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番外編 引っ越しから第2の・・・(後)
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おはようございます。朝起きたらまだナカに滞在していた伊月ジュニアが身じろいだ途端に硬度が増し、そのまま一発決められた俺です。
αの絶倫舐めてた。毎日のように抱き潰されるなんて聞いてませんけど⁉
ちょっとご機嫌ななめの俺をにこにこと甲斐甲斐しく世話をする伊月さん。膝に座らせ給餌でブランチを済ませ食後のカフェオレを飲んでいると瑶さんが訪れた。
あの後彼女と話し合いしたのだろう、昼間なのに疲れた顔をしている。向かい側の椅子に座るとさっと大藤さんがコーヒーを出し去っていく。本当出来た執事さんだ。
「……分かれてもいいけど伊月くんと付き合うの一点張りなんだよ」
「えっ」
はあ、と深いため息を吐く瑶さんに驚いた俺と違い伊月さんは予想していたようだ。
話し合えば諦めると思っていたが、甘かったみたいだ。まあ簡単に諦めるようなら昨日みたいな事を面と向かって言わないか。
「凄いのと付き合ってましたね」
「羨ましがったり欲しがったりしてたけど、そこまでじゃなかったんだよ……」
率直な感想に項垂れているが、昨日の片鱗見せてんじゃん。
彼女の実家は地方の小さな村で、そこはβしかおらず唯一のΩだった彼女はみんなに大事にされ欲しいものは何でも与えられる環境で育ったらしい。
まあ田舎なので欲しがるものは小さなものばかりだったので、ホイホイと買い与えていたらしい。
上京し、女子大で自分以外のΩと知り合うも、既に番や婚約者がいて溺愛されているΩやαを侍らせているΩばかり。αから高級品を簡単に買ってもらっている姿を見て、今まで自分はなんてショボいものばかり貰っていたんだと衝撃を受けたらしい。
羨ましくて当時付き合ったαに、自分では買えない値段のものをおねだりしたらすぐ買ってくれて、やっぱりα、何でも買ってくれるんだとそこから欲求が止まらなかったようだ。
しかし恋人が留学を理由に破局、それからは周りを羨ましく思いながらも就職活動の忙しさで恋人を作る事をせず就職、花ノ宮グループの孫会社の受付で働き始めた時に、海外から仕事で来た瑶さんと知り合い付き合う事になったという。
彼女も最初は遠慮していたけど、何回が買ってあげると「あれいいなぁ」「これ欲しいなぁ」と買ってとは言わないが物欲しそうな目で見てくるようになったらしい。
大学と就職が海外だった瑶さんは、向こうの人の押しの強さに比べれば可愛いものだと思って買ってあげていたようだ。
そして晴れて本社で働く事になった瑶さんに伊月さんはマンションの一室を貸す事にし、今に至るワケだ。
「彼女よりグイグイくる向こうの人ってどんだけ押しが強いの……」
話を聞いて彼女よりそっちの方が気になったわ。
「押しが強いって言っても海外のΩは自立心が強いから日本のΩほど欲しがらないんじゃないかな。αは何でもしてあげたい質だから頼られると嬉しくてやってあげたくなるんだよ」
とりあえずは瑶さんと彼女はバランスが取れていたと。だけど伊月さんとペントハウスを見て、上には上がいたんだと羨ましさが爆発したのか。
いやいや待てって。瑶さんだって本家じゃないとはいえ花ノ宮の名字を受け継ぐ家の出で、実家はかなりの資産家だろ。このまま付き合って結婚したら、田舎暮らしだった昔に比べたら超良い生活出来んじゃん。何故それを蹴って伊月さんに鞍替えしようとしたんだよ。顔?俺をαだと思った?だから奪えると?ソーデスカ。
「何故そこで奪えると思ったんだよ」
どうやら大学時代、番や婚約者がいるΩ以外αの乗り換えは日常茶飯事だったと。どんな環境だよ!女子大怖え!
しかも男Ωは女Ωより下だと思っているらしい。女の体の方が良いだろうと。そりゃ好みはあるが、バース性において男女という性はあまり重要視されていないんだけどな。
「大学はそうやって遊べる最後の時期だからね。社会に出れば将来を考えるから普通は落ち着くよ」
「落ち着いて無いからこうなってんじゃん。しかも番解消しろとかぶっ飛びすぎだろ」
Ωにとって番は人生を左右するからみんな慎重なんだ。番ってしまうと発情期は噛んだαしか受け付けないし、解消されれば熱を持て余し精神的におかしくなる。寿命だって縮んでしまう。それなのに解消しろってどれだけ自分本位なんだよ。
「で、瑶さんはどうしたいの?」
「別れるよ」
「うん、それでいい。仕事もプライベートも間違った判断は身を滅ぼすからね」
伊月さんは瑶さんの返事に頷く。昨日のアレで付き合いを続行するなら容赦無く切り捨てるつもりだったんだろうな。
「しかしそのままにすると2人に迷惑がかかると思うので策を講じます」
「弁護士事務所の筒井さんと警備統括本部の新佐に連絡しておくから存分に使うといい」
「ありがとうございます」
そう話す2人にどうするのかとは聞かない。結果のみで過程は聞いても教えてくれないだろうし。
瑶さんが帰った後「間違った答えを出さなくて良かったよ」とにこやかに言う伊月さんに、そういう所はやっぱり花ノ宮の後継者なんだなぁとぼんやり思ってみたり。
◇◇◇◇◇
その後、谷恵理子が仕事で海外へ行き運命の番に出会い番い、そのままそこに住む事になったという事を聞いた。
花ノ宮グループとはいえ孫会社、そんな小さな会社の受付嬢が海外出張とか無いだろとか、そのタイミングで運命に会うか?とか色々突っ込みドコロがあったが、そういう風に瑶さんが処理したんだろう。だって伊月さんが「これで関わる事はないね」って言って教えてくれたから。
落ちぶれたαに噛まれたらしいから、金が無くて日本に帰りたくても帰れないようだし、渡航許可が下りないようにしているようだから2度と会わないんだろうな。
今回宇宙人はこうやって容赦無く処理されるんだと分かったし、日常平和が戻ったって事で一件落着、だよな?
一件落着と安心しているが、伊月と結婚するまで……いや、結婚後も第3、第4の宇宙人がポロポロと出現するのを瀬名はまだ知らない。
ーーーーーーーーーー
伊月と瑶は宇宙人ホイホイです。
これからもしっかり宇宙人が寄って来ます。
名家の子息子女は大なり小なり権力やスペックに引き寄せられ変なのが寄ってくる傾向があり、そのため自衛や独自の対策持っています。
特に花ノ宮家は素早く足が付かない処理をするのが上手く、今回谷恵理子が花ノ宮系列の会社に務めていたので簡単だった(瑶談)らしい。
この作品は第11回BL小説大賞にエントリーしていますので良かったら投票宜しくお願いします。
αの絶倫舐めてた。毎日のように抱き潰されるなんて聞いてませんけど⁉
ちょっとご機嫌ななめの俺をにこにこと甲斐甲斐しく世話をする伊月さん。膝に座らせ給餌でブランチを済ませ食後のカフェオレを飲んでいると瑶さんが訪れた。
あの後彼女と話し合いしたのだろう、昼間なのに疲れた顔をしている。向かい側の椅子に座るとさっと大藤さんがコーヒーを出し去っていく。本当出来た執事さんだ。
「……分かれてもいいけど伊月くんと付き合うの一点張りなんだよ」
「えっ」
はあ、と深いため息を吐く瑶さんに驚いた俺と違い伊月さんは予想していたようだ。
話し合えば諦めると思っていたが、甘かったみたいだ。まあ簡単に諦めるようなら昨日みたいな事を面と向かって言わないか。
「凄いのと付き合ってましたね」
「羨ましがったり欲しがったりしてたけど、そこまでじゃなかったんだよ……」
率直な感想に項垂れているが、昨日の片鱗見せてんじゃん。
彼女の実家は地方の小さな村で、そこはβしかおらず唯一のΩだった彼女はみんなに大事にされ欲しいものは何でも与えられる環境で育ったらしい。
まあ田舎なので欲しがるものは小さなものばかりだったので、ホイホイと買い与えていたらしい。
上京し、女子大で自分以外のΩと知り合うも、既に番や婚約者がいて溺愛されているΩやαを侍らせているΩばかり。αから高級品を簡単に買ってもらっている姿を見て、今まで自分はなんてショボいものばかり貰っていたんだと衝撃を受けたらしい。
羨ましくて当時付き合ったαに、自分では買えない値段のものをおねだりしたらすぐ買ってくれて、やっぱりα、何でも買ってくれるんだとそこから欲求が止まらなかったようだ。
しかし恋人が留学を理由に破局、それからは周りを羨ましく思いながらも就職活動の忙しさで恋人を作る事をせず就職、花ノ宮グループの孫会社の受付で働き始めた時に、海外から仕事で来た瑶さんと知り合い付き合う事になったという。
彼女も最初は遠慮していたけど、何回が買ってあげると「あれいいなぁ」「これ欲しいなぁ」と買ってとは言わないが物欲しそうな目で見てくるようになったらしい。
大学と就職が海外だった瑶さんは、向こうの人の押しの強さに比べれば可愛いものだと思って買ってあげていたようだ。
そして晴れて本社で働く事になった瑶さんに伊月さんはマンションの一室を貸す事にし、今に至るワケだ。
「彼女よりグイグイくる向こうの人ってどんだけ押しが強いの……」
話を聞いて彼女よりそっちの方が気になったわ。
「押しが強いって言っても海外のΩは自立心が強いから日本のΩほど欲しがらないんじゃないかな。αは何でもしてあげたい質だから頼られると嬉しくてやってあげたくなるんだよ」
とりあえずは瑶さんと彼女はバランスが取れていたと。だけど伊月さんとペントハウスを見て、上には上がいたんだと羨ましさが爆発したのか。
いやいや待てって。瑶さんだって本家じゃないとはいえ花ノ宮の名字を受け継ぐ家の出で、実家はかなりの資産家だろ。このまま付き合って結婚したら、田舎暮らしだった昔に比べたら超良い生活出来んじゃん。何故それを蹴って伊月さんに鞍替えしようとしたんだよ。顔?俺をαだと思った?だから奪えると?ソーデスカ。
「何故そこで奪えると思ったんだよ」
どうやら大学時代、番や婚約者がいるΩ以外αの乗り換えは日常茶飯事だったと。どんな環境だよ!女子大怖え!
しかも男Ωは女Ωより下だと思っているらしい。女の体の方が良いだろうと。そりゃ好みはあるが、バース性において男女という性はあまり重要視されていないんだけどな。
「大学はそうやって遊べる最後の時期だからね。社会に出れば将来を考えるから普通は落ち着くよ」
「落ち着いて無いからこうなってんじゃん。しかも番解消しろとかぶっ飛びすぎだろ」
Ωにとって番は人生を左右するからみんな慎重なんだ。番ってしまうと発情期は噛んだαしか受け付けないし、解消されれば熱を持て余し精神的におかしくなる。寿命だって縮んでしまう。それなのに解消しろってどれだけ自分本位なんだよ。
「で、瑶さんはどうしたいの?」
「別れるよ」
「うん、それでいい。仕事もプライベートも間違った判断は身を滅ぼすからね」
伊月さんは瑶さんの返事に頷く。昨日のアレで付き合いを続行するなら容赦無く切り捨てるつもりだったんだろうな。
「しかしそのままにすると2人に迷惑がかかると思うので策を講じます」
「弁護士事務所の筒井さんと警備統括本部の新佐に連絡しておくから存分に使うといい」
「ありがとうございます」
そう話す2人にどうするのかとは聞かない。結果のみで過程は聞いても教えてくれないだろうし。
瑶さんが帰った後「間違った答えを出さなくて良かったよ」とにこやかに言う伊月さんに、そういう所はやっぱり花ノ宮の後継者なんだなぁとぼんやり思ってみたり。
◇◇◇◇◇
その後、谷恵理子が仕事で海外へ行き運命の番に出会い番い、そのままそこに住む事になったという事を聞いた。
花ノ宮グループとはいえ孫会社、そんな小さな会社の受付嬢が海外出張とか無いだろとか、そのタイミングで運命に会うか?とか色々突っ込みドコロがあったが、そういう風に瑶さんが処理したんだろう。だって伊月さんが「これで関わる事はないね」って言って教えてくれたから。
落ちぶれたαに噛まれたらしいから、金が無くて日本に帰りたくても帰れないようだし、渡航許可が下りないようにしているようだから2度と会わないんだろうな。
今回宇宙人はこうやって容赦無く処理されるんだと分かったし、日常平和が戻ったって事で一件落着、だよな?
一件落着と安心しているが、伊月と結婚するまで……いや、結婚後も第3、第4の宇宙人がポロポロと出現するのを瀬名はまだ知らない。
ーーーーーーーーーー
伊月と瑶は宇宙人ホイホイです。
これからもしっかり宇宙人が寄って来ます。
名家の子息子女は大なり小なり権力やスペックに引き寄せられ変なのが寄ってくる傾向があり、そのため自衛や独自の対策持っています。
特に花ノ宮家は素早く足が付かない処理をするのが上手く、今回谷恵理子が花ノ宮系列の会社に務めていたので簡単だった(瑶談)らしい。
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