【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子

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聖女と騎士と皇帝と

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アリアンは心配された夜を無事に乗り越えたが、２日目３日目になっても目を覚まさなかった

フィリップ国王は、国をいつまでも空けているわけにはいかない為、３日目の朝にブルボマーナを発った

国王に伴う為、騎士や兵も皆アルンフォルトに向けブルボマーナを発った

だが、アリアンを心配してブルボマーナに残りたいと願い出た者達がいた

リベール、ロバートディーク、オリバーケイルの三人だった

三人は、アリアンのことが気になり戻ることが出来なかった

隊長二人が残ることに、隊員達は驚き動揺したが、国王陛下を守る為、騎士団の役目を果たすべく奮起し旅立って行った

アリアンは、診療室から客室に移されていた
豪華で煌びやかな客室だが、皆の心は暗く沈んだままだった

ヴィルドルフとルドルフは、ほとんど食事も摂らなかった
まともに寝ることも無く、二人はずっとアリアンの側を離れずにいた

「殿下！倒れてしまいます！お食事を摂ってください」

「殿下！私が寝ずに見ておりますから今日だけは寝てください」

キーラが頼み込んでも返事すら出来ないほどに憔悴していた

侍医が、アリアンの脈が弱まっていることを告げると、その夜、ベッドの脇にはヴィルドルフ、ルドルフ、スペンサー、ラリー・サマフォートの四人が座って見守っていた

突然の睡魔に襲われた四人は、同時に意識を手放した

～～～～

私は聖女様に返事が出来ないままでいた

私が頷けばきっと、アリアンという私は消えてしまうのだろう

それは同時に、人としての私が亡くなることを意味している

二度とヴィル様とルドルフ様には会えないのだ

「アリアン‥‥お願い。私の手を取って」

聖女様は、座っている私に手を伸ばした

私は目を瞑った

色々辛い事があった
生きてる事が嫌になることもあった
でも今は‥‥本当は、もう一度大切な人達と生きていきたい

『聖女様！お待ちください！』

その声に驚いて目を開けると、四人の男性が走って来るのが見えた

「あなた達！どうして‥‥」

聖女様は驚いて彼らを見つめている

『お待ちください』

それは前に映し出された騎士達四人だった

「何故こんな所にあなた達が？」

聖女様と騎士達の姿を見て私は立ち上がった

四人の騎士が聖女様の下に跪いた

『その女性を連れて行くのはお止めください』

『私達から引き離すのは止めてください』

「もう十分あなた達と過ごしてきたわ。これで終わりにしましょう。
ヴィ、ドル、スペン、マーフォート‥‥
お願いよ」

『私達は聖女様の側を離れたくありません。未来永劫をお誓いした筈です』

『今はヴィルドルフとルドルフが、彼女が目覚めるのを待っています。彼女を連れて行くのはあまりに不憫です』

「けれど百人よ！百人全てあなた達を愛した女性から恨まれたのよ！これ以上、子を産んで犠牲にすることは出来ないわ」

『私達が守りきれなかったことはお詫び致します！ですが、私達は聖女様と歩む人生を諦めきれません』

「だいたい、あなた達四人は、皆いつも見目麗しくて地位も高くて女性から想われすぎるのよ！農夫やパン屋の主人にでもなったらどうなの？
いつもいつも王や公爵や騎士だなんて、女性に人気がありすぎるのよ！」

『ですが、聖女様に振り向いて頂かなくてはなりませんから仕方ないのです』

『そうですよ！聖女様はお美しいですから、もし私が農夫になっても時の王に奪われたら終わりですよ！』

『そうですよ！今だってヴィルドルフとルドルフの他にも、アリアン王女に惚れている男達がいるのですよ！他の男に奪われるなんて耐えられません！』

『私達四人でも揉めておりますのに！』

「まったく‥‥私は今まで全員と結婚して全員の子供を産んだわ！もうそれで十分じゃないの。私が天に帰ったら、他の女性との新しい縁を作りなさい」

『聖女様、私達四人は聖女様以外を愛することが出来ないのです。知っておられる筈です。私達は聖女様以外は目に入らないのですよ』

「ならば何故、私の血を継ぐ者達がこのように可哀想な思いをして命を奪われなければならないの？あなた達に見つかるといつも恨まれるのよ！もう嫌よ！」

『今後は必ずお守りしますから！聖女様』

「そう言って百人目ですよ！」

『わかっております。聖女様を傷つけ苦しめてきた事は深く反省しております。今後は必ずお守りします。ですから、その女性を連れて行かないでください』

『天に帰らないでください。私共から離れて行かないでください』

『ルリア！』

もう一人の男性が現れた
長いマントを身に纏い、マントは紫色で、銀糸の刺繍がしてある

「ベルラード‥‥？」

『ルリア！止めてくれ』

「何故あなたもここへ？」

『君が天に帰るのではないかと心配で駆け付けた』

「もう十分でしょう！ベルラードとも何度も人生を共にしたはずよ」

『次は私の番なのだぞ！私が次の聖女の生まれ変わりと結婚する番なのだ！アリアンを失っては私の番が来ないではないか！』

「もう、五人とも‥‥何度も同じ事を言わせないで欲しいの」

『何と言われようと、私達は離れられません』

五人は聖女様の前に並び、私を見た

『ヴィルドルフは君を心から愛している。戻ってやって欲しい』

『ルドルフも、君を失っては生きていけない。どうか彼の想いを受け入れてやって欲しい』

えっ？

五人は一斉に私に頭を下げた

「あの‥‥私は‥‥」

「アリアン？私と共に帰りましょう？今しかないのよ」

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