61 / 66
番外編 5人の子供達(前)
しおりを挟む
クリスマス編から3年後。
今回は第三者視点です。
会話は『』は英語「」は日本語で話しています。
ーーーーーーーーーー
がやがやと朝のHRが始まる前の廊下を教室に向かい4人で歩いていく。
『おはよう!今日もユーリとツバキは朝からお熱いね』
『もちろん、番になったし毎日が幸せだよ』
にっこりと返事をする有理にからかいの口笛を吹かれるのも何のその、気にせず椿の頬にキスする有理は良規に似た美貌で人気がある生徒の1人だ。
というか有理と伊月コピーの椿、瀬名に似た藤、大してどちらにも似なかった美少女の麗羅は学校で美形カルテットと呼ばれている存在だ。
4人が日本から越して入学した学校は、奨学金で通う事がNGで、ある程度資産が無いと入れないほどのバカ高い授業料と、毎年安くはない金額の寄付をしなければいけない所謂セレブ校だ。
そして「椿と同じ学年で通うんだ!」と騒いだ3人が飛び級で椿と同じ学年で入学、理由は藤と有理は「椿が心配だから」で麗羅は「これ以上飛び級したら早く馬車馬のように働かなきゃいけなくなるから」だ。
実は4人の中で一番頭が良い麗羅は、13歳の時点で大学へ飛び級できたのだが、「早く働きたくない」と言って今に至る。しかし、幼い頃からプログラムなどを自分で組み上げたりと腕前はかなりのもので数年前から時々良規の会社「TONOセキュリティ」でホワイトハッカーとして仕事をしている。
結局働いているのだが、本人曰く「趣味」らしい。
そして椿が18になり先日の発情期で番になった有理は浮かれていた。ずっと椿と番になりたいと思っていてやっと両親の許可が出て番ったからだ。
但し、浮かれた有理の機嫌を急降下させる人物がいる。それがΩの生徒だ。
椿の場合番が出来た時点で、誰とも番えないので言い寄って来ていた生徒も諦めて誘われなくなったのだが、αは複数のΩと番えるとあって有理に擦り寄るΩは減らなかったのだ。
学校の中でも金持ちのヒエラルキーというものがあり、上位のΩはその気が無いのが分かると時間の無駄だと別のαに目を付けたりするのだが、ギリギリ通えるくらいの家庭のΩは良い家柄のαに番ってもらおうとしつこく寄ってくるのだ。そのαに番がいようと気にせず2番目3番目を狙いグイグイ来るのでたちが悪い。
αは上位になればなるほど番を大事にするので相手にしないのだが、「1人の番を大事にする」という意味を「複数でも番になったら大事にされる」と勘違いしているのでさらにたちが悪い。
藤は今のところ恋人を作るつもりが無いらしく、発情期は絶対付き合わないと決めて遊んでいるからかワンチャン狙いのΩはいても本気で番になろうとするΩは殆ど寄って来ない。
麗羅に至っては「仕事に生きるから番も子供を作らない」と宣言し周りに意識を向けていなかったが、1人だけ条件に合うからと囲い始めている。
そうなると一途な有理に群がるのは必然で、椿が隣にいない時を見計らって突撃してくるのだ。
なかでも3年前から突撃してきていたミアはアピールが凄かったが、最近他のαに追いかけられているので来なくなった。
『あなた達の場所分かり易くていいわぁ』
そう言って話しかけてくるのは麗羅の友人のミシェル。βで気さくな彼女は、αやΩといった色メガネで見ない貴重な人物だ。
『ミシェルが話しかけてくるって事はレポートでしょ』
『正解♪今回の物理のレポート難しくてぇ。レイラ得意じゃない。ランチ奢るからさ』
仕方ないと教室に入り鞄からパソコンを出し開き、レポートを見せると物凄い勢いで打っていく。バレないようにニュアンスを変え提出する器用さはいつ見ても感心する。
『ところでレイラ達は日本の大学に行くの?』
『私は行かないわよ』
打ちながら聞いてくるミシェルに返事をする。
『日本は飛び級制度が無いから16だと通えないのよ』
『へえ、そうなんだ』
『椿は1年遅らせて有理と日本で大学に行くみたい。それに合わせてうちの両親も本社に戻るんだって』
実は有理と麗羅の父親である良規は、中高と海外に住んでいて日本に帰って大学に通っていた。息子である有理も両親と同じ大学に行き、産科医を目指し医学部に入ろうとしている。
それを聞いて瀬名が「なんかヤダなぁ」とボヤいていたとかいないとか。
『藤は?』
『藤はこっちで経済系の学部に進むって』
既に数社会社を任されている藤は大学卒業後に帰国し、伊月に付いて仕事を覚える予定になっている。
『カルテットもバラバラになっちゃうのね。寂しいわ』
『そんなもんよ』
ずっと兄妹のように育ってきたから来年から少し寂しくなるが、ハトコ同士なので縁が切れるわけでもないので麗羅はあまり気にしていない。むしろ何かあったら日本からでも飛んで来そうなので、迂闊な事を報告出来ないなとは思っている。
『まあ、うちらは大丈夫よ。問題は末っ子よね……』
ボソッとひとりごちついたため息は誰にも見られる事はなかった。
◇◇◇◇◇
麗羅のため息の原因、末っ子桜花はスクールから帰宅する車の中からぷりぷり怒っていた。
「もうやんなっちゃう!」
3年前よりはすっきりしたが、まだ丸みがある頬をぷっくり膨らませている。
「桜花、可愛い顔が台無しだぞ。……でも困ったなぁ」
ーーーーーーーーーー
☆子供達情報☆
もしかしたら気づかれた方もいるかもしれませんが、藤と有理は上位α、麗羅は希少種αです。
麗羅めっちゃ頭がいいです。
友人のミシェルはレポートを見せてといつもせがんでいますが、麗羅の高レベルなレポートを理解できるくらい頭が良いです。
藤は将来αの女性と結婚するという幻の設定。
今回は第三者視点です。
会話は『』は英語「」は日本語で話しています。
ーーーーーーーーーー
がやがやと朝のHRが始まる前の廊下を教室に向かい4人で歩いていく。
『おはよう!今日もユーリとツバキは朝からお熱いね』
『もちろん、番になったし毎日が幸せだよ』
にっこりと返事をする有理にからかいの口笛を吹かれるのも何のその、気にせず椿の頬にキスする有理は良規に似た美貌で人気がある生徒の1人だ。
というか有理と伊月コピーの椿、瀬名に似た藤、大してどちらにも似なかった美少女の麗羅は学校で美形カルテットと呼ばれている存在だ。
4人が日本から越して入学した学校は、奨学金で通う事がNGで、ある程度資産が無いと入れないほどのバカ高い授業料と、毎年安くはない金額の寄付をしなければいけない所謂セレブ校だ。
そして「椿と同じ学年で通うんだ!」と騒いだ3人が飛び級で椿と同じ学年で入学、理由は藤と有理は「椿が心配だから」で麗羅は「これ以上飛び級したら早く馬車馬のように働かなきゃいけなくなるから」だ。
実は4人の中で一番頭が良い麗羅は、13歳の時点で大学へ飛び級できたのだが、「早く働きたくない」と言って今に至る。しかし、幼い頃からプログラムなどを自分で組み上げたりと腕前はかなりのもので数年前から時々良規の会社「TONOセキュリティ」でホワイトハッカーとして仕事をしている。
結局働いているのだが、本人曰く「趣味」らしい。
そして椿が18になり先日の発情期で番になった有理は浮かれていた。ずっと椿と番になりたいと思っていてやっと両親の許可が出て番ったからだ。
但し、浮かれた有理の機嫌を急降下させる人物がいる。それがΩの生徒だ。
椿の場合番が出来た時点で、誰とも番えないので言い寄って来ていた生徒も諦めて誘われなくなったのだが、αは複数のΩと番えるとあって有理に擦り寄るΩは減らなかったのだ。
学校の中でも金持ちのヒエラルキーというものがあり、上位のΩはその気が無いのが分かると時間の無駄だと別のαに目を付けたりするのだが、ギリギリ通えるくらいの家庭のΩは良い家柄のαに番ってもらおうとしつこく寄ってくるのだ。そのαに番がいようと気にせず2番目3番目を狙いグイグイ来るのでたちが悪い。
αは上位になればなるほど番を大事にするので相手にしないのだが、「1人の番を大事にする」という意味を「複数でも番になったら大事にされる」と勘違いしているのでさらにたちが悪い。
藤は今のところ恋人を作るつもりが無いらしく、発情期は絶対付き合わないと決めて遊んでいるからかワンチャン狙いのΩはいても本気で番になろうとするΩは殆ど寄って来ない。
麗羅に至っては「仕事に生きるから番も子供を作らない」と宣言し周りに意識を向けていなかったが、1人だけ条件に合うからと囲い始めている。
そうなると一途な有理に群がるのは必然で、椿が隣にいない時を見計らって突撃してくるのだ。
なかでも3年前から突撃してきていたミアはアピールが凄かったが、最近他のαに追いかけられているので来なくなった。
『あなた達の場所分かり易くていいわぁ』
そう言って話しかけてくるのは麗羅の友人のミシェル。βで気さくな彼女は、αやΩといった色メガネで見ない貴重な人物だ。
『ミシェルが話しかけてくるって事はレポートでしょ』
『正解♪今回の物理のレポート難しくてぇ。レイラ得意じゃない。ランチ奢るからさ』
仕方ないと教室に入り鞄からパソコンを出し開き、レポートを見せると物凄い勢いで打っていく。バレないようにニュアンスを変え提出する器用さはいつ見ても感心する。
『ところでレイラ達は日本の大学に行くの?』
『私は行かないわよ』
打ちながら聞いてくるミシェルに返事をする。
『日本は飛び級制度が無いから16だと通えないのよ』
『へえ、そうなんだ』
『椿は1年遅らせて有理と日本で大学に行くみたい。それに合わせてうちの両親も本社に戻るんだって』
実は有理と麗羅の父親である良規は、中高と海外に住んでいて日本に帰って大学に通っていた。息子である有理も両親と同じ大学に行き、産科医を目指し医学部に入ろうとしている。
それを聞いて瀬名が「なんかヤダなぁ」とボヤいていたとかいないとか。
『藤は?』
『藤はこっちで経済系の学部に進むって』
既に数社会社を任されている藤は大学卒業後に帰国し、伊月に付いて仕事を覚える予定になっている。
『カルテットもバラバラになっちゃうのね。寂しいわ』
『そんなもんよ』
ずっと兄妹のように育ってきたから来年から少し寂しくなるが、ハトコ同士なので縁が切れるわけでもないので麗羅はあまり気にしていない。むしろ何かあったら日本からでも飛んで来そうなので、迂闊な事を報告出来ないなとは思っている。
『まあ、うちらは大丈夫よ。問題は末っ子よね……』
ボソッとひとりごちついたため息は誰にも見られる事はなかった。
◇◇◇◇◇
麗羅のため息の原因、末っ子桜花はスクールから帰宅する車の中からぷりぷり怒っていた。
「もうやんなっちゃう!」
3年前よりはすっきりしたが、まだ丸みがある頬をぷっくり膨らませている。
「桜花、可愛い顔が台無しだぞ。……でも困ったなぁ」
ーーーーーーーーーー
☆子供達情報☆
もしかしたら気づかれた方もいるかもしれませんが、藤と有理は上位α、麗羅は希少種αです。
麗羅めっちゃ頭がいいです。
友人のミシェルはレポートを見せてといつもせがんでいますが、麗羅の高レベルなレポートを理解できるくらい頭が良いです。
藤は将来αの女性と結婚するという幻の設定。
33
お気に入りに追加
687
あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

からかわれていると思ってたら本気だった?!
雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生
《あらすじ》
ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。
ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。
葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。
弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。
葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。


【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる