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番外編 クリスマス②
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「よーし、突撃作戦は単純だ。まず桜花!」
「あい!」
「始めにお前が無邪気に伊月のトコに行くんだ。そしてそこにいる人達にきゅるんと挨拶をしてやれ」
「「こんにちは花ノ宮桜花です。おばさんよろしくね♡」…こんな感じ?」
「素晴らしい!」
「やったあ!」
えげつなっ!子供におばさんって言わせるとは相手に精神的ダメージ追わせる気だよ。良規さん絶対面白がってるだろ。
「あと「ママよりブスですね」って言ってやりなさい」
「うん分かった!」
れ……麗羅チャン?何そのオーバーキル。商談ダメになるから止めてくれぇぇぇ!!
「麗羅、それはちょっと……」
「神楽ぁ……」
「おブスにしてあげなさい」
「止めないのかよぉぉぉ!!」
止めてくれるのかと思ったらそんな提案いらないんだよ!藤と有理も飲んでたジュース吹いて爆笑してんじゃない!
「大丈夫だって。伊月なら本当の事を本人に言うんじゃありませんってフォローするから」
フォローになってませんが?それ部屋の中なのにに吹雪が吹いちゃうやつだろ。
「じゃあ、ちゃっちゃと行こうか。1時間後に突撃するぜ!」
「「「「「おー!!」」」」」
子供達ノリノリやん。神楽も微笑ましそうに見てないで止めろよ。
「母さん、行きにAS50買って行こうか?」
「狙撃する気!?」
ぽややん選手権で優勝出来そうなくらいぽやっとのんびりな椿が恐ろしい事言ってる!!え?何?誰の影響⁉ゴ◯ゴになる気か⁉
自分の息子に慄いているうちに作戦を伝え終わったらしく、子供達はやる気満々になっていた。
もうここまでくると俺には止められない。
ごめんよ、商談相手……
「こんにちはみなさん、ここは某レストランの個室がある廊下の角でーす」
誰に対して話しているのか、良規さんはおしぼりをマイク代わりに小声で喋っている。そのおしぼりどこから持って来たんだよ。
そんな俺達は角から廊下を見るように、背の高さ順に頭だけひょっこり出している。
順番としては下から桜花、麗羅、椿、藤、有理、良規さん、俺、神楽だ。
……この格好怪しさ満点じゃね?端から見られたら職質受けるレベルよ?
でもスタッフも何も言わないとこを見ると、良規さんが事前に話していたんだろう。じゃなきゃこんな高級レストランの個室がある廊下でこんな事できないもんな。
俺の視線に気づいた良規さんがサムズアップしているが、褒めてる視線じゃねぇし。
「ママぁ安心して。桜花頑張って罵倒するから!」
ちょっとどこでそんな言葉を覚えたのうちの末っ子!5歳の女の子なんだからキュルルンだけしといてくれ!
「違うぞ桜花、罵詈雑言浴びせるんだ」
「あい」
藤 お ま え か!
「藤っ、おまっ!」
次男を怒ろうとしたら桜花以外の4人の子供が俺を見てサムズアップ。仲良しか!
「……そろそろか。行くぞ!」
時間を確認した良規さんが小声で言うと、忍び足でドアの前まで移動する。なんだろうな、忍び足する時って何でちょっと屈んでしまうんだろうな。小心者の日本人だからだろうか。
ドアの前まで来たがさすが高級レストラン、廊下に物音一つ中から聞こえない。
有り難いことに料理を運ぶのに適しているからか、ドアがスライド式だったのが功を奏し、良規さんが少しだけ開けると仄かに甘い香りが漂ってくる。
マズいとすぐ閉め、良規さんがさっきの角まで子供達を下がらせる。
「やべえ、Ωの発情期の匂いがする」
子供達はすぐ閉めたからか、まだ未成熟だったからか匂いに気づかなかったようでキョトンとしている。
「有理、藤、麗羅はさっきいた部屋に戻っていろ」
良規さんにそう言われ不満そうな顔をしているが、いくら未成熟な子供とはいえ既にαの診断を受けている3人にΩの発情香は嗅がせられない。
「父さんだってαじゃん」
有理が不満を漏らすが、良規さんや伊月さんは番を得ているから番がいないαよりも免疫があるし、発情期対策用の強い抑制剤を飲んでるからある程度は大丈夫。強い薬なので子供の使用は認可されていないけど。
「俺と伊月は番がいるからいいんだよ。それともお前、椿以外のΩを抱く気なのか?」
「!!……分かった」
そういう事だ。いくら好きな人がいようとαはΩの発情の匂いに抗えない。匂いを嗅いでしまうと理性など吹っ飛んでしまう。それが愛する人の前でも、だ。
へにょりと眉尻を下げ、悲しそうな顔をしている椿を見て有理は焦りながら抱きしめ、ごめんを連呼している。
「もう、ゆーちゃんとつばちゃんのかたきは桜花が罵詈雑言浴びせて取ってあげるからね!」
2人のスーツのスラックスをクイクイ引っ張り、ぷくっと頬を膨らませ意気込む桜花に成長したなぁとおも……思わねぇよ!ズレた方向に成長しようとしてるよ!「敵は徹底的に潰すんだよ」ってそこ花ノ宮の血を色濃く受け継いがなくていいトコだったよ!
「ほら、もうお前ら行け」
しっしっと手を振り促すと、後ろを何度も振り返りながら3人は部屋に戻って行く。
「よーし、仕切り直しだ。桜花分かってるな?」
「うん、桜花れいちゃん達の分まで頑張る!」
両手を握って気合いを入れる我が子に遠い目になるが、旦那を発情香で誘惑するような商談相手なら別にいいかと気持ちを切り替える事にした。
それにああは言ってたけど桜花はまだ5歳、麗羅が付け加えで言えと言った事なんて忘れてるだろ。
「桜花GO!」
「あい!」
GOサインを出された桜花はゆっくりとドアを押し引き、きょろきょろと中を見て伊月さんを見つけたのか「パパ~」と可愛らしくとててててと走って行った。
「桜花!」
ドアで遮られて見えないが、伊月さんが桜花を抱き上げたのが気配で分かる。
「桜花ママはどうしたの?」
「んとね、まだ来ない」
「そっかぁ。じゃあパパといようか」
「うん!」
危ない危ない、ドアの向こうに隠れてるって言われなくて良かったぁぁぁ。冷や汗かいたぜ!
『あの……その子は?』
『ああ、私の3番目の子供ですよ』
『へ……へぇ……』
声からして女性、しかも動揺して引きつっている。そりゃいきなり娘が乱入するとは微塵も思ってなかっただろう。
「桜花、挨拶できるかな?」
「うん、できる!えっと、こんにちは花ノ宮桜花です。おばさんママよりおブスだけどよろしくね」
グハッ!本当に言っちゃったよ!いやまて、さっき相手は英語で話してたから日本語が分かるとは限らない。セーフセーフ!
「桜花、相手は日本語が分からないから英語で話してごらん」
「ちょっ!」
『こんにちは花ノ宮桜花です。おばさんブスなのにママに勝とうとしてるの?身の程知らずね』
日本語より酷い事言ってるーーーーー!!
「あい!」
「始めにお前が無邪気に伊月のトコに行くんだ。そしてそこにいる人達にきゅるんと挨拶をしてやれ」
「「こんにちは花ノ宮桜花です。おばさんよろしくね♡」…こんな感じ?」
「素晴らしい!」
「やったあ!」
えげつなっ!子供におばさんって言わせるとは相手に精神的ダメージ追わせる気だよ。良規さん絶対面白がってるだろ。
「あと「ママよりブスですね」って言ってやりなさい」
「うん分かった!」
れ……麗羅チャン?何そのオーバーキル。商談ダメになるから止めてくれぇぇぇ!!
「麗羅、それはちょっと……」
「神楽ぁ……」
「おブスにしてあげなさい」
「止めないのかよぉぉぉ!!」
止めてくれるのかと思ったらそんな提案いらないんだよ!藤と有理も飲んでたジュース吹いて爆笑してんじゃない!
「大丈夫だって。伊月なら本当の事を本人に言うんじゃありませんってフォローするから」
フォローになってませんが?それ部屋の中なのにに吹雪が吹いちゃうやつだろ。
「じゃあ、ちゃっちゃと行こうか。1時間後に突撃するぜ!」
「「「「「おー!!」」」」」
子供達ノリノリやん。神楽も微笑ましそうに見てないで止めろよ。
「母さん、行きにAS50買って行こうか?」
「狙撃する気!?」
ぽややん選手権で優勝出来そうなくらいぽやっとのんびりな椿が恐ろしい事言ってる!!え?何?誰の影響⁉ゴ◯ゴになる気か⁉
自分の息子に慄いているうちに作戦を伝え終わったらしく、子供達はやる気満々になっていた。
もうここまでくると俺には止められない。
ごめんよ、商談相手……
「こんにちはみなさん、ここは某レストランの個室がある廊下の角でーす」
誰に対して話しているのか、良規さんはおしぼりをマイク代わりに小声で喋っている。そのおしぼりどこから持って来たんだよ。
そんな俺達は角から廊下を見るように、背の高さ順に頭だけひょっこり出している。
順番としては下から桜花、麗羅、椿、藤、有理、良規さん、俺、神楽だ。
……この格好怪しさ満点じゃね?端から見られたら職質受けるレベルよ?
でもスタッフも何も言わないとこを見ると、良規さんが事前に話していたんだろう。じゃなきゃこんな高級レストランの個室がある廊下でこんな事できないもんな。
俺の視線に気づいた良規さんがサムズアップしているが、褒めてる視線じゃねぇし。
「ママぁ安心して。桜花頑張って罵倒するから!」
ちょっとどこでそんな言葉を覚えたのうちの末っ子!5歳の女の子なんだからキュルルンだけしといてくれ!
「違うぞ桜花、罵詈雑言浴びせるんだ」
「あい」
藤 お ま え か!
「藤っ、おまっ!」
次男を怒ろうとしたら桜花以外の4人の子供が俺を見てサムズアップ。仲良しか!
「……そろそろか。行くぞ!」
時間を確認した良規さんが小声で言うと、忍び足でドアの前まで移動する。なんだろうな、忍び足する時って何でちょっと屈んでしまうんだろうな。小心者の日本人だからだろうか。
ドアの前まで来たがさすが高級レストラン、廊下に物音一つ中から聞こえない。
有り難いことに料理を運ぶのに適しているからか、ドアがスライド式だったのが功を奏し、良規さんが少しだけ開けると仄かに甘い香りが漂ってくる。
マズいとすぐ閉め、良規さんがさっきの角まで子供達を下がらせる。
「やべえ、Ωの発情期の匂いがする」
子供達はすぐ閉めたからか、まだ未成熟だったからか匂いに気づかなかったようでキョトンとしている。
「有理、藤、麗羅はさっきいた部屋に戻っていろ」
良規さんにそう言われ不満そうな顔をしているが、いくら未成熟な子供とはいえ既にαの診断を受けている3人にΩの発情香は嗅がせられない。
「父さんだってαじゃん」
有理が不満を漏らすが、良規さんや伊月さんは番を得ているから番がいないαよりも免疫があるし、発情期対策用の強い抑制剤を飲んでるからある程度は大丈夫。強い薬なので子供の使用は認可されていないけど。
「俺と伊月は番がいるからいいんだよ。それともお前、椿以外のΩを抱く気なのか?」
「!!……分かった」
そういう事だ。いくら好きな人がいようとαはΩの発情の匂いに抗えない。匂いを嗅いでしまうと理性など吹っ飛んでしまう。それが愛する人の前でも、だ。
へにょりと眉尻を下げ、悲しそうな顔をしている椿を見て有理は焦りながら抱きしめ、ごめんを連呼している。
「もう、ゆーちゃんとつばちゃんのかたきは桜花が罵詈雑言浴びせて取ってあげるからね!」
2人のスーツのスラックスをクイクイ引っ張り、ぷくっと頬を膨らませ意気込む桜花に成長したなぁとおも……思わねぇよ!ズレた方向に成長しようとしてるよ!「敵は徹底的に潰すんだよ」ってそこ花ノ宮の血を色濃く受け継いがなくていいトコだったよ!
「ほら、もうお前ら行け」
しっしっと手を振り促すと、後ろを何度も振り返りながら3人は部屋に戻って行く。
「よーし、仕切り直しだ。桜花分かってるな?」
「うん、桜花れいちゃん達の分まで頑張る!」
両手を握って気合いを入れる我が子に遠い目になるが、旦那を発情香で誘惑するような商談相手なら別にいいかと気持ちを切り替える事にした。
それにああは言ってたけど桜花はまだ5歳、麗羅が付け加えで言えと言った事なんて忘れてるだろ。
「桜花GO!」
「あい!」
GOサインを出された桜花はゆっくりとドアを押し引き、きょろきょろと中を見て伊月さんを見つけたのか「パパ~」と可愛らしくとててててと走って行った。
「桜花!」
ドアで遮られて見えないが、伊月さんが桜花を抱き上げたのが気配で分かる。
「桜花ママはどうしたの?」
「んとね、まだ来ない」
「そっかぁ。じゃあパパといようか」
「うん!」
危ない危ない、ドアの向こうに隠れてるって言われなくて良かったぁぁぁ。冷や汗かいたぜ!
『あの……その子は?』
『ああ、私の3番目の子供ですよ』
『へ……へぇ……』
声からして女性、しかも動揺して引きつっている。そりゃいきなり娘が乱入するとは微塵も思ってなかっただろう。
「桜花、挨拶できるかな?」
「うん、できる!えっと、こんにちは花ノ宮桜花です。おばさんママよりおブスだけどよろしくね」
グハッ!本当に言っちゃったよ!いやまて、さっき相手は英語で話してたから日本語が分かるとは限らない。セーフセーフ!
「桜花、相手は日本語が分からないから英語で話してごらん」
「ちょっ!」
『こんにちは花ノ宮桜花です。おばさんブスなのにママに勝とうとしてるの?身の程知らずね』
日本語より酷い事言ってるーーーーー!!
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