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ラウルside2
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次の日も、その次の日も‥‥
何故か私は見に行った
ある時、庭でばったり出くわした
文句のひとつも言ってやろうか‥‥
そう思った
「何か困ってることはない?」
思わず違う言葉を口走ってしまう
「いいえ、皆さんよくしてくれますから」
彼女は笑ってそう言った
辛いはずの仕事‥
慣れない環境‥
平民に落とされた今の立場‥
泣いて怒ってもいい筈だ
本当は彼女は何も悪くない
けれどアリーは文句を言わない
誰も責めない
他の使用人にも平気で頭を下げている
これが王女か?
これがマリアの娘なのか?
私は気が付けば、さり気なくいつもアリーを探していた
朝は洗濯をしている
厨房に行けば皿を洗っている
夜に行けば床を磨いている
時々庭の手伝いもしていた
朝早くから夜遅くまで、よく働いていた
憎むべき存在の彼女は健気だった
あまりにも素直で謙虚で真面目だった
母さん‥‥マリアもそんな人だったのかもしれないよ‥‥
誰にも怪しまれないように、時々声を掛けた
「大丈夫?あまり無理をするなよ」
「ありがとうございます。私は大丈夫です」
いつも笑って応えてくれた
「何かあったら言ってくれ」
「お気遣いありがとうございます。大丈夫です」
アリーはいつも笑顔で、少し恥ずかしそうに大丈夫だと言う
そんな姿は私を魅了した
父を許せずにいた自分が、父の気持ちが解るようになった
いつの間にかアリーを好きになっていた
あの可愛らしい笑顔を見てしまったら、忘れられない父の気持ちが解ってしまったのだ
マリアも同じなら仕方のないことだと‥‥
いつの間にか父も苦しかったのだろうと思うようになった
父も哀れに思えてきた
嫌いだった父を許していた
アリーが来てから父との関係が良くなった
やっと本物の親子になれた様だった
お互いに何でも話せるようになり、父の想いも全て聞いた
そしてその全ての感情が理解出来た
このままずっとサマフォートの屋敷に居て欲しかった
母を思えば、アリーを妻とすることは裏切るような行為だ
頭では理解していたが、アリーのことが好きだった
ヴィルドルフ殿下が現れ、あっという間にアリーを連れ去ってしまった
王女なのだから、王太子の妃の方が相応しい
それも頭では理解していた
でも心の中は苦しかった
ルドルフ様までもがアリーに惚れていた
ヴィルドルフ殿下の前で、アリーと離れるなら命を絶つとまで言った
そこまでの強い想い‥‥
恋敵は皆私より格上ばかりだ
相手が皆強敵すぎる
私に勝ち目は無い‥‥
初めからそんなつもりじゃなかった
好きになるとは思わなかった
こんな筈じゃなかったんだ‥‥
気持ちを告げるつもりも無かった
けれど最後に抱きしめた時、自分の心は正直だった
本当は、いつまでも側に居たかった
居て欲しかった‥‥
ポケットにしまってある刺繍入りのハンカチを広げた
母の髪の色である淡いピンク色で、サマフォート家の紋章が刺繍されていた
アリーは母とサマフォート家を結び付けてくれていた
母さん‥‥父さんを許してあげて欲しい
皆叶わぬ恋に苦しんだ者同士
俺は母さんを裏切らずにここで暮らすからさ‥‥
父さんのことは許してやってくれ
私はあの笑顔を忘れられるだろうか‥‥
戻っては‥‥こないよね‥‥アリー
何故か私は見に行った
ある時、庭でばったり出くわした
文句のひとつも言ってやろうか‥‥
そう思った
「何か困ってることはない?」
思わず違う言葉を口走ってしまう
「いいえ、皆さんよくしてくれますから」
彼女は笑ってそう言った
辛いはずの仕事‥
慣れない環境‥
平民に落とされた今の立場‥
泣いて怒ってもいい筈だ
本当は彼女は何も悪くない
けれどアリーは文句を言わない
誰も責めない
他の使用人にも平気で頭を下げている
これが王女か?
これがマリアの娘なのか?
私は気が付けば、さり気なくいつもアリーを探していた
朝は洗濯をしている
厨房に行けば皿を洗っている
夜に行けば床を磨いている
時々庭の手伝いもしていた
朝早くから夜遅くまで、よく働いていた
憎むべき存在の彼女は健気だった
あまりにも素直で謙虚で真面目だった
母さん‥‥マリアもそんな人だったのかもしれないよ‥‥
誰にも怪しまれないように、時々声を掛けた
「大丈夫?あまり無理をするなよ」
「ありがとうございます。私は大丈夫です」
いつも笑って応えてくれた
「何かあったら言ってくれ」
「お気遣いありがとうございます。大丈夫です」
アリーはいつも笑顔で、少し恥ずかしそうに大丈夫だと言う
そんな姿は私を魅了した
父を許せずにいた自分が、父の気持ちが解るようになった
いつの間にかアリーを好きになっていた
あの可愛らしい笑顔を見てしまったら、忘れられない父の気持ちが解ってしまったのだ
マリアも同じなら仕方のないことだと‥‥
いつの間にか父も苦しかったのだろうと思うようになった
父も哀れに思えてきた
嫌いだった父を許していた
アリーが来てから父との関係が良くなった
やっと本物の親子になれた様だった
お互いに何でも話せるようになり、父の想いも全て聞いた
そしてその全ての感情が理解出来た
このままずっとサマフォートの屋敷に居て欲しかった
母を思えば、アリーを妻とすることは裏切るような行為だ
頭では理解していたが、アリーのことが好きだった
ヴィルドルフ殿下が現れ、あっという間にアリーを連れ去ってしまった
王女なのだから、王太子の妃の方が相応しい
それも頭では理解していた
でも心の中は苦しかった
ルドルフ様までもがアリーに惚れていた
ヴィルドルフ殿下の前で、アリーと離れるなら命を絶つとまで言った
そこまでの強い想い‥‥
恋敵は皆私より格上ばかりだ
相手が皆強敵すぎる
私に勝ち目は無い‥‥
初めからそんなつもりじゃなかった
好きになるとは思わなかった
こんな筈じゃなかったんだ‥‥
気持ちを告げるつもりも無かった
けれど最後に抱きしめた時、自分の心は正直だった
本当は、いつまでも側に居たかった
居て欲しかった‥‥
ポケットにしまってある刺繍入りのハンカチを広げた
母の髪の色である淡いピンク色で、サマフォート家の紋章が刺繍されていた
アリーは母とサマフォート家を結び付けてくれていた
母さん‥‥父さんを許してあげて欲しい
皆叶わぬ恋に苦しんだ者同士
俺は母さんを裏切らずにここで暮らすからさ‥‥
父さんのことは許してやってくれ
私はあの笑顔を忘れられるだろうか‥‥
戻っては‥‥こないよね‥‥アリー
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