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その後‥
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ルドルフは、ふらつく足取りでアリアンの居る診療室を訪れた
扉を開けると、ベッドに青白い顔をしたアリアンが寝ていた
その横の椅子に座り、アリアンの手を握りしめたままのヴィルドルフがこちらを向いた
「ヴィルドルフ王太子殿下、申し訳ありません」
ルドルフは、言葉を発した途端、その場で泣き崩れた
キーラは部屋の隅からルドルフに駆け寄ると
「今、椅子を持ってきます!気をしっかり持ってください」
と背を摩った
「アリアンを守ると誓ったばかりの私が‥‥アリアンをこんな目に合わせてしまうなんて‥‥私は‥‥アリアンを苦しめてばかりだ‥‥」
ルドルフの悲痛な叫びに、ヴィルドルフも胸が張り裂けそうになる
「俺は隣に居ながらアリーを守れなかった‥‥俺の責任だ‥‥ルドルフすまない」
肩を落とし、力無く呟くようにヴィルドルフは言った
二人の姿はあまりにも切なく、キーラは胸がえぐられるような痛みを感じた
側近でありながら、身を挺して守れなかった自分を責めた
あの場に居た全員が、自分を責めて後悔していた‥‥
今目を開けてくれたなら、どれだけの人が救われるのだろうか‥‥
だが、その願いも虚しく、アリアンが目を開ける気配は無い
フィリップ王とスペンサーは、両方の報告を受けた
沈黙が続いた
「スペンサー王、娘が心配であろう。娘の所へ行ってやるといい」
「この様な騒ぎが起きてしまったことは、私の責任です。申し訳ありません、フィリップ国王陛下」
「いや、これはスペンサー王のせいでは無い。早く娘の所へ」
「スペンサー王!私は目の前のアリアン王女を救えなかったのです。申し訳ありませんでした」
リベールは、報告に来たまま、部屋に留まっていた
「いや、君は自分を責めなくていい。王宮で起こった事は、私の責任だ」
「ですが、私が」
「リベール!止めろ!スペンサー王、早く行った方がいい」
「はい。では失礼します」
スペンサーは部屋を出た
バタンッ
「リベール、あまり自分を責めるな。お前のせいではない!誰のせいでもない。責め合うのは止めよう。運命とはそういうものだ」
「父上」
「なぁリベール。お前の目から見て、アリアン王女というのは、どんな女性であったか教えてくれ」
「アリアン王女は‥‥あのような女性は‥‥他にいないでしょうね」
「何だ?お前も惚れてしまったか?」
「やめてください、父上!そうではありません」
ハハハハッ
フィリップ王は椅子から立ち上がると背を伸ばした
「父上。私は先程まで、アリアン王女は我が国の王妃に相応しくないと思っておりました。
兄上があの様な別人になる程に惚れ込む女性は、国にとって害になるのではないかと‥‥。兄上が王として、正しい判断をしていく上で、王妃の機嫌取りに走ってしまうのではないかと不安に思ったのです」
「それで?」
「我が国を滅ぼすかもしれぬ女を、アルンフォルトには連れ帰りたく無いと思ったのです」
「そうか‥‥」
「ですが‥刺されたアリアン王女は、自分が死ぬかもしれない状況でありながら、一人一人に礼を言っていたのです‥‥
恨み言ひとつ言わず、刺した相手を誰かも聞かずに、限りある意識の中で選んだのは、皆への気遣いでした‥‥
会ったばかりの私にでさえ、迷惑ばかりかけた事を許して欲しいと言ったのです。
あのような女性は‥そう居ないでしょう」
「ハハハハッ、なるほどな」
「父上!何がおかしいのですか!」
「お前の様な賢い男が、情に心動かされるとは嬉しい事だ」
「情?」
「情では無いな‥‥恋に落ちるのは一瞬だ」
「何を仰っているのですか!お止めください!兄上の婚約者ですよ!」
「やはり、魔性の女ということか」
「アリアン王女に失礼な言い方は、止めてください」
ハハハハハッ
フィリップ王は何故か嬉しそうに笑った
「助かってくれると良いな。我が息子達の為にも‥‥」
遠くを見る目でポツリと呟いた
扉を開けると、ベッドに青白い顔をしたアリアンが寝ていた
その横の椅子に座り、アリアンの手を握りしめたままのヴィルドルフがこちらを向いた
「ヴィルドルフ王太子殿下、申し訳ありません」
ルドルフは、言葉を発した途端、その場で泣き崩れた
キーラは部屋の隅からルドルフに駆け寄ると
「今、椅子を持ってきます!気をしっかり持ってください」
と背を摩った
「アリアンを守ると誓ったばかりの私が‥‥アリアンをこんな目に合わせてしまうなんて‥‥私は‥‥アリアンを苦しめてばかりだ‥‥」
ルドルフの悲痛な叫びに、ヴィルドルフも胸が張り裂けそうになる
「俺は隣に居ながらアリーを守れなかった‥‥俺の責任だ‥‥ルドルフすまない」
肩を落とし、力無く呟くようにヴィルドルフは言った
二人の姿はあまりにも切なく、キーラは胸がえぐられるような痛みを感じた
側近でありながら、身を挺して守れなかった自分を責めた
あの場に居た全員が、自分を責めて後悔していた‥‥
今目を開けてくれたなら、どれだけの人が救われるのだろうか‥‥
だが、その願いも虚しく、アリアンが目を開ける気配は無い
フィリップ王とスペンサーは、両方の報告を受けた
沈黙が続いた
「スペンサー王、娘が心配であろう。娘の所へ行ってやるといい」
「この様な騒ぎが起きてしまったことは、私の責任です。申し訳ありません、フィリップ国王陛下」
「いや、これはスペンサー王のせいでは無い。早く娘の所へ」
「スペンサー王!私は目の前のアリアン王女を救えなかったのです。申し訳ありませんでした」
リベールは、報告に来たまま、部屋に留まっていた
「いや、君は自分を責めなくていい。王宮で起こった事は、私の責任だ」
「ですが、私が」
「リベール!止めろ!スペンサー王、早く行った方がいい」
「はい。では失礼します」
スペンサーは部屋を出た
バタンッ
「リベール、あまり自分を責めるな。お前のせいではない!誰のせいでもない。責め合うのは止めよう。運命とはそういうものだ」
「父上」
「なぁリベール。お前の目から見て、アリアン王女というのは、どんな女性であったか教えてくれ」
「アリアン王女は‥‥あのような女性は‥‥他にいないでしょうね」
「何だ?お前も惚れてしまったか?」
「やめてください、父上!そうではありません」
ハハハハッ
フィリップ王は椅子から立ち上がると背を伸ばした
「父上。私は先程まで、アリアン王女は我が国の王妃に相応しくないと思っておりました。
兄上があの様な別人になる程に惚れ込む女性は、国にとって害になるのではないかと‥‥。兄上が王として、正しい判断をしていく上で、王妃の機嫌取りに走ってしまうのではないかと不安に思ったのです」
「それで?」
「我が国を滅ぼすかもしれぬ女を、アルンフォルトには連れ帰りたく無いと思ったのです」
「そうか‥‥」
「ですが‥刺されたアリアン王女は、自分が死ぬかもしれない状況でありながら、一人一人に礼を言っていたのです‥‥
恨み言ひとつ言わず、刺した相手を誰かも聞かずに、限りある意識の中で選んだのは、皆への気遣いでした‥‥
会ったばかりの私にでさえ、迷惑ばかりかけた事を許して欲しいと言ったのです。
あのような女性は‥そう居ないでしょう」
「ハハハハッ、なるほどな」
「父上!何がおかしいのですか!」
「お前の様な賢い男が、情に心動かされるとは嬉しい事だ」
「情?」
「情では無いな‥‥恋に落ちるのは一瞬だ」
「何を仰っているのですか!お止めください!兄上の婚約者ですよ!」
「やはり、魔性の女ということか」
「アリアン王女に失礼な言い方は、止めてください」
ハハハハハッ
フィリップ王は何故か嬉しそうに笑った
「助かってくれると良いな。我が息子達の為にも‥‥」
遠くを見る目でポツリと呟いた
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