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第一部隊の初仕事
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王都から遠く離れた辺境の地
古い酒場のカウンターに、一人の男が座って酒を飲んでいる
白髪交じりで、身なりは豪華な生地で仕立てた長いジャケットを着ている
上流階級の人間だとすぐに分かる
「良い酒を飲んでいますね」
その声に男が振り返る
「誰だ?お前は」
「私は旅の者ですよ。こんな辺境の酒場で見かけないような身分の方だと思ったので」
「旅の者?用も無いのに気安く声を掛けるな」
「大変失礼いたしました」
「平民の分際で近寄るな」
「いえ、私の家は侯爵の爵位を賜っております」
「あ?侯爵?何処の家だ」
「私はこの国の者ではございませんので」
「侯爵家の者が何故そのような農夫の格好をしている」
「この辺りで人探しをするには、農夫の格好が一番動きやすいものですから」
「人探し?」
「ええ。この国の王宮侍医を」
ガターン!
男は勢いよく出口に走り出した
「おっと」
戸の前では、先程まで酒を飲んでいた客が二人立っている
「どけ!早くどけ!」
「あなたを探していたのに、逃すわけにはいきませんね」
「あ?何だお前は!客だろう!」
「いいえ、隣国アルンフォルトの王家直属の騎士団ですよ」
「何だと!」
腕を片方ずつ掴まれている
「放せ!手をどけろ!」
白髪交じりの男は力いっぱい腕を振るが男達は微動だにしない
後ろからゆっくりと先程の農夫姿の男がやって来た
「こんな辺境の地に隠れていたいのなら、せめて農夫の格好でもしたら良かったのではないですか?その様な身なりでは目立ちますからね」
「何なんだ、お前達は!何故私を捕まえる」
「ご自分が一番解ってるのではないですか?」
「何の事だ!お前達にこの国の事は関係ないだろう!隣国の人間が何の為にこんな事をするんだ!」
「我が主君のご命令ですからね。大人しく来ていただきましょう」
「手を放せ!私は侍医だぞ、騎士などとは立場が違う!無礼者、手を放せ!」
「そうですね。立場が違う。あなたはただの罪人だ」
「何だと貴様!偉そうな口を利くな」
「私はアルンフォルト国騎士団、第一部隊、隊長オリバーケイル。あなたを我が主君、ヴィルドルフ王太子殿下のもとへ連行する」
「何だと!やめろ!放せ!」
汗を流しながら必死に抵抗を続ける侍医に、相変わらず屈強な騎士は微動だにしない
「隊長!こいつうるさいので、大人しくさせてもいいですか?」
「あぁ、そうだな。理解力の足りない者にはその方が早い。だが、殿下の前では口を利ける程度にしておいてくれよ」
「はい。手加減はしますよ。俺も素人じゃありません」
ははははっ
店中の者が笑う
「お前に手加減なんて出来るのか?」
「手加減の意味知らないぜアイツは」
「そうそう、アイツの手加減は手加減とは言わないな」
店の中には農夫姿の客が10人
客の様に見えるが全員が騎士である
「先輩達、新人に冷たくないですか?」
「はははっ、俺達こんなに可愛がってるのにな?」
「あぁ、新人に大事な仕事を任せてやってるしな」
「隊長!これは苛めとは言わないんですか?」
「はぁ。こらこら、お前ら。第一部隊としてもっと品良くしてくれよ!また第二部隊のお坊ちゃん達に嫌味を言われるぞ!」
「はいはい!解りましたよ」
「アイツら偉ぶりすぎだよな!第一部隊は俺達だぜ」
「だよな」
「放せ!放せ!この野蛮な馬鹿ども」
叫び続ける王宮侍医は、突然「うっ」と声を上げると気を失った
「俺、手加減上手ですよね?」
「調子に乗るなよ、新人」
「はーい」
アルンフォルト国には、最強と謳われる王家直属の騎士団がある
騎士団第一部隊は、貴族の上流、中流、下流階級が混ざっている隊であった
階級では無く、剣術の腕前が一番重視されている
剣術大会で優勝した者や同等の実力を持つ騎士の精鋭部隊、強豪揃いなのである
隊員は30人程で構成されていた
対する第二部隊は、上流階級のみの騎士で隊を構成されている
公爵家の次男坊を隊長とし、頭脳派集団と呼ばれている
勿論、第二部隊というだけあり、腕前も一流だ
第一部隊の者には及ばずとも、十分精鋭部隊と呼べる腕前だ
第二部隊も30人程である
部隊は、第十部隊まである
第五部隊以降は、隊員数も増える
第十部隊は、庶民達との距離が近い存在であり、街の治安を守る為巡回などをしたり、国の式典などには警備や護衛を任されている
隊員は300人を超えている
ちなみに第五部隊は、影の集団となっている
そして、その騎士団を束ねる騎士団長は、キーラの父親なのであった
古い酒場のカウンターに、一人の男が座って酒を飲んでいる
白髪交じりで、身なりは豪華な生地で仕立てた長いジャケットを着ている
上流階級の人間だとすぐに分かる
「良い酒を飲んでいますね」
その声に男が振り返る
「誰だ?お前は」
「私は旅の者ですよ。こんな辺境の酒場で見かけないような身分の方だと思ったので」
「旅の者?用も無いのに気安く声を掛けるな」
「大変失礼いたしました」
「平民の分際で近寄るな」
「いえ、私の家は侯爵の爵位を賜っております」
「あ?侯爵?何処の家だ」
「私はこの国の者ではございませんので」
「侯爵家の者が何故そのような農夫の格好をしている」
「この辺りで人探しをするには、農夫の格好が一番動きやすいものですから」
「人探し?」
「ええ。この国の王宮侍医を」
ガターン!
男は勢いよく出口に走り出した
「おっと」
戸の前では、先程まで酒を飲んでいた客が二人立っている
「どけ!早くどけ!」
「あなたを探していたのに、逃すわけにはいきませんね」
「あ?何だお前は!客だろう!」
「いいえ、隣国アルンフォルトの王家直属の騎士団ですよ」
「何だと!」
腕を片方ずつ掴まれている
「放せ!手をどけろ!」
白髪交じりの男は力いっぱい腕を振るが男達は微動だにしない
後ろからゆっくりと先程の農夫姿の男がやって来た
「こんな辺境の地に隠れていたいのなら、せめて農夫の格好でもしたら良かったのではないですか?その様な身なりでは目立ちますからね」
「何なんだ、お前達は!何故私を捕まえる」
「ご自分が一番解ってるのではないですか?」
「何の事だ!お前達にこの国の事は関係ないだろう!隣国の人間が何の為にこんな事をするんだ!」
「我が主君のご命令ですからね。大人しく来ていただきましょう」
「手を放せ!私は侍医だぞ、騎士などとは立場が違う!無礼者、手を放せ!」
「そうですね。立場が違う。あなたはただの罪人だ」
「何だと貴様!偉そうな口を利くな」
「私はアルンフォルト国騎士団、第一部隊、隊長オリバーケイル。あなたを我が主君、ヴィルドルフ王太子殿下のもとへ連行する」
「何だと!やめろ!放せ!」
汗を流しながら必死に抵抗を続ける侍医に、相変わらず屈強な騎士は微動だにしない
「隊長!こいつうるさいので、大人しくさせてもいいですか?」
「あぁ、そうだな。理解力の足りない者にはその方が早い。だが、殿下の前では口を利ける程度にしておいてくれよ」
「はい。手加減はしますよ。俺も素人じゃありません」
ははははっ
店中の者が笑う
「お前に手加減なんて出来るのか?」
「手加減の意味知らないぜアイツは」
「そうそう、アイツの手加減は手加減とは言わないな」
店の中には農夫姿の客が10人
客の様に見えるが全員が騎士である
「先輩達、新人に冷たくないですか?」
「はははっ、俺達こんなに可愛がってるのにな?」
「あぁ、新人に大事な仕事を任せてやってるしな」
「隊長!これは苛めとは言わないんですか?」
「はぁ。こらこら、お前ら。第一部隊としてもっと品良くしてくれよ!また第二部隊のお坊ちゃん達に嫌味を言われるぞ!」
「はいはい!解りましたよ」
「アイツら偉ぶりすぎだよな!第一部隊は俺達だぜ」
「だよな」
「放せ!放せ!この野蛮な馬鹿ども」
叫び続ける王宮侍医は、突然「うっ」と声を上げると気を失った
「俺、手加減上手ですよね?」
「調子に乗るなよ、新人」
「はーい」
アルンフォルト国には、最強と謳われる王家直属の騎士団がある
騎士団第一部隊は、貴族の上流、中流、下流階級が混ざっている隊であった
階級では無く、剣術の腕前が一番重視されている
剣術大会で優勝した者や同等の実力を持つ騎士の精鋭部隊、強豪揃いなのである
隊員は30人程で構成されていた
対する第二部隊は、上流階級のみの騎士で隊を構成されている
公爵家の次男坊を隊長とし、頭脳派集団と呼ばれている
勿論、第二部隊というだけあり、腕前も一流だ
第一部隊の者には及ばずとも、十分精鋭部隊と呼べる腕前だ
第二部隊も30人程である
部隊は、第十部隊まである
第五部隊以降は、隊員数も増える
第十部隊は、庶民達との距離が近い存在であり、街の治安を守る為巡回などをしたり、国の式典などには警備や護衛を任されている
隊員は300人を超えている
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