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落ち込む心、激怒する心、返って来る返事
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発情期の休みが終わり大学へ行くと、3日前に聞いてた時よりも噂が広まっているらしく、かなりの学生に遠巻きで見られる。「気にする事ないよ」と一緒に登校した神楽や良規さんが言ってくれるけど俺の気持ちは晴れなかった。
教室に行くと心配してくれる人が多かったけど「やっぱり運命にはかなわないよ」という子もいて曖昧に笑っておく。
授業を受けながらもつい伊月さんの事を考えてしまうが、何でこんなに気持ちが落ち込んでいるんだろうとも考えてしまう。そんな気持ちも噂や連絡が取れない伊月さんの事でいっぱいになってしまい考えられない。どうした俺。
無意識にため息をついている俺を見て「三波くんの憂い顔麗しいわね」「ああ、無自覚に人を惹きつけてらっしゃる」「この展開、薄い本が厚くなる!」と例の3人が言っていたとかいないとか。
◇◇◇◇◇
昼は購買でパンを買って教室で食べる。今食堂に行くと伊月さんと一緒にいた俺は噂で言う「伊月さんを運命に取られたΩ」で注目の的になってしまうから。真実が分からないからその噂に肯定も否定も出来ない。
それに今日はやたらとαの学生に話しかけられる。神楽曰く「噂のせいで瀬名がフリーになったと思われてるから」だそうだ。元々フリーだけど?と言ったら何故か神楽にジト目をされてしまった。
『あーあー……コホン。薬学科三波瀬名、至急パパの研究室に来なさい。急いで来ないと鼻メガネ好きだってバラしちゃうよ~』
「クソ親父ぃ!!」
ざわりと教室に残っているクラスメイトが俺を見るがその目は「鼻メガネ好きなの?意外~」って目だ。
「俺は鼻メガネ好きじゃないからな!好きなのはクソ親父だぁぁぁ!ついでにパパなんて呼ばねぇ!」
「あっ、瀬名!」
神楽に呼び止められるもそのまま走って教室を出る。研究室まではかなり距離がある為走り続けられないので早歩きで向かうが、さっきの放送を聞いた学生が、噂よりも鼻メガネに意識を持っていかれたのか朝とは違う微妙な視線を向けてくる。
(絞める、マジ絞める!そして母さんにチクる!)
三波家最高権力者にチクる事を心に決めながら廊下をスタスタと歩き研究室に着く。
「あっ、瀬名くーん」
「ほら鼻メガネ」
「シャキーン(鼻メガネ装備)」
ドアを開けると前室の机に座っていた父親の助手や学生が声をかけてくる。手には鼻メガネ。
何故あんたらもソレ持ってんの。てかサムズアップはヤメロ。
「クソ親父、俺は鼻メガネ好きじゃ……わぶっ!」
机の後ろを通り抜け父親の部屋のドアを怒りに任せ開け放ち怒鳴った瞬間に大きな塊がぶつかってきた。
「あ………」
これは
「なんで………」
――――――――――何で抱き締めてるのか
――――――――――何で分かるのか
噂通りなら匂うはずのない香り
「瀬名」と今までと同じ甘やかな呼び方そして
――――――――――サンダルウッド
「伊月さん」
ここ3日不安で心配で呼んでも返事がなかった名前を口に出す。
「なあに瀬名」
返事が、返ってきた。もう一度、
「伊月さん」
「うん、ここにいるよ」
「ここにいるから」
教室に行くと心配してくれる人が多かったけど「やっぱり運命にはかなわないよ」という子もいて曖昧に笑っておく。
授業を受けながらもつい伊月さんの事を考えてしまうが、何でこんなに気持ちが落ち込んでいるんだろうとも考えてしまう。そんな気持ちも噂や連絡が取れない伊月さんの事でいっぱいになってしまい考えられない。どうした俺。
無意識にため息をついている俺を見て「三波くんの憂い顔麗しいわね」「ああ、無自覚に人を惹きつけてらっしゃる」「この展開、薄い本が厚くなる!」と例の3人が言っていたとかいないとか。
◇◇◇◇◇
昼は購買でパンを買って教室で食べる。今食堂に行くと伊月さんと一緒にいた俺は噂で言う「伊月さんを運命に取られたΩ」で注目の的になってしまうから。真実が分からないからその噂に肯定も否定も出来ない。
それに今日はやたらとαの学生に話しかけられる。神楽曰く「噂のせいで瀬名がフリーになったと思われてるから」だそうだ。元々フリーだけど?と言ったら何故か神楽にジト目をされてしまった。
『あーあー……コホン。薬学科三波瀬名、至急パパの研究室に来なさい。急いで来ないと鼻メガネ好きだってバラしちゃうよ~』
「クソ親父ぃ!!」
ざわりと教室に残っているクラスメイトが俺を見るがその目は「鼻メガネ好きなの?意外~」って目だ。
「俺は鼻メガネ好きじゃないからな!好きなのはクソ親父だぁぁぁ!ついでにパパなんて呼ばねぇ!」
「あっ、瀬名!」
神楽に呼び止められるもそのまま走って教室を出る。研究室まではかなり距離がある為走り続けられないので早歩きで向かうが、さっきの放送を聞いた学生が、噂よりも鼻メガネに意識を持っていかれたのか朝とは違う微妙な視線を向けてくる。
(絞める、マジ絞める!そして母さんにチクる!)
三波家最高権力者にチクる事を心に決めながら廊下をスタスタと歩き研究室に着く。
「あっ、瀬名くーん」
「ほら鼻メガネ」
「シャキーン(鼻メガネ装備)」
ドアを開けると前室の机に座っていた父親の助手や学生が声をかけてくる。手には鼻メガネ。
何故あんたらもソレ持ってんの。てかサムズアップはヤメロ。
「クソ親父、俺は鼻メガネ好きじゃ……わぶっ!」
机の後ろを通り抜け父親の部屋のドアを怒りに任せ開け放ち怒鳴った瞬間に大きな塊がぶつかってきた。
「あ………」
これは
「なんで………」
――――――――――何で抱き締めてるのか
――――――――――何で分かるのか
噂通りなら匂うはずのない香り
「瀬名」と今までと同じ甘やかな呼び方そして
――――――――――サンダルウッド
「伊月さん」
ここ3日不安で心配で呼んでも返事がなかった名前を口に出す。
「なあに瀬名」
返事が、返ってきた。もう一度、
「伊月さん」
「うん、ここにいるよ」
「ここにいるから」
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