【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子

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宰相の息子2

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「いや‥そんな‥」

動揺するラウルにヴィルドルフは聞いた

「何かあるのか?ラウル」

「私が知ってる範囲の話ですが、ルドルフ様は、侯爵家のナタリス様と結婚間近と噂されておりました。しかし、ルドルフ様がご病気になられたそうで破談になったと聞きました。寝たきりの生活だったようで、仕事もされず療養されていたようです。それが最近は治られたようで、父親の宰相の仕事を手伝っております」

「そうなのですか?」

今度は私が驚いてしまった
ルドルフ様がご病気になられていたなんて全く知らなかった
あんなに良くしていただいたのに、お辛い時に何のお返しも出来なかった‥
ご結婚も破談になるなんて、さぞお辛かったでしょうに‥
でもどこかで兄を取られずに済んだような安心感を覚えたのは何故だろう
私が勝手に兄として長い間慕っていたからだろうか‥
離宮に居なくなった私のことを知っているのだろうか‥
あの事件の事は知っているのだろうか‥
何故か自分がどう思われたのかとても気になってしまった

「ルドルフという男は今は父親と共に居るのだな?」

「はい。最近王宮で見かけた時も父親と一緒でしたので間違いないです」

「そうか、ならばそのルドルフという男は、宰相と王妃側の人間だと思っていていいな」

「そうですね」

頷き合う二人を見てとても切ない気持ちになった
ルドルフ様が王妃側?ローズ側?
そんなことを思うと胸が締め付けられるような感覚だ
ずっと私を気に掛けてくださったルドルフ様
あの方だけが、私にいつも王都の話や他国の面白い話を聞かせてくれたのに‥
あの方はいつも両手に沢山の菓子や本や刺繍糸を買ってきてくださっていたのに‥
そんなルドルフ様が母と私を陥れた者達と同じだなんて信じたくない

「アリー?どうかした?」

「あっ‥いいえ、何でもありません」

正面のヴィル様は眉間に皺を寄せている
嫌な思いをさせてしまったに違いない

「申し訳ございません」

「何に対して謝っているのかな‥」

ヴィル様の目が冷たく感じる

「いっいえ、何も‥」

重苦しい空気になる

そんな時、突然戸が開いた
店の人ではないようで、黒い服の男性が一言も発せず真っ直ぐヴィル様の後ろに来て屈んだ
ヴィル様は誰にも聞こえないような微かなやり取りをすると頷いた
黒服の男性はすぐに部屋を出て行った
何か嫌な予感がした
何か胸がざわざわとする
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