告白してきたヤツを寝取られたらイケメンαが本気で囲ってきて逃げられない

ネコフク

文字の大きさ
上 下
31 / 66

黒幕に明日はないようです

しおりを挟む
 マジ……マジ何なの⁉父親が上善から母親を略奪したって事か⁉それめっちゃ根に持たれるヤツじゃん!

「おっと、パパひどーいとか思ってるでしょ?違うよー、元々2人はソリが合わなかったの。Ωはαに従うべきという上善とαに並ぶくらい優秀な美夜きゅんじゃあ衝突するよね。そんな思想だったのを婚約してから分かったって感じ?鷹司家も溺愛している美夜きゅんが「上善クソより良い人見つけた!」って言うから意をくんで婚約破棄申し入れたんだよ。あ、良い人って僕ね。上善方は鷹司のブランドと美夜きゅんの顔を気に入ってて婚約破棄を渋ってたけど、金積んだらあっさり引いたし。奪ったって言い方が悪かったけど、略奪とかネトラレじゃないからね~」

 それだったらいいけど。まさか身近なトコで略奪婚とか嫌すぎる。俺は普通に恋愛して結婚したい。……ってそうなると俺が嫁、嫁かぁ。Ωだから俺が嫁だよな。男なのに嫁、フクザツな響きだ……

 つい「嫁……」と呟いてしまうと伊月さんがキラキラした目で見られてしまった。しかも「花ノ宮瀬名……しっくりくるね♡」とかぶつぶつ言っている。妄想の中で俺結婚してる⁉早えよ!

 でもそうなると鷹司家や三波家を根に持ってるのは分かるが、花ノ宮家は関係ないよな。何で伊月さんと飯坂弟のごたごたに首を突っ込むんだ?

「それは分かったけど、だからって全く関係無い伊月さん達の事に首を突っ込む必要ないよな?」

「それはね、瀬名だよ」

「へ?俺?」

 その一言にみんなが俺を見る。いやいやいや、何でそこに俺が出てくんの?

「予想だけど上善は娘と瀬名を結婚させたいんじゃない?」

「え、ヤダ」

 おおぅ、つい脊髄反射で答えてしまった。娘?ダレソレ?親が婚約破棄した相手の娘と結婚なんて何の罰ゲームだ?

「上善は婚約破棄後、鷹司に何度もΩを寄越せって言ってたけどその度に断られてたからね。だから鷹司家から出て嫁に行った美夜きゅんの息子である瀬名に目を付けたんじゃない?婚約破棄を渋った上善の顔を立てて絶縁のていをしていたのが今回仇になったかぁバリバリ……」

 言いながら煎餅を食べるのはヤメロ。「いや~これ美味しいですね」とか秘書に言ってんじゃねーよ。

「だからって伊月さん関係ないじゃん」

「いや、宇佐先生の予想通りなら関係あるよ。多分僕が瀬名を手に入れようと動いたのが原因だろうね。上善氏が狙っていたのに横槍を入れられたような感じになってヤキモキしている時に、僕の運命の番が現れこれ幸いと飯坂家を焚き付けたんじゃないかな」

 確かにそれだと点と点が線になる。でもそこまでして俺を欲する必要は無いと思うんだが。

「上善氏が鷹司家に固執したのは色んな利益があるからだと思います。子供は優秀なαやΩの可能性が高い。特に鷹司の血を引いているΩというだけで伴侶にと金を積む家が多い。まあ現金だけじゃなく、会社の業務提携や社交界での地位向上も見込めるのでここ10年、業績が芳しくない上善家としては子供をすぐ作らせ赤ん坊のうちから婚約させる気なのでしょう」

 まあ、ある程度以上の家だとよくある話ですよと筒井さんが言うが、人を道具としてしか見てない感じは嫌だなぁ。

「昔からある話だよね。名家になるほど優秀な子供を欲しがるから。だから優秀なΩを排出する鷹司、浦霞うらがすみ、越乃の御三家に目を付け申し入れをする。もし婚約が成立した場合、結納金の名目でかなりの金額が包まれるんだよ。あ、これはΩの名家だけで一般家庭は常識の範囲内の金額ですから期待しない方がいいですよ」

 飯坂両親が結納金の話で期待に満ちた顔をしていたが、あからさまにがっかりしとる。契約の際にかなりの金額を渡したと聞いていたが、あまりの金額に欲がでたんだろうな。

「それだったら鷹司家に断られたんだったら他の御三家に打診すれば良かったのに」

「その頃に鷹司家以外は釣り合う年齢の子がいなかったんだよ。今の時点でも上は結婚・婚約済、下は10才近く離れているからね。遠縁ならいるかもしれないけど分家にもなれない家は期待できないからね。花ノ宮うちみたいに血縁を気にしない名家は少ないんだよ」

「花ノ宮家は違うんだ?」

「そうだよ。その代わりうちはコネや家柄が関係無い超実力主義でね、能力が無い人間はずっとヒラのままだし、花ノ宮の名前も名乗れないんだ。当主も候補の中から実力で選ばれる。今の当主は僕の母だよ」

 へえ、能力が正当評価しますって謳っている会社でもコネや家柄、贔屓忖度が何かしら作用してたりする。もしそれが本当なら凄い事だ。だからこそ大企業の花ノ宮グループが今でも成長し続けている要因なのかもしれないな。

「上善氏としては外孫である瀬名氏ならば鷹司家を通さず手に入れ易いと思ったのでしょうが、相手が悪かったとしか言いようがありませんね。会見前に渡した資料を元に伊月様から指示を受けて動いておりますので、上善氏の方は明日には決着が着いています」

 その話からすると上善の方に何かしら制裁的なものがあるのだろう。聞いたらうへぇとなりそうなので聞かないけども。

「そう?がっつりやっちゃって」

「はい、またその気を起こさないくらい徹底的に」

 父親に返事をする伊月さんはそれはもう綺麗な笑顔で頷いていた。





 怖っ。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

中華マフィア若頭の寵愛が重すぎて頭を抱えています

橋本しら子
BL
あの時、あの場所に近づかなければ、変わらない日常の中にいることができたのかもしれない。居酒屋でアルバイトをしながら学費を稼ぐ苦学生の桃瀬朱兎(ももせあやと)は、バイト終わりに自宅近くの裏路地で怪我をしていた一人の男を助けた。その男こそ、朱龍会日本支部を取り仕切っている中華マフィアの若頭【鼬瓏(ゆうろん)】その人。彼に関わったことから事件に巻き込まれてしまい、気づけば闇オークションで人身売買に掛けられていた。偶然居合わせた鼬瓏に買われたことにより普通の日常から一変、非日常へ身を置くことになってしまったが…… 想像していたような酷い扱いなどなく、ただ鼬瓏に甘やかされながら何時も通りの生活を送っていた。 ※付きのお話は18指定になります。ご注意ください。 更新は不定期です。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

イケメンがご乱心すぎてついていけません!

アキトワ(まなせ)
BL
「ねぇ、オレの事は悠って呼んで」  俺にだけ許された呼び名 「見つけたよ。お前がオレのΩだ」 普通にβとして過ごしてきた俺に告げられた言葉。 友達だと思って接してきたアイツに…性的な目で見られる戸惑い。 ■オメガバースの世界観を元にしたそんな二人の話  ゆるめ設定です。 ………………………………………………………………… イラスト:聖也様(@Wg3QO7dHrjLFH)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

α様に囲われて独立が出来ません!

翠 月華
BL
 男女という性別に加え第二の性別アルファ、ベータ、オメガというモノがある世界。  そんな世界には愚かな過去がある。一昔前、オメガは疎まれ蔑まられていた。そんなオメガ達だがある日を境に数が減少した。その哀しき理由に気づかず、オメガを酷似した結果オメガは宇宙の人口の一割以下まで減った。そして、人々は焦りオメガを保護という名で囲っていった。  そんな世の中に一人の平凡で平穏な暮らしを望むベータ、那央がいた。  しかし、那央はベータではなく、オメガだった。  那央の運命はいかに…

処理中です...