16 / 66
知久と叶
しおりを挟む
Side 飯坂知久
うそだうそだうそだ。瀬名があんなに美人だなんて!
食堂であんな姿見たこと無い!いつも長めの髪をボサボサにしてヨレヨレの服を着ている底辺Ω、それが瀬名だったハズ。なのに今日は髪を整え前髪をピンで留め、着ている服も誰でも知っているハイブランド。
顔もそこら辺にいるΩより断然美人だった。見上げた瞳はなんの混じりっ気も無い緑色。一瞬カラコンかと思ったがカラコン特有の柄は無かったから裸眼だろう。
あんな身なりをしていたから食堂のαだけじゃなくβのヤツらまでチラチラと瀬名を見ていた。現に俺もその内の1人だった。瀬名だと気づかず見ていた。
しかしあれが弟の運命が拒否した原因。兄として憤慨しなくてはいけないのだろうがαとしては欲するのは納得する。
美しい容貌に吸い込まれるような瞳、この大学へ入れるだけの学力。
欲しい。でも瀬名にべったりと付いている花ノ宮伊月の執着がヤバい。まだ被験期間が終わってないからヤッてはいないだろうがマーキングと威嚇が混じったフェロモンを邪な目で見ているヤツだけに放つようにコントロールしている。
「おい、瀬名があんな美人なんて知らなかったぞ!」
「はあ?アンタ三波の顔を知らなくて近寄ったの?」
「ぐっ……」
後ろからついて来た根本に詰め寄ったが、その通り過ぎて言葉に詰まる。花ノ宮に近づく為だけによく話しているΩに声をかけただけだから見た目は気にしていなかった。
「三波は中学の頃からムカつくくらいモテてたからね。大学入ってからモサくなって近寄るヤツがいなくなったから三波を狙うαを寝取れなくなったけど」
「お前大概だな」
「はあ?アンタに言われたくないんだけど。どうせ三波を好きで近づいたんじゃないでしょ」
まあその通りなんだけどコイツ何でそんなに瀬名の周りを食ってんだ?
「あ~あ、先輩が本気を出しちゃったらもうダメじゃん。今までそんな事無かったから油断してたなぁ」
「……お前その口ぶり……昔から瀬名と花ノ宮先輩の事知ってるのか?」
「ん~中学から同じ学校。僕の姫ポジと王子様を取ったヤツ」
そこ超有名な学校じゃないか!俺が通ってた学校と違ってΩも通える私立の中高一貫校。てか姫ポジって何だよ。
ちょっと待て、その頃から花ノ宮は瀬名を好きだって事か?そこから好きで運命を拒否するって……αの執着にしては根深いだろ!
弟よ、諦められるなら諦めた方がいい。
Side 根本叶
むーかーつーくー
何なの⁉アイツ急に小綺麗になって!そしてあの顔!ハーフだかクオーターだか知らないけど天然で緑の目ってズルいでしょ!僕が色素が薄いタイプのΩでも100%日本人だから薄茶色の目。おいコラ、羨ましいワケじゃないよ!
中学入学時から見た目や成績がトップなのに鼻にかけない三波はそりゃモテてたよ。無理矢理交際をもぎ取ったヤツもいたけど三波は「被験者だから」と恋人同士の触れ合いを全て拒否。その頃に僕が先輩に告白したら三波の名前を出されて振られた。
むしゃくしゃして三波の彼氏にちょっかいを出したら、欲求不満だったらしくホイホイ靡きやがった。三波より僕が選ばれた優越感を感じて何度も繰り返したら恋人を作らなくなった。だから三波に寄って来るαを食いまくってた。
そんな僕はやっぱり先輩が忘れられなかった。だって見た目がドストライクだったし名家のα、超玉の輿でしょ。だからもう一度告白した。そうしたら「誰とでも寝るΩに興味がない」って言われてしまった。
ショック、ショックだよ!三波のせいで手を出していたただけなのに。それでも止めなかった。だって三波が悪いんだから。
そうしてたら高校の時にはビッチ姫って影で言われるようになってしまった。やっぱり三波のせいだ。
こうなったらとことん奪い取ってやろうと思ったら三波は難関大学を受けると聞いた。
は?マジ何で僕が行けそうにも無いトコ選ぶの?さすがに慌てた僕は2年間みっちり成績を上げ大学を受けた。同じ学部にしたかったけど、無理すぎて大学内では一番低い偏差値の学部でギリギリ大学へ入った。親は純粋に喜んでいたけど僕はまた三波に嫌がらせを出来ると浮き足立った。
が、大学へ入ると三波はあのおキレイな顔を隠して過ごすようになった。そうしたら誰も三波に寄ってこない。
ふざけるなよ!せっかく頑張って入学したのにそれか!そう思っていたら思ってもいなかった人に会った。
先輩だ。
頭が良かった先輩は医学部に在籍しているらしく、接点が食堂しかなかったが、それでも見れるのは嬉しかった。
だがまたお前か三波、ボサボサヨレヨレで先輩と話しやがって。でも2人共世間話しかしてなくて距離も一定を保っていたから今回油断した。
久しぶりに三波に寄って来た知久を寝取ったまでは良かったけど、寝取った宣言した次の週にはアレってどうなのさ⁉
三波が顔を晒して先輩が隣にいる……それが何を意味するかなんて簡単に分かる。先輩諦めてなかったんだ……
7年間のαの執着……もう三波は先輩から逃げられないだろう。そう思ったらなんかどうでもよくなってしまった。
知久は何か企んでいるみたいだけど止めた方がいいんじゃない?
~~~~~~~~~~~
叶の「ビッチ姫」は自業自得です。
瀬名のせいにしていますが元々ビッチの素質があっただけ。誰でも寝れるタイプの人です。
瀬名は被験者にならなくても貞操は守るタイプ。叶とは絶対友達になれません。
うそだうそだうそだ。瀬名があんなに美人だなんて!
食堂であんな姿見たこと無い!いつも長めの髪をボサボサにしてヨレヨレの服を着ている底辺Ω、それが瀬名だったハズ。なのに今日は髪を整え前髪をピンで留め、着ている服も誰でも知っているハイブランド。
顔もそこら辺にいるΩより断然美人だった。見上げた瞳はなんの混じりっ気も無い緑色。一瞬カラコンかと思ったがカラコン特有の柄は無かったから裸眼だろう。
あんな身なりをしていたから食堂のαだけじゃなくβのヤツらまでチラチラと瀬名を見ていた。現に俺もその内の1人だった。瀬名だと気づかず見ていた。
しかしあれが弟の運命が拒否した原因。兄として憤慨しなくてはいけないのだろうがαとしては欲するのは納得する。
美しい容貌に吸い込まれるような瞳、この大学へ入れるだけの学力。
欲しい。でも瀬名にべったりと付いている花ノ宮伊月の執着がヤバい。まだ被験期間が終わってないからヤッてはいないだろうがマーキングと威嚇が混じったフェロモンを邪な目で見ているヤツだけに放つようにコントロールしている。
「おい、瀬名があんな美人なんて知らなかったぞ!」
「はあ?アンタ三波の顔を知らなくて近寄ったの?」
「ぐっ……」
後ろからついて来た根本に詰め寄ったが、その通り過ぎて言葉に詰まる。花ノ宮に近づく為だけによく話しているΩに声をかけただけだから見た目は気にしていなかった。
「三波は中学の頃からムカつくくらいモテてたからね。大学入ってからモサくなって近寄るヤツがいなくなったから三波を狙うαを寝取れなくなったけど」
「お前大概だな」
「はあ?アンタに言われたくないんだけど。どうせ三波を好きで近づいたんじゃないでしょ」
まあその通りなんだけどコイツ何でそんなに瀬名の周りを食ってんだ?
「あ~あ、先輩が本気を出しちゃったらもうダメじゃん。今までそんな事無かったから油断してたなぁ」
「……お前その口ぶり……昔から瀬名と花ノ宮先輩の事知ってるのか?」
「ん~中学から同じ学校。僕の姫ポジと王子様を取ったヤツ」
そこ超有名な学校じゃないか!俺が通ってた学校と違ってΩも通える私立の中高一貫校。てか姫ポジって何だよ。
ちょっと待て、その頃から花ノ宮は瀬名を好きだって事か?そこから好きで運命を拒否するって……αの執着にしては根深いだろ!
弟よ、諦められるなら諦めた方がいい。
Side 根本叶
むーかーつーくー
何なの⁉アイツ急に小綺麗になって!そしてあの顔!ハーフだかクオーターだか知らないけど天然で緑の目ってズルいでしょ!僕が色素が薄いタイプのΩでも100%日本人だから薄茶色の目。おいコラ、羨ましいワケじゃないよ!
中学入学時から見た目や成績がトップなのに鼻にかけない三波はそりゃモテてたよ。無理矢理交際をもぎ取ったヤツもいたけど三波は「被験者だから」と恋人同士の触れ合いを全て拒否。その頃に僕が先輩に告白したら三波の名前を出されて振られた。
むしゃくしゃして三波の彼氏にちょっかいを出したら、欲求不満だったらしくホイホイ靡きやがった。三波より僕が選ばれた優越感を感じて何度も繰り返したら恋人を作らなくなった。だから三波に寄って来るαを食いまくってた。
そんな僕はやっぱり先輩が忘れられなかった。だって見た目がドストライクだったし名家のα、超玉の輿でしょ。だからもう一度告白した。そうしたら「誰とでも寝るΩに興味がない」って言われてしまった。
ショック、ショックだよ!三波のせいで手を出していたただけなのに。それでも止めなかった。だって三波が悪いんだから。
そうしてたら高校の時にはビッチ姫って影で言われるようになってしまった。やっぱり三波のせいだ。
こうなったらとことん奪い取ってやろうと思ったら三波は難関大学を受けると聞いた。
は?マジ何で僕が行けそうにも無いトコ選ぶの?さすがに慌てた僕は2年間みっちり成績を上げ大学を受けた。同じ学部にしたかったけど、無理すぎて大学内では一番低い偏差値の学部でギリギリ大学へ入った。親は純粋に喜んでいたけど僕はまた三波に嫌がらせを出来ると浮き足立った。
が、大学へ入ると三波はあのおキレイな顔を隠して過ごすようになった。そうしたら誰も三波に寄ってこない。
ふざけるなよ!せっかく頑張って入学したのにそれか!そう思っていたら思ってもいなかった人に会った。
先輩だ。
頭が良かった先輩は医学部に在籍しているらしく、接点が食堂しかなかったが、それでも見れるのは嬉しかった。
だがまたお前か三波、ボサボサヨレヨレで先輩と話しやがって。でも2人共世間話しかしてなくて距離も一定を保っていたから今回油断した。
久しぶりに三波に寄って来た知久を寝取ったまでは良かったけど、寝取った宣言した次の週にはアレってどうなのさ⁉
三波が顔を晒して先輩が隣にいる……それが何を意味するかなんて簡単に分かる。先輩諦めてなかったんだ……
7年間のαの執着……もう三波は先輩から逃げられないだろう。そう思ったらなんかどうでもよくなってしまった。
知久は何か企んでいるみたいだけど止めた方がいいんじゃない?
~~~~~~~~~~~
叶の「ビッチ姫」は自業自得です。
瀬名のせいにしていますが元々ビッチの素質があっただけ。誰でも寝れるタイプの人です。
瀬名は被験者にならなくても貞操は守るタイプ。叶とは絶対友達になれません。
46
お気に入りに追加
687
あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

からかわれていると思ってたら本気だった?!
雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生
《あらすじ》
ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。
ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。
葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。
弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。
葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。


【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる