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真相2
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私は一度天井を見上げてふぅと呼吸を整えると覚悟を決めた
「茶会が始まり、暫くはたわいないお喋りがされていました。同じテーブルには、リリアーナも居て王妃と仲良さそうに話していました。私と母は何も話しませんでしたが、私の隣に座るローズが機嫌良さそうに笑みを浮かべている事も不自然でした。すると突然、紅茶を口にした王妃が椅子から崩れ落ちるようにして倒れ込んでしまったのです。何事かと驚いていると
『苦しい、毒を盛られた』
と大声を出して踠き苦しみだしたのです。皆驚いて大騒ぎになり、王妃は王宮侍医の所へ急いで連れて行かれました。
そして、ローズが大声で
『マリア様が母に毒を盛ったわ!私見たのよ』
と言い出したのです
母は慌てて、
『私は何もやっていません』
と潔白を主張しましたが、同じテーブルに居たリリアーナも
『私もマリア様がカップに入れる仕草を見ました』
と言ったのです。
私は絶対に母はそんな事をしていない、そんな仕草は全くしていないと言い張りましたが、茶会の招待客は皆母を責めました。リリアーナは母の兄嫁でありながら嘘の証言をしたんです」
「なんて酷いことを‥」
「母はすぐに捕らえられ牢に入れられました。私も嘘の証言をした共犯者だとして別の牢に入れられました」
「そんな馬鹿な‥」
ヴィル様は両手で顔を覆った
「そんな馬鹿げたことでアリーを牢に入れるなんて殺してやりたい!そいつら全員俺が斬首刑にしてやる」
あぁぁぁっくそッ
ヴィル様は怒りが収まらないでテーブルをドンッと叩きつけた
私も両手を強く握り締めた
「その後父が知り、嵌められたと怒り狂い牢から出してくれましたが母も私も放心状態でした。父は、王妃がいる侍医の所へ急いで向かいました。私と母は離宮に戻され、何が何だか解らないままでしたが、そこに母の侍女が心配そうに駆け寄って来たのです。
『マリア様、アリアン様、まずは温かいお茶でも飲んで落ち着いてくださいませ』
そう言って差し出された紅茶を、母は動揺していたので、すぐに口を付けて飲んでしまいました。
何の疑いもせずに‥」
「どういう‥こと‥だ」
「毒が入っておりました」
「何?」
「その直後、母は苦しみ血を吐いて亡くなりました」
私は涙が止まらなくなっていた
忘れようとしていたあの日が鮮明に思い出された
「侍女が毒を盛ったのです。父が離宮に戻ってきた時には‥もう母の息は‥無く」
ヴィル様は席を立ち、私の隣に座ると強く抱きしめた
「辛かっただろう。我慢せずに思い切り泣いていいんだよ。落ち着くまで何時間だって抱きしめてあげるよ」
いつだって彼は優しくて私を甘やかしてくれる
暫く涙は止まらなかった
ヴィル様の服が汚れてしまう‥
顔を上げると、ヴィル様は胸ポケットからハンカチを取り出した
‥あれは私の‥
前に私が使っていた刺繍入りのハンカチだった
ヴィル様が欲しいと言ってくれたのだが、まだ持っていてくださったのね
ヴィル様はそのハンカチで私の涙を丁寧に拭いてくれた
濡れて汚れてしまったハンカチを取ろうとすると何故かすぐにまた自分のポケットにしまってしまった
「汚れております」
と、私が慌てると
「いいんだ、気にしないで」
と、何故か嬉しそうに微笑んでいる
私を気遣ってくれる本当に優しい人なのだと思った
「茶会が始まり、暫くはたわいないお喋りがされていました。同じテーブルには、リリアーナも居て王妃と仲良さそうに話していました。私と母は何も話しませんでしたが、私の隣に座るローズが機嫌良さそうに笑みを浮かべている事も不自然でした。すると突然、紅茶を口にした王妃が椅子から崩れ落ちるようにして倒れ込んでしまったのです。何事かと驚いていると
『苦しい、毒を盛られた』
と大声を出して踠き苦しみだしたのです。皆驚いて大騒ぎになり、王妃は王宮侍医の所へ急いで連れて行かれました。
そして、ローズが大声で
『マリア様が母に毒を盛ったわ!私見たのよ』
と言い出したのです
母は慌てて、
『私は何もやっていません』
と潔白を主張しましたが、同じテーブルに居たリリアーナも
『私もマリア様がカップに入れる仕草を見ました』
と言ったのです。
私は絶対に母はそんな事をしていない、そんな仕草は全くしていないと言い張りましたが、茶会の招待客は皆母を責めました。リリアーナは母の兄嫁でありながら嘘の証言をしたんです」
「なんて酷いことを‥」
「母はすぐに捕らえられ牢に入れられました。私も嘘の証言をした共犯者だとして別の牢に入れられました」
「そんな馬鹿な‥」
ヴィル様は両手で顔を覆った
「そんな馬鹿げたことでアリーを牢に入れるなんて殺してやりたい!そいつら全員俺が斬首刑にしてやる」
あぁぁぁっくそッ
ヴィル様は怒りが収まらないでテーブルをドンッと叩きつけた
私も両手を強く握り締めた
「その後父が知り、嵌められたと怒り狂い牢から出してくれましたが母も私も放心状態でした。父は、王妃がいる侍医の所へ急いで向かいました。私と母は離宮に戻され、何が何だか解らないままでしたが、そこに母の侍女が心配そうに駆け寄って来たのです。
『マリア様、アリアン様、まずは温かいお茶でも飲んで落ち着いてくださいませ』
そう言って差し出された紅茶を、母は動揺していたので、すぐに口を付けて飲んでしまいました。
何の疑いもせずに‥」
「どういう‥こと‥だ」
「毒が入っておりました」
「何?」
「その直後、母は苦しみ血を吐いて亡くなりました」
私は涙が止まらなくなっていた
忘れようとしていたあの日が鮮明に思い出された
「侍女が毒を盛ったのです。父が離宮に戻ってきた時には‥もう母の息は‥無く」
ヴィル様は席を立ち、私の隣に座ると強く抱きしめた
「辛かっただろう。我慢せずに思い切り泣いていいんだよ。落ち着くまで何時間だって抱きしめてあげるよ」
いつだって彼は優しくて私を甘やかしてくれる
暫く涙は止まらなかった
ヴィル様の服が汚れてしまう‥
顔を上げると、ヴィル様は胸ポケットからハンカチを取り出した
‥あれは私の‥
前に私が使っていた刺繍入りのハンカチだった
ヴィル様が欲しいと言ってくれたのだが、まだ持っていてくださったのね
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濡れて汚れてしまったハンカチを取ろうとすると何故かすぐにまた自分のポケットにしまってしまった
「汚れております」
と、私が慌てると
「いいんだ、気にしないで」
と、何故か嬉しそうに微笑んでいる
私を気遣ってくれる本当に優しい人なのだと思った
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