」

優しく微笑むアリアンに、緊張しているのはヴィルドルフの方だった‥‥

「このワイン、甘くてとても飲みやすいですね」

一口飲むとその美味しさに驚いた

「あー‥アリー、あまり飲み過ぎないでくれ。このワインは今夜の為に用意された特別な酒で‥‥」

「まぁ、特別に作られたのですか?ならもっといただかなくては」

「アリー!そんなに飲んではいけない‥‥
これには緊張をほぐす薬が入れられているから‥‥」

「薬?こんなに美味しいワインですのに?」

疎いアリアンはピンとこないようだ

だが、暫くすると‥‥

「ヴィル様?何だか体の奥が熱くて‥‥」

お酒が体中に行き渡ったようだ
普段お酒を口にしないせいだろうか
酔ってしまったみたいで体の芯が火照って何かを求める

「アリー、今日はいくら煽られてもいい」

蕩けるようなアリアンの表情にヴィルドルフの理性は飛んだ

ヴィルドルフはアリアンを抱きかかえベッドに静かに寝かせた

「もう我慢する必要はないからね」

「我慢されていたのですか?」

「ああ、いつもね。こんなに愛する人の側に居ながら、どれだけ耐えてきたことか」

愛おしそうに髪を撫で、アリアンの髪を掬い上げると口付けた

「ヴィル様‥これからは我慢などしないでください」

「ああ‥‥堪らないな‥。アリーは言ってる意味を解っているのかな‥‥」

「‥え?‥」

「今日は寝かせてやれないかもしれないよ」

「んっ‥‥」

ヴィル様に唇を塞がれる
いつもより激しくいつもより唇が熱い
体の奥が熱くて、ヴィル様の口付けに体中が蕩けそうになる

恥ずかしさも忘れ、ヴィル様にすべてを委ねた


「はぁっ‥‥あっっ‥‥」

浅い呼吸を繰り返しながら手をヴィル様の首に回した

「愛してるよアリー‥‥愛してる」

何度も言い続けるヴィル様に、私も‥と返すのがやっとだった
自分の体が自分のものではないような、感じたことのない感情と感覚に陥ってしまった
私は身も心もヴィル様のものになったのである‥‥



二年後
私は娘を産んだ

「アリー、ありがとう。アリーによく似た美しい子だよ」

ヴィル様は涙を流して喜んでくれ、何度も口付けをしてくれた

娘は私と同じ紫の瞳をしていた
髪はヴィル様と同じで金色の美しい髪をしていた

名をルリアと名付けた

同じ頃‥‥
アルンフォルトの隣国、ダルトタナード国で第一王子が産まれていた

王子の名は、ベルラードと名付けられていた

二人が出会うのは、まだまだ先のお話‥



娘を産んでから五年後
フィリップ国王が病に倒れ、王位を譲った
ヴィル様が国王となったのである
そして私が王妃となった

こうして、消されたはずのブルボマーナの第二王女は、隣国の王妃になったのである




                END


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初投稿のど素人作品を読んでいただき、どうもありがとうございました。
最後まで読んでくださった方に感謝しております。
長い間ありがとうございました。
















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