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密会3
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彼はそっと私を抱きしめた
「俺は諦めきれない、アリアンから離れることができないんだ。アリアンの側において欲しい。君を王族に戻すと約束する。だから俺の手を取って」
抱きしめる腕を解放すると両手で私の頬を包んだ
「愛してる俺のかわいいアリアン。
どうしたら頷いてくれるの?
君に触れていないとおかしくなりそうだ」
真剣な目で私を見つめるヴィルドルフ様に、私は正直に話す決心をした
彼の手にそっと自分の手を重ねると驚いたように瞳が大きくなった
「長い話になります、すべてお話します。けれど、人に聞かれては困ります。
誰にも聞かれない所で話したいです」
「わかった、用意しよう」
「ありがとうございます」
「アリアンは今、あの屋敷にいるのか?」
「はい、サマフォート公爵家の使用人として働いております」
「何ということだ‥」
「公爵家は私の母マリアの実家です。
当主のラリー様と息子のラウル様以外は私の素性は知りません。
私のことは皆没落した貴族の娘だと思っております」
「そんな」
「公爵様とお父様が私の命を守る為、平民の使用人としました。私の命を狙っていた者達は、私が死んだと思っております。ですから、見つかる訳にはいかないのです。
誰が敵か、どこまでが敵かわからない為そのように‥」
「なるほど、わかった。
私は国王と公爵と話し合おう。私が味方であることを伝えれば、事は動く」
「ヴィルドルフ様がそんな‥」
「公爵に話をつけてアリアンに連絡するよ。それまで待っていて。
俺は君を離すわけにはいかない。
分かってくれアリアン」
「ヴィルドルフ様」
「ヴィルと‥ヴィルと呼んで欲しい。
父と母はそう呼ぶよ」
私の指を掬い上げると口付けを落として微笑んだ
「では、私のこともアリーと‥
母が呼んでくれていたので。
今はアリーの名で屋敷におります」
「分かったアリー。心配しなくていい。
俺を信じていて」
「ヴィル様、分かりました。連絡をお待ちしております」
名残惜しそうに私を抱きしめた
ヴィル様との夢のような時間
もう一度会って全てを話したら、終わりにしなければならない
私は平民に落ちた娘で彼は大国の王太子
巻き込むわけにはいかない
ヴィル様まで危険な目に合わせたくない
だからこそ、次でお別れしなければ‥
「俺は諦めきれない、アリアンから離れることができないんだ。アリアンの側において欲しい。君を王族に戻すと約束する。だから俺の手を取って」
抱きしめる腕を解放すると両手で私の頬を包んだ
「愛してる俺のかわいいアリアン。
どうしたら頷いてくれるの?
君に触れていないとおかしくなりそうだ」
真剣な目で私を見つめるヴィルドルフ様に、私は正直に話す決心をした
彼の手にそっと自分の手を重ねると驚いたように瞳が大きくなった
「長い話になります、すべてお話します。けれど、人に聞かれては困ります。
誰にも聞かれない所で話したいです」
「わかった、用意しよう」
「ありがとうございます」
「アリアンは今、あの屋敷にいるのか?」
「はい、サマフォート公爵家の使用人として働いております」
「何ということだ‥」
「公爵家は私の母マリアの実家です。
当主のラリー様と息子のラウル様以外は私の素性は知りません。
私のことは皆没落した貴族の娘だと思っております」
「そんな」
「公爵様とお父様が私の命を守る為、平民の使用人としました。私の命を狙っていた者達は、私が死んだと思っております。ですから、見つかる訳にはいかないのです。
誰が敵か、どこまでが敵かわからない為そのように‥」
「なるほど、わかった。
私は国王と公爵と話し合おう。私が味方であることを伝えれば、事は動く」
「ヴィルドルフ様がそんな‥」
「公爵に話をつけてアリアンに連絡するよ。それまで待っていて。
俺は君を離すわけにはいかない。
分かってくれアリアン」
「ヴィルドルフ様」
「ヴィルと‥ヴィルと呼んで欲しい。
父と母はそう呼ぶよ」
私の指を掬い上げると口付けを落として微笑んだ
「では、私のこともアリーと‥
母が呼んでくれていたので。
今はアリーの名で屋敷におります」
「分かったアリー。心配しなくていい。
俺を信じていて」
「ヴィル様、分かりました。連絡をお待ちしております」
名残惜しそうに私を抱きしめた
ヴィル様との夢のような時間
もう一度会って全てを話したら、終わりにしなければならない
私は平民に落ちた娘で彼は大国の王太子
巻き込むわけにはいかない
ヴィル様まで危険な目に合わせたくない
だからこそ、次でお別れしなければ‥
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