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本当の気持ち

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誰にも言えなかった

言ったら離宮の暮らしさえ失いそうで言えなかった

でも本当はずっと悔しかった

小さい頃からローズに命令されることも王妃から蔑まれることも離宮から出してもらえない事も何もかも‥

父の為、母の為と自由を奪われながら耐えた私が、今は大切な人を失い大切な居場所を追い出され、それでも我慢する必要はあるのだろうか‥

王妃とローズに嵌められ宰相や侍医にも裏切られ、母は信じた侍女に毒を盛られた

それなのに私はまだ黙って我慢しなければいけないの?

耐え続ける必要はある?

本当はずっと憎らしくて腹立たしくてあんな人達‥

「仕返ししてやりたい‥あんな人達に負けたくない‥」

口をついて出た
蓋をして閉じ込めていた本当の心が溢れ出た

「私の自由な人生を奪われて許せなかった‥」

思っても言えずにいたことが涙と一緒に零れ落ちる
私の中にもこんなにも黒い渦があったのだ
見ないようにしてただけ
でもその全てが私で本物の私だったのだ

「わかった。俺が君の味方だ。
アリー覚悟を決めたんだね?」

すぐ目の前にある瞳がギラリと光る

「はい‥ヴィル様、私を助けてくれますか?」

「もちろん、私の女神様。あなたのお心のままに」

彼はうっとりと蕩けるような笑顔で言うと涙でぐちゃぐちゃの私の頬を包み顔を近付けてそっと唇を重ねた
優しく柔らかな感触に時間が止まる

「殿下!」

キーラ様の慌てた声と同時にヴィル様を引き離すとさらに叫んだ

「何やってんだ、この変態!ふざけるな」

キーラ様は顔を真っ赤にしている
私も涙が止まり顔が熱くなる

「誓いの証さ、我が女神への愛の証」

嬉しそうにその綺麗なエメラルドを細めた
恥ずかしいのに温かい気持ちになる
二人の視線が絡む

「愛してるよアリー」

その言葉にまた一粒の雫が頬を伝った



外は陽が落ちて暗くなっていた

「お時間を取らせてしまって申し訳ありませんでした」

「いや、いいんだ。アリーが全てを話してくれて嬉しかったよ。これからのことは任せて欲しい」

「はい、ヴィル様に付いて行くと決めましたのでお任せします」

「あぁ任せてくれ」

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