【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子

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ルドルフside4

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サマフォート公爵家は側妃マリアの実家だ
兄のラリー・サマフォートがアリアンを匿っていてもおかしくない
けれど、半年も姉や姪に見つからずに居られるものか?
見つかったなら殺されている筈だ
でも、洗濯婦と言っていた
もしかしたら、屋敷メイドでは無く、洗濯場などの汚れた仕事のみの下働きなら主人達が顔を合わせる事はほとんどない
姉のような人は、汚い仕事場になどきっと行かない
平民などとは目も合わせないだろう
ならば、半年気付かれず匿われていても不思議ではない
会いたい気持ちが膨れるが、私の行動のせいで怪しまれては困る
もしアリアンなら、今度こそ私の想いのせいで危険に晒すわけにはいかない
確認するにも十分な準備が必要だ


死んだ筈の心に明かりが灯る
急に目の前が色付き始める
幸せな記憶が溢れ出す
間違いでもいい
僅かでも望みがあるのならば、アリアンだと信じて動いてみよう


その夜、父と共に夕食を摂った

「珍しい事もあるもんだな。何かあったか?」

「半年も引き籠っていたら、もういい加減飽きたよ。仕事に戻って人生やり直すよ」

「何だって?」

「ずっと考えていたんだ。我がバルヘルム家は元王族だ。私こそ王家に相応しいとね。だから、考えを直して家の為に働くよ」

「ルドルフ‥お前はやっと解ってくれたんだな。我がバルヘルムの立場を」

「あぁ、父さんの言う通りだったよ。私が離宮に行ったのが間違いだったんだ。目が覚めたよ」

「あぁ、やはり私の息子だ。それでこそ直系の血だ。明日、その身なりを整えろ。公爵の品位を落とすような事はするなよ。元の生活にまず戻せ」

「はい。わかりました」

今の姿は髪も髭も伸び放題で、顔は痩せこけ体も以前よりだいぶ痩せている
以前は体格も良く、アリアンを守りたい気持ちから剣術にも励み体を鍛えていた
騎士だと間違われる程、体力にも自信があった
かつては、青い目の貴公子と呼ばれ女性に持て囃されていたこともある
公爵の息子らしく見目良い美丈夫だと言われていた
今は面影も無い
昔のような身なりに戻さなくては外にも出られないな‥


それから二ヶ月をかけ、食事や生活を改めた
屋敷の中では、前々から気になる事があった
母は父が居る時は、部屋から出て来なくなっていた
顔も合わせず会話も無い
母は、元々口数の少ない人ではあった
けれど、とても優しい人で、私が落ちぶれた生活をしていても怒ることはなく、
ただ顔を合わせれば

「あなたの好きな様にしなさい。けれど命あっての人生よ。食事だけはしっかり摂ってちょうだい」

と言うだけで責めなかった
父の所には、時々派手なドレスを着た女性が訪ねてきていた
それが原因で夫婦仲が冷めたのかは知らないが、その女性と父は親しい間柄のように思えた


私は以前の様な生活に戻り、父と王宮に通うようになった
姉も『やっとまともな人間になったのね』と嫌味を言いつつ私を受け入れてくれた
これで、父や姉が何かを企んでも情報が入る
アリアンに気付いたなら、すぐに対処出来るだろう


王家を恨んでる振りをして、アリアンに人生を台無しにされた哀れな男の振りをして、父や姉の味方の振りをする


全てはアリアンが生きていると信じて彼女を守る為
今度こそ、生きているのなら私に守らせてくれと祈るのだった
























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