62 / 66
番外編 5人の子供達(後)
しおりを挟む
「困った……」
ぷんすこしてホットココアを飲んでいる桜花の隣に座り、腕組みをしながら考えを巡らせるが、特に良い答えは出て来ない。
何に頭を悩ませているかというと、ここ最近桜花の誘拐未遂とストーカーが酷いのだ。
必ずSPを付けて外出や登下校しているので未遂に終わっているが、とうとう今日セキュリティが厳しいスクールにも侵入したきたのだ。
桜花はΩという事もあり、通っているスクールは藤達の学校よりセキュリティが厳しいセレブ校なのだが、今回先生が手引きしたらしい。そうなるとどうしようもない。
セレブ校なので花ノ宮ホールディングスと同等、又はそれ以上の坊っちゃん嬢ちゃんがいるのに一直線に桜花に向かってきたらしい。担任や友達が庇い警備員がすぐ駆けつけたから良かったものの、最悪攫われていたかもしれないのだ。
「もう、ヤダ、面倒くさい!」
俺や伊月さんが誘拐やストーカーに頭を痛めている横で、桜花はスクールの人間関係に憤っている。
原因は桜花の見た目にある。
幼い頃から可愛いかったのだが8歳になった今、とてつもない美少女になってしまったのだ。
椿のようにコピーではないが伊月さんに似た容姿に、ふわふわした茶髪に大きな瞳、Ω特有の庇護欲をそそる雰囲気を醸し出し、外を歩けば注目度抜群。何度「養子に来ないか」や「うちの子の嫁に!」と言われたか。
ネックガードをしていてΩだと分かるからαの息子の嫁には分かるが、養子って何でや⁉と思っていたら「養子にして上流階級のαに嫁がせて縁を結ばせるんじゃない?」と伊月さんが言っていた。何だソレ、子供は親の駒じゃないんだよ!
そして桜花を悩ませている原因はやっぱり桜花の見た目。
セレブ校でバース性が確定している子供も多く通っているが、その中でも群を抜いて目立つ存在、それが桜花でαの子から言い寄られ(なんておマセな!)そのαの子が好きな子達からの嫉妬が凄いらしい。
見た目に反して気が強い桜花は嫉妬を跳ね除けているらしいが、うざったくて仕方ないらしい。
特に一番人気の男の子がべったりしてくるので余計に酷いそうだ。
日本では周りで騒いだり牽制したりぐらいだったけど、ここではグイグイ来たり直接文句を言ったり力ずくで言う事を聞かせようとする子が多いらしい。
愛憎劇を繰り広げる8歳、怖え。
「日本の学校に通わせようか」
スクールで攫われそうになった連絡を俺から受け取った伊月さんはいつもより早く帰宅し、最近の話や桜花の話を聞いてここよりも日本の方が安全だと判断したらしい。
「まあそうなるよな」
これ以上桜花を危険な目に会わせるわけにはいかないしな。
「1か月後には日本に行けるように準備しよう。桜花もそれでいいかい?」
「うん、いいよ」
普通友達と離れるの嫌だとか言いそうなのにあっさりしてるよなぁと思ったら、「友達数人以外は大体敵」ってどんなスクールライフを送ってんだよ。こりゃ人間不信になる前に日本に帰る選択をして良かったのかも。
その日の夜に遠野家も集まり2家族で話し合った結果、俺と桜花だけ1か月後に帰国、椿と有理は卒業と同時に帰国し有理は俺達の母校に1年間通い大学に。椿は有理に合わせ同じ大学に進学、藤と麗羅はそのままこっちの大学に進学する事になった。子供達は日本組は花ノ宮家、こっち組は遠野家に住む事で決定。
藤の一人暮らしも考えていたら良規さんが「4年日本に帰るのが遅くなっても問題無いから」というので甘える事にした。
椿と有理は同棲する予定だったのにそれが無くなってぶーぶー言ってたけど、俺の「お前ら家事出来ないだろ」の一言で自分達が家事を一切出来ない事に気付き黙った。ははは、2人共箱入りだもんな。
「じゃあ日本に帰ったら教えてよ」
「無理だ!美佐子さんが全てやってくれてるのに俺が家事を出来ると思うか?」
「「あー……」」
何だその可哀想な子を見るような目は?俺だってコーヒーくらいは淹れれるんだぜ?
すんなりこれからの事は決まったが、問題は伊月さんだった。
みっちりスケジュールが何ヶ月も埋まっていて、俺と桜花が帰国する1か月後に一緒に行けず。早くても半年後じゃないと日本に戻れないらしい。
そこからは夫夫で話し合い、椿と有理が帰国するまで花ノ宮本家に住み、そこから桜花を小学校に通わせ慣れたら義両親に桜花を任せ俺だけこっちに戻り、伊月さんが日本に帰れるようになるまで居る事になった。
神奈さんに話したら「喜んでー!」と、どこかの居酒屋店員のような返事をされ引き受けてくれたし、俺も発情期を1人で迎えなくてよくなるからそれで決定したが、桜花に「1人の発情期は辛いでしょ」と肩を叩かれ恥ずかしくて顔が赤くなってしまった。このおマセさんめ!
「よーし桜花、引っ越す準備するぞ」
「はーい」
こうして俺と桜花は1か月後の帰国までに片付けや親しい人に挨拶をしたり、お土産を買ったりかなりバタバタしながら準備をし、日本に帰った。
◇◇◇◇◇
「ママー!!何でレンが日本にいるのよぉぉぉ!!」
「こら、お客様の前たぞ」
バタバタと本邸の長い廊下を走り、俺がいるテラスまで辿り着いたと同時に叫ぶ桜花をたしなめる。
「ごめんなさい。でもだって、レンが……レンママ⁉」
「桜花ちゃんこんにちは」
お客様にピキリと固まる桜花。そして導き出した答えは俺を睨む事だった。
「ママ知ってたのね……」
「まあね」
「スクールでの元凶なのにぃ!!」
しれっと答える俺に激おこな桜花。その後ろでにこにことしている男の子。そして同じくにこにこのレンママ。はたから見たら変な光景だろうな。
まあ桜花が怒るのも仕方ない。向こうのスクールで桜花にべったりだった一番人気の男の子がレンと呼ばれた子なのだ。
本名マシュー=蓮=ミュラー、ドイツ人の父親と日本人の母親を持つハーフな男の子だ。金髪緑目の日本人寄りの綺麗な顔をしている子で、スクールの入学初日から桜花にベッタベタしている。その初日が問題だったんだけど。
会った次の瞬間に桜花の手を握り「見つけた僕の運命!さあ、2人だけの楽園に行こう!」と楽園に連れて行こうとしたツワモノだ。楽園ってどこだよって後で聞いたら自宅のガーデンだった。
楽園は思った以上に近かったよ。
ちなみに桜花はΩとはいえまだ認識できるほど成熟していないのでキョトンとしていた。
上の発言で分かる通りレンは既にαと診断されていて桜花を『運命の番』と認識してしまったらしい。
認識早すぎじゃね?と思ったら、αは幼い頃から執着を始めたりするから早い子は10歳未満でも感じる子がいるらしい。
何度も家族ぐるみで遊んでいて一度もそんな事を言わなかったのに急に運命と認識した息子に慌てたのはレンの両親だ。
「レン何言うてまんねん。早いがな!」
「あらぁ、ウエディングドレスどこで作ろうかしらぁ?」
オッサンどこでそんな日本語覚えたんだよ。つーかウエディングドレスは早いだろうが。
混乱している2人と子供達を引きずり使っていない教室を借り、運命の番専用抑制剤を飲ませ落ち着かせ話し合い、これからは抑制剤を飲ませて過ごさせる事を決めたのだが、「運命」発言は広まり、それが学年で一番人気の子だったのが災いし、女の子の嫉妬が桜花に向けられ、それを守ろうとレンがべったりしそれを見てまた嫉妬……悪循環だったらしい。
桜花自体レンは嫌いじゃないけど、嫉妬を向けられる元凶という認識なので離れられてバンザイだったのに、日本まで同じ小学校、同じクラスなのが嫌、また嫉妬を向けられると怒っている。
「何で日本に来たのよ!」
「んー、桜花がいるから」
「レンがいるとまた同じことになるー!」
「桜花ちゃん、それなら大丈夫よぉ」
嘆く桜花にレンママこと美琴が能天気な声で言う。
「日本はね、向こうみたいに騒がないわ。どっちかと言うと羨ましがられたり憧れたりするわよぉ」
「……ホント?」
「ホントよぉ。日本の女の子は夢見がちだから運命って聞いても酷い事言って来ないわ」
「そうだな。逆に羨ましい目で見られると思うぞ。少し様子を見て見たらいいよ」
まだ疑っているようだが渋々頷く。物心ついた時から主張が激しい子達ばかり周りにいたから分からないみたいだけど、日本の子供はそれに比べて大人しいぞー。
「レンレンも向こうみたいに桜花にくっついて守ってなくて大丈夫だぞ。基本友好的だからな」
「本当に?」
あ、こっちも疑ってやがる。レンもずっと向こうで育ってるから分からないか。
「それに日本は誘拐される事はほぼ無いからSPも少ない人数で出歩けるぞ」
「うそっ、やったぁ!」
「やったね!」
うんうんそうだよな、2人共見た目と親が大企業だって事で誘拐のリスクが半端なくて大人数のSPに囲われて出歩いてたもんな。
「私も旦那がこっちに来るまで羽のばすわぁ」
分かる。日本から行くとあの国は自由に動けなかったからなぁ。俺は桜花がここの生活に慣れたら戻るけどできれば日本でずっと過したいよ。
それから様子見していた桜花とレンだったけど、クラスメイトがみんな優しくて俺達が言っていた事が本当だったと喜んでいた。
今は友達もいっぱい出来て楽しそうに登校している。
それによって桜花とレンの関係も穏やかな関係に変わってきているようだ。
将来どうなるかは分からないが、レンが運命と認識する前から執着を見せていたからこのままいきそうな気がする。
いやー良かった良かったとのんびり過していたら神楽から「3人目が出来た」とめでたい連絡が来るのはもう少し後の話だ。
ーーーーーーーーーー
これで番外編も終わり完結になります。
長らくお読みくださりありがとうございます。
宇宙人や鼻メガネおじさん、重度のブラコン・シスコン・・・気付いたら普通の人が一切出ていない(汗)
何故でしょう。
次回の作品は年末年始が過ぎてから投稿する予定です。
仮の題名ですが「真原くんはどうやらBLウォッチを失敗したようです」というBL作品になる予定です。
オメガバースではありませんが、非王道学園もので主人公は綺麗系腐男子です。
もちろん普通の人は出てきません(笑)1話目からぶっ飛んだ家族が出てきます。
シリアス?何ソレ美味しいの?的なストーリーになる予定。
もし見かけたらお読みくださると幸いです。
ぷんすこしてホットココアを飲んでいる桜花の隣に座り、腕組みをしながら考えを巡らせるが、特に良い答えは出て来ない。
何に頭を悩ませているかというと、ここ最近桜花の誘拐未遂とストーカーが酷いのだ。
必ずSPを付けて外出や登下校しているので未遂に終わっているが、とうとう今日セキュリティが厳しいスクールにも侵入したきたのだ。
桜花はΩという事もあり、通っているスクールは藤達の学校よりセキュリティが厳しいセレブ校なのだが、今回先生が手引きしたらしい。そうなるとどうしようもない。
セレブ校なので花ノ宮ホールディングスと同等、又はそれ以上の坊っちゃん嬢ちゃんがいるのに一直線に桜花に向かってきたらしい。担任や友達が庇い警備員がすぐ駆けつけたから良かったものの、最悪攫われていたかもしれないのだ。
「もう、ヤダ、面倒くさい!」
俺や伊月さんが誘拐やストーカーに頭を痛めている横で、桜花はスクールの人間関係に憤っている。
原因は桜花の見た目にある。
幼い頃から可愛いかったのだが8歳になった今、とてつもない美少女になってしまったのだ。
椿のようにコピーではないが伊月さんに似た容姿に、ふわふわした茶髪に大きな瞳、Ω特有の庇護欲をそそる雰囲気を醸し出し、外を歩けば注目度抜群。何度「養子に来ないか」や「うちの子の嫁に!」と言われたか。
ネックガードをしていてΩだと分かるからαの息子の嫁には分かるが、養子って何でや⁉と思っていたら「養子にして上流階級のαに嫁がせて縁を結ばせるんじゃない?」と伊月さんが言っていた。何だソレ、子供は親の駒じゃないんだよ!
そして桜花を悩ませている原因はやっぱり桜花の見た目。
セレブ校でバース性が確定している子供も多く通っているが、その中でも群を抜いて目立つ存在、それが桜花でαの子から言い寄られ(なんておマセな!)そのαの子が好きな子達からの嫉妬が凄いらしい。
見た目に反して気が強い桜花は嫉妬を跳ね除けているらしいが、うざったくて仕方ないらしい。
特に一番人気の男の子がべったりしてくるので余計に酷いそうだ。
日本では周りで騒いだり牽制したりぐらいだったけど、ここではグイグイ来たり直接文句を言ったり力ずくで言う事を聞かせようとする子が多いらしい。
愛憎劇を繰り広げる8歳、怖え。
「日本の学校に通わせようか」
スクールで攫われそうになった連絡を俺から受け取った伊月さんはいつもより早く帰宅し、最近の話や桜花の話を聞いてここよりも日本の方が安全だと判断したらしい。
「まあそうなるよな」
これ以上桜花を危険な目に会わせるわけにはいかないしな。
「1か月後には日本に行けるように準備しよう。桜花もそれでいいかい?」
「うん、いいよ」
普通友達と離れるの嫌だとか言いそうなのにあっさりしてるよなぁと思ったら、「友達数人以外は大体敵」ってどんなスクールライフを送ってんだよ。こりゃ人間不信になる前に日本に帰る選択をして良かったのかも。
その日の夜に遠野家も集まり2家族で話し合った結果、俺と桜花だけ1か月後に帰国、椿と有理は卒業と同時に帰国し有理は俺達の母校に1年間通い大学に。椿は有理に合わせ同じ大学に進学、藤と麗羅はそのままこっちの大学に進学する事になった。子供達は日本組は花ノ宮家、こっち組は遠野家に住む事で決定。
藤の一人暮らしも考えていたら良規さんが「4年日本に帰るのが遅くなっても問題無いから」というので甘える事にした。
椿と有理は同棲する予定だったのにそれが無くなってぶーぶー言ってたけど、俺の「お前ら家事出来ないだろ」の一言で自分達が家事を一切出来ない事に気付き黙った。ははは、2人共箱入りだもんな。
「じゃあ日本に帰ったら教えてよ」
「無理だ!美佐子さんが全てやってくれてるのに俺が家事を出来ると思うか?」
「「あー……」」
何だその可哀想な子を見るような目は?俺だってコーヒーくらいは淹れれるんだぜ?
すんなりこれからの事は決まったが、問題は伊月さんだった。
みっちりスケジュールが何ヶ月も埋まっていて、俺と桜花が帰国する1か月後に一緒に行けず。早くても半年後じゃないと日本に戻れないらしい。
そこからは夫夫で話し合い、椿と有理が帰国するまで花ノ宮本家に住み、そこから桜花を小学校に通わせ慣れたら義両親に桜花を任せ俺だけこっちに戻り、伊月さんが日本に帰れるようになるまで居る事になった。
神奈さんに話したら「喜んでー!」と、どこかの居酒屋店員のような返事をされ引き受けてくれたし、俺も発情期を1人で迎えなくてよくなるからそれで決定したが、桜花に「1人の発情期は辛いでしょ」と肩を叩かれ恥ずかしくて顔が赤くなってしまった。このおマセさんめ!
「よーし桜花、引っ越す準備するぞ」
「はーい」
こうして俺と桜花は1か月後の帰国までに片付けや親しい人に挨拶をしたり、お土産を買ったりかなりバタバタしながら準備をし、日本に帰った。
◇◇◇◇◇
「ママー!!何でレンが日本にいるのよぉぉぉ!!」
「こら、お客様の前たぞ」
バタバタと本邸の長い廊下を走り、俺がいるテラスまで辿り着いたと同時に叫ぶ桜花をたしなめる。
「ごめんなさい。でもだって、レンが……レンママ⁉」
「桜花ちゃんこんにちは」
お客様にピキリと固まる桜花。そして導き出した答えは俺を睨む事だった。
「ママ知ってたのね……」
「まあね」
「スクールでの元凶なのにぃ!!」
しれっと答える俺に激おこな桜花。その後ろでにこにことしている男の子。そして同じくにこにこのレンママ。はたから見たら変な光景だろうな。
まあ桜花が怒るのも仕方ない。向こうのスクールで桜花にべったりだった一番人気の男の子がレンと呼ばれた子なのだ。
本名マシュー=蓮=ミュラー、ドイツ人の父親と日本人の母親を持つハーフな男の子だ。金髪緑目の日本人寄りの綺麗な顔をしている子で、スクールの入学初日から桜花にベッタベタしている。その初日が問題だったんだけど。
会った次の瞬間に桜花の手を握り「見つけた僕の運命!さあ、2人だけの楽園に行こう!」と楽園に連れて行こうとしたツワモノだ。楽園ってどこだよって後で聞いたら自宅のガーデンだった。
楽園は思った以上に近かったよ。
ちなみに桜花はΩとはいえまだ認識できるほど成熟していないのでキョトンとしていた。
上の発言で分かる通りレンは既にαと診断されていて桜花を『運命の番』と認識してしまったらしい。
認識早すぎじゃね?と思ったら、αは幼い頃から執着を始めたりするから早い子は10歳未満でも感じる子がいるらしい。
何度も家族ぐるみで遊んでいて一度もそんな事を言わなかったのに急に運命と認識した息子に慌てたのはレンの両親だ。
「レン何言うてまんねん。早いがな!」
「あらぁ、ウエディングドレスどこで作ろうかしらぁ?」
オッサンどこでそんな日本語覚えたんだよ。つーかウエディングドレスは早いだろうが。
混乱している2人と子供達を引きずり使っていない教室を借り、運命の番専用抑制剤を飲ませ落ち着かせ話し合い、これからは抑制剤を飲ませて過ごさせる事を決めたのだが、「運命」発言は広まり、それが学年で一番人気の子だったのが災いし、女の子の嫉妬が桜花に向けられ、それを守ろうとレンがべったりしそれを見てまた嫉妬……悪循環だったらしい。
桜花自体レンは嫌いじゃないけど、嫉妬を向けられる元凶という認識なので離れられてバンザイだったのに、日本まで同じ小学校、同じクラスなのが嫌、また嫉妬を向けられると怒っている。
「何で日本に来たのよ!」
「んー、桜花がいるから」
「レンがいるとまた同じことになるー!」
「桜花ちゃん、それなら大丈夫よぉ」
嘆く桜花にレンママこと美琴が能天気な声で言う。
「日本はね、向こうみたいに騒がないわ。どっちかと言うと羨ましがられたり憧れたりするわよぉ」
「……ホント?」
「ホントよぉ。日本の女の子は夢見がちだから運命って聞いても酷い事言って来ないわ」
「そうだな。逆に羨ましい目で見られると思うぞ。少し様子を見て見たらいいよ」
まだ疑っているようだが渋々頷く。物心ついた時から主張が激しい子達ばかり周りにいたから分からないみたいだけど、日本の子供はそれに比べて大人しいぞー。
「レンレンも向こうみたいに桜花にくっついて守ってなくて大丈夫だぞ。基本友好的だからな」
「本当に?」
あ、こっちも疑ってやがる。レンもずっと向こうで育ってるから分からないか。
「それに日本は誘拐される事はほぼ無いからSPも少ない人数で出歩けるぞ」
「うそっ、やったぁ!」
「やったね!」
うんうんそうだよな、2人共見た目と親が大企業だって事で誘拐のリスクが半端なくて大人数のSPに囲われて出歩いてたもんな。
「私も旦那がこっちに来るまで羽のばすわぁ」
分かる。日本から行くとあの国は自由に動けなかったからなぁ。俺は桜花がここの生活に慣れたら戻るけどできれば日本でずっと過したいよ。
それから様子見していた桜花とレンだったけど、クラスメイトがみんな優しくて俺達が言っていた事が本当だったと喜んでいた。
今は友達もいっぱい出来て楽しそうに登校している。
それによって桜花とレンの関係も穏やかな関係に変わってきているようだ。
将来どうなるかは分からないが、レンが運命と認識する前から執着を見せていたからこのままいきそうな気がする。
いやー良かった良かったとのんびり過していたら神楽から「3人目が出来た」とめでたい連絡が来るのはもう少し後の話だ。
ーーーーーーーーーー
これで番外編も終わり完結になります。
長らくお読みくださりありがとうございます。
宇宙人や鼻メガネおじさん、重度のブラコン・シスコン・・・気付いたら普通の人が一切出ていない(汗)
何故でしょう。
次回の作品は年末年始が過ぎてから投稿する予定です。
仮の題名ですが「真原くんはどうやらBLウォッチを失敗したようです」というBL作品になる予定です。
オメガバースではありませんが、非王道学園もので主人公は綺麗系腐男子です。
もちろん普通の人は出てきません(笑)1話目からぶっ飛んだ家族が出てきます。
シリアス?何ソレ美味しいの?的なストーリーになる予定。
もし見かけたらお読みくださると幸いです。
44
お気に入りに追加
688
あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
中華マフィア若頭の寵愛が重すぎて頭を抱えています
橋本しら子
BL
あの時、あの場所に近づかなければ、変わらない日常の中にいることができたのかもしれない。居酒屋でアルバイトをしながら学費を稼ぐ苦学生の桃瀬朱兎(ももせあやと)は、バイト終わりに自宅近くの裏路地で怪我をしていた一人の男を助けた。その男こそ、朱龍会日本支部を取り仕切っている中華マフィアの若頭【鼬瓏(ゆうろん)】その人。彼に関わったことから事件に巻き込まれてしまい、気づけば闇オークションで人身売買に掛けられていた。偶然居合わせた鼬瓏に買われたことにより普通の日常から一変、非日常へ身を置くことになってしまったが……
想像していたような酷い扱いなどなく、ただ鼬瓏に甘やかされながら何時も通りの生活を送っていた。
※付きのお話は18指定になります。ご注意ください。
更新は不定期です。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
イケメンがご乱心すぎてついていけません!
アキトワ(まなせ)
BL
「ねぇ、オレの事は悠って呼んで」
俺にだけ許された呼び名
「見つけたよ。お前がオレのΩだ」
普通にβとして過ごしてきた俺に告げられた言葉。
友達だと思って接してきたアイツに…性的な目で見られる戸惑い。
■オメガバースの世界観を元にしたそんな二人の話
ゆるめ設定です。
…………………………………………………………………
イラスト:聖也様(@Wg3QO7dHrjLFH)

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

α様に囲われて独立が出来ません!
翠 月華
BL
男女という性別に加え第二の性別アルファ、ベータ、オメガというモノがある世界。
そんな世界には愚かな過去がある。一昔前、オメガは疎まれ蔑まられていた。そんなオメガ達だがある日を境に数が減少した。その哀しき理由に気づかず、オメガを酷似した結果オメガは宇宙の人口の一割以下まで減った。そして、人々は焦りオメガを保護という名で囲っていった。
そんな世の中に一人の平凡で平穏な暮らしを望むベータ、那央がいた。
しかし、那央はベータではなく、オメガだった。
那央の運命はいかに…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる