告白してきたヤツを寝取られたらイケメンαが本気で囲ってきて逃げられない

ネコフク

文字の大きさ
上 下
36 / 66

瀬名の運命の番

しおりを挟む
今回もオメガバースの独自設定入りまーす。


ーーーーーーーーーー



「ふっ……瀬名の運命の番なんて……宇佐先生も冗談を言うんですね……ふふふっ……」

 うちのおとんは結構冗談言いますが?というか伊月さん震えながらお茶飲もうとしてるけど、カップを割ってハンドル(持つとこ)だけになってるから!動揺してエア飲みになってるって!

「冗談じゃないよー瀬名の相手は百夢もゆだよー」

「アイツだけは許さん!!」

 カッと目を見開いて今まで見たこと無い顔しててちょっと怖い。伊月さんと百夢の相性は良くないなーとは思っていたけどそこまで嫌いかぁ。

 いや、その前に兄弟だから違うだろ。何故そこを伊月さんは否定しないんだ?動揺し過ぎ?

「父さん伊月さんを動揺させるなよ。そもそも百夢は弟なんだからありえないだろ」

「ありえるよー。稀だけど親子、兄弟が運命の番って事があるんだよね。伊月くんは講義で習ったでしょ?」

「……はい」

「そうなの?」

「あー、医学部しか習わないのかなー?まあそうなんだよ。フェロモンにも血液型みたいに型があって、それが近ければ近いほど相性が良くてほぼ一緒なのが運命の番なんだよね」

「それで何で俺と百夢が運命の番って分かるんだよ。俺何にも感じないけど?」

 説明されても胡散臭くてジト目で見てしまう。百夢に兄弟の感情以外特別な思いを抱いた事が無いしな。

「ちょっとぉ、僕を誰だと思ってるの?抑制剤を専門に研究してるんだよ、フェロモンだって研究対象でデータ取ってるんだから!」

 むん!と胸を張ってドヤッている父親は確かに専門家だった。忘れてたけど。

「百夢がさ、小さい頃からブラコンが過ぎるなーって思ってたから調べてみたらそうだったんだよねぇ」

 何でも親兄弟で運命の番であっても遺伝子的に本能に訴える事はあまりなく、その代わり過度な溺愛やブラコンシスコンになり易いらしい。
 例外が一卵性双生児のαとΩ。ここは離す事が出来ないくらい繋がりが強く、特例として番と結婚が認められているらしい。

「まあ瀬名と百夢が運命の番だって言うのはここだけの話にしてね。百夢に言ったら暴走しそうだから」

 ハッハッハッハ~と軽く言ってるが是非そうしてくれ。俺も百夢に襲われたくないし、伊月さんの心の平穏にもな。

「俺聞かなかった事にする!父さんもそれ墓場まで持ってけよ!伊月さんも忘れてくれ!」

「はあ゙⁉よりにもよってあの百夢クソが瀬名の運命の番だって⁉こっそり亡き者にしてやろうかな。……いや、アレはまがりなりにも瀬名の弟だ、植物状態ぐらいにしておこうか?それとも瀬名を誰にも見られない場所に住まわせる?……そうだな、確か売りに出ていた島があったな。気候が良くて景観と住みやすそうな……待てよ、初めから好きなように建てるのもいいな。しかし屋敷だけだと寂しいかな。じゃあちょっと離れた場所に街でも造るか……」

 俺の呼びかけに気づかない伊月さんは、何やら物騒な事をブツブツ言っている。
 ナキモノ、ショクブツジョウタイ、シマ、マチ……聞こえてきた単語の繋がりがよく分からないが、これだけは言える。

 伊月さん、瞳孔が開いててコワイ。

「いっ伊月さ~ん……聞こえてますか~?」

「あっ、ごめんね。つい百夢クソ野郎の始末の仕方と瀬名の監禁をシュミレーションしてたよ」

「物騒!!」

 怖え!!ヤバ怖え!!てか父よ、息子のピンチを腹を抱えてゲラゲラ笑っているんじゃないっ!

「俺、百夢には弟って以外何も感じないし。伊月さんの心配が無くなるまで会わないよ!」

「ダメ」

「え?」

「心配なんてこの世に居なくなるまで無くならないよ。……やっぱりスナイパーを雇うか……」

「たから物騒!……そうだ!ほら、運命の番って噛まれれば分からなくなるんだろ?だ」

「それって次の発情期ヒートで番って良いって事だね!」

「あ、いや、たとえばの」

「嬉しい!瀬名から噛んでほしいなんて!喜んで噛むよ!」

「いや噛んでとは」

「よし!これから失敗しないようにセックスだけはしておこう!」

「だから聞いて⁉」

 俺の言葉をことごとく遮った伊月さんは嬉々としてソファーから立ち上がったかと思うと、俺をお姫様抱っこをし部屋を後にする。後ろの方から「お赤飯炊いておくから頑張って~。あ、お赤飯何色がいい?」という父親の無情な声が聞こえてくるが止めてくれ!

 つーか、赤飯の色どんな色があるんだよ!






 軽やかな足取りで研究所を出た伊月さんは、待たせていた車の後部座席に乗りこんだ途端、俺の口を自分の唇で塞ぎ驚いて開いてしまった口内にぬるりと舌を滑り込ませ蹂躙していく。

 絡め取られた舌は同じ体温にするように執拗に擦りつけ、軽く歯を立てられたり吸われたりし、内にある官能を呼び起こすような深く交わり、飲み込めなかった唾液が口端から溢れそれでも角度を変えながら口づけは続く。

 上手く息継ぎが出来なくて苦しくなるのと反比例して香ってきたサンダルウッドに下腹部に熱と疼きが生まれ、抵抗も出来ずただただ伊月さんの胸元のシャツを握り何も考えられなくなった意識を繋ぎ止めるようにするだけで精一杯だった。

 車がどこかに着き唇が離され、やっと息苦しさから開放されたが胸の動悸や体に溜まった熱や疼きはそのまま。途中から意識的に浴びせられていたフェロモンでそれは治まる気配はない。

 抱えられ車を出たとこまでは覚えていたが、次に意識が浮上したのは柔らかく広い所に優しく降ろされた時だった。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

処理中です...