【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子

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サアラが知る秘密

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入り口でサアラは二人の様子を見ていた

アリアンお嬢様は疎い方で、侍女の私から見ればルドルフ様が何年もお嬢様を想い続けているのは知っていた
ルドルフ様は気付かれないように気を付けていた様だが、侍女の私から見ればお嬢様にだけ向ける熱く甘い眼差しは愛を語っていた
ルドルフ様の立場上、10才も歳が違ううえに、親である宰相と姉が側妃様を嫌っている
そんな状況でアリアンお嬢様に想いを告げれる筈もないのは私も知っていた
アリアンお嬢様もルドルフ様のことを兄のようだと慕っていた
この関係性をルドルフ様は、壊す事が出来なかったのだろうと思うと切なくなるのだ
アリアンお嬢様がいつも離宮に閉じ籠っている生活の中で、ルドルフ様が聞かせてくれる外の世界の話は、アリアンお嬢様の生きる気力に繋がっていた
見たこともない可愛らしいお菓子を沢山抱えてやって来ては、アリアンお嬢様を喜ばせていた
本や刺繍糸や布も、アリアンお嬢様が好みそうな物を選んで持って来ていた
陰ながら、この二人がこの立場で無かったなら幸せな暮らしが出来たのではないかと何度も思っていたのだ
今はヴィルドルフ様という、アリアンお嬢様が想いを寄せる方がいる
ルドルフ様の気持ちを知っているのはきっと私だけだ
この切なく苦しい愛は報われることはないのだろう

「あっサアラ」

「お待たせしました。アリアンお嬢様に薬湯をお持ちしました。飲み頃にしてあります。体の為に、この薬湯を飲んでもう少しお休みください」

「ありがとう、すぐに元気になるわ」

苦そうな顔をして飲み干すと、また寝息をたてすぐに眠りについた

「サアラ、ありがとう。君も辛い仕打ちを受けただろうにすぐに仕事をさせてすまない」

「いいえ、私は何の暴力も受けてませんので、体は大丈夫です。ルドルフ様こそ、お立場は大丈夫ですか?」

「あぁ、心配いらない。私は覚悟の上なのでね」

悲しそうに微笑んだ

「明日、アリアンと君の迎えが来る。心配せずに従ってくれ。いいね?」

「かしこまりました。仰せの通りにいたします」

ルドルフは静かに部屋を出て行った












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