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ナタリス・フランフェル2
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でもその頃から、少しずつルドルフ様の態度が変わってきた
私に対しては相変わらず無愛想なのに、時々とてもお洒落に気を遣ってる事があった
初めは私の為に、やっと気遣いが出来るようになったのかと喜んだけれど、違うようだった
しきりに服装や髪型を気にしたかと思えば
「これから仕事がある。早く帰ってくれ」
と言われた
そんな時は必ず彼から甘い匂いがした
彼はどんどん変わっていった
体格もより一層立派になり、騎士服を着たら似合いそうな程に体も鍛えられていた
いつも何かソワソワして、私の顔を見ると露骨に嫌な顔をするようになった
きっと別に女を作ったのだと思った
そして、私に会う日に隠れて彼女に会いに行くのだと‥
甘い匂いは、彼女への菓子の手土産だろう
私は彼から何も貰った事が無い
そんな非常識な男が、私じゃない別の女には、せっせとお洒落をして手土産まで持って行くなんて許せない
どんな女なの?
絶対に許さないから
私は特別な人間なのよ
皆から憧れる立場の人間よ
それを壊そうとする女なんて絶対に許さないからね
彼とお茶会の日
相変わらず私には笑顔ひとつ見せない男
今日もお洒落をしている
甘い匂いもする
ソワソワしながら、
「早く帰ってくれ。急いで仕事に行かなくてはいけない」
と言った
「分かりました」
私は外に出ると、遠くに馬車を停めて待っていた
彼が屋敷を出て馬車を走らせた
跡をつけた
何処の女の所へ行くのかしら‥
見せて貰いましょう
馬車は王宮に着いた
あら?本当に仕事だったのかしら‥
彼は父親の宰相に付いて王宮で仕事をしていた
やっぱり仕事だったのね‥
私は安心して家へ帰った
けれど、それから何度も同じ事が続いた
跡をつけても、いつも王宮‥
仕事の割には、いつも両手に沢山の物を抱えて馬車を降りている
もしかして、王宮で働く女性なのかしら‥
メイド?侍女?誰なの?
私は気になって王宮に入る事にした
お父様は、時々王宮に呼ばれる事もあるから、私は門番に家名と父の用で来たと嘘をつき中に入った
そしてルドルフ様に気付かれない様に跡をつけた
彼は王宮を通り抜けた
え?何処へ行くのかしら‥
こっそり見ていると、王宮の後ろには白い離宮が建っていた
こんな所に離宮が?
誰の離宮なのかしら‥
ルドルフ様は迷わず脇の庭から奥へ入って行った
とても慣れている
何度も通っている事が分かる
こっそり建物の陰に隠れて覗いてみる
二人の女性が居た
一人は侍女のようだが、その隣には小さな長い濃紺の髪の少女が居た
ルドルフ様は少女の髪を撫で、肩を抱く様にして離宮の中へ入って行った
え?
私よりずっと幼く見える
え?
どういうこと?
勝手に豊満な肉体の美女かと思っていたら、まだ子供‥
確かに遠目でも、色白で綺麗な少女だということは分かる
けれど、子供じゃない
相手にならないわ
きっとルドルフ様も仕事の一環で相手をしてるだけね
そう思った
なのに、何年経っても結婚の話が進まない
それどころか、私が結婚の話をする度に苛立っているようで
「どうでもいい」
「何でも好きにやってくれ」
と冷たい態度ばかり
相変わらず
「仕事だから、早く帰ってくれ」
の一点張り
周りの令嬢が皆結婚していくのに、もうすぐ20歳になる私が未だに結婚出来ずにいる
誰よりも早く婚約者が決まっていたのに、置いてけぼりだ
許せない
ある日、またこっそり跡をつけた
ルドルフ様は、両手に菓子やら本やら沢山抱えている
何なのよ‥
何で私には何もくれないくせに、あの女には運んでるのよ
迷わず庭に行くルドルフ様を、建物の陰から見ていた
使用人に荷物を預けるとすぐにあの女の隣に立った
あの濃紺の髪の少女は、スラリと背が高くなっていた
ルドルフ様の肩くらいの背はあるだろうか
あの時の少女が、とても綺麗に見えた
ルドルフ様は笑っていた
私に見せた事も無い笑顔で、声を出して笑っている
信じられない
笑った顔など私に見せた事も無い男だ
それなのに、今は声を出して楽しそうに笑っているのだ
「アリアン?今日は、王都に新しくできた店で、ハチミツのタルトとチョコレートケーキを買ってきたよ!一緒に食べよう」
「まぁ、ルドルフ様、ありがとうございます。ハチミツもチョコレートも大好きです」
「アリアンの好きな物は知っているよ」
そう言ってルドルフ様がその女の髪に触れ肩を抱いた
何なの?
何を見せられているの?
あの女は何なの?
この離宮は何なの?
ルドルフ様のあの態度は何?
私の好きな物なんて、あなた知らないじゃない!
聞いてきた事もないじゃない!
買ってきた事もないじゃない!
こんな屈辱耐えられない
あの女を殺してやりたい
許せない
私に対しては相変わらず無愛想なのに、時々とてもお洒落に気を遣ってる事があった
初めは私の為に、やっと気遣いが出来るようになったのかと喜んだけれど、違うようだった
しきりに服装や髪型を気にしたかと思えば
「これから仕事がある。早く帰ってくれ」
と言われた
そんな時は必ず彼から甘い匂いがした
彼はどんどん変わっていった
体格もより一層立派になり、騎士服を着たら似合いそうな程に体も鍛えられていた
いつも何かソワソワして、私の顔を見ると露骨に嫌な顔をするようになった
きっと別に女を作ったのだと思った
そして、私に会う日に隠れて彼女に会いに行くのだと‥
甘い匂いは、彼女への菓子の手土産だろう
私は彼から何も貰った事が無い
そんな非常識な男が、私じゃない別の女には、せっせとお洒落をして手土産まで持って行くなんて許せない
どんな女なの?
絶対に許さないから
私は特別な人間なのよ
皆から憧れる立場の人間よ
それを壊そうとする女なんて絶対に許さないからね
彼とお茶会の日
相変わらず私には笑顔ひとつ見せない男
今日もお洒落をしている
甘い匂いもする
ソワソワしながら、
「早く帰ってくれ。急いで仕事に行かなくてはいけない」
と言った
「分かりました」
私は外に出ると、遠くに馬車を停めて待っていた
彼が屋敷を出て馬車を走らせた
跡をつけた
何処の女の所へ行くのかしら‥
見せて貰いましょう
馬車は王宮に着いた
あら?本当に仕事だったのかしら‥
彼は父親の宰相に付いて王宮で仕事をしていた
やっぱり仕事だったのね‥
私は安心して家へ帰った
けれど、それから何度も同じ事が続いた
跡をつけても、いつも王宮‥
仕事の割には、いつも両手に沢山の物を抱えて馬車を降りている
もしかして、王宮で働く女性なのかしら‥
メイド?侍女?誰なの?
私は気になって王宮に入る事にした
お父様は、時々王宮に呼ばれる事もあるから、私は門番に家名と父の用で来たと嘘をつき中に入った
そしてルドルフ様に気付かれない様に跡をつけた
彼は王宮を通り抜けた
え?何処へ行くのかしら‥
こっそり見ていると、王宮の後ろには白い離宮が建っていた
こんな所に離宮が?
誰の離宮なのかしら‥
ルドルフ様は迷わず脇の庭から奥へ入って行った
とても慣れている
何度も通っている事が分かる
こっそり建物の陰に隠れて覗いてみる
二人の女性が居た
一人は侍女のようだが、その隣には小さな長い濃紺の髪の少女が居た
ルドルフ様は少女の髪を撫で、肩を抱く様にして離宮の中へ入って行った
え?
私よりずっと幼く見える
え?
どういうこと?
勝手に豊満な肉体の美女かと思っていたら、まだ子供‥
確かに遠目でも、色白で綺麗な少女だということは分かる
けれど、子供じゃない
相手にならないわ
きっとルドルフ様も仕事の一環で相手をしてるだけね
そう思った
なのに、何年経っても結婚の話が進まない
それどころか、私が結婚の話をする度に苛立っているようで
「どうでもいい」
「何でも好きにやってくれ」
と冷たい態度ばかり
相変わらず
「仕事だから、早く帰ってくれ」
の一点張り
周りの令嬢が皆結婚していくのに、もうすぐ20歳になる私が未だに結婚出来ずにいる
誰よりも早く婚約者が決まっていたのに、置いてけぼりだ
許せない
ある日、またこっそり跡をつけた
ルドルフ様は、両手に菓子やら本やら沢山抱えている
何なのよ‥
何で私には何もくれないくせに、あの女には運んでるのよ
迷わず庭に行くルドルフ様を、建物の陰から見ていた
使用人に荷物を預けるとすぐにあの女の隣に立った
あの濃紺の髪の少女は、スラリと背が高くなっていた
ルドルフ様の肩くらいの背はあるだろうか
あの時の少女が、とても綺麗に見えた
ルドルフ様は笑っていた
私に見せた事も無い笑顔で、声を出して笑っている
信じられない
笑った顔など私に見せた事も無い男だ
それなのに、今は声を出して楽しそうに笑っているのだ
「アリアン?今日は、王都に新しくできた店で、ハチミツのタルトとチョコレートケーキを買ってきたよ!一緒に食べよう」
「まぁ、ルドルフ様、ありがとうございます。ハチミツもチョコレートも大好きです」
「アリアンの好きな物は知っているよ」
そう言ってルドルフ様がその女の髪に触れ肩を抱いた
何なの?
何を見せられているの?
あの女は何なの?
この離宮は何なの?
ルドルフ様のあの態度は何?
私の好きな物なんて、あなた知らないじゃない!
聞いてきた事もないじゃない!
買ってきた事もないじゃない!
こんな屈辱耐えられない
あの女を殺してやりたい
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