告白してきたヤツを寝取られたらイケメンαが本気で囲ってきて逃げられない

ネコフク

文字の大きさ
上 下
13 / 66

運命の番ってけっこう厄介

しおりを挟む
 
「それとさ、飯坂くんだよね?君その不快な匂いを付けて僕の側に来ないでくれるかな?」

 さっきまで唖然と俺を見ていた飯坂がビクリと肩を揺らす。伊月さんの言う"匂い"に心当たりがあるんだろう。

「何の事だか……」

「分からないわけないよね?頼まれたの?自発的?どっちでもいいけど警告はしたよ。次は無いからね」

 伊月さんの鋭い視線にたじろぎ逃げるように去っていく。

「知久!んのぉ三波瀬名、覚えとけよ!」

 三下のセリフを吐き飯坂を根本が追いかけていく。……俺は一体何を覚えておけばいいんだ?そして項に顔を埋めすーはーすーはーしていて動けないんだが。ま、気にせず食べるけども。

「お前その状態で器用に食うな……」

 あれ?なんか良規さんに呆れられた。げしょ。





 あの後甘えたになった伊月さんを連れ、また父親の研究室に戻る。今ソファーに座った伊月さんは俺を膝の上に乗せ、抱き締めた状態で胸元に顔をぐりぐりしている。恥ずかしいから拒否したけど、良規さんが好きなようにさせてやれと言うので仕方なくこの状態である。

 コーヒーは神楽が淹れてくれ、4人分がテーブルに置かれた頃に、やっと落ち着いたのか胸元にある伊月さんの頭が動かなくなった。
 しかし尻の下に当たっている硬いものは落ち着いてないがな!

「落ち着いたか?」

「……うん」

「厄介だな」

「そうだね」

 伊月さんと良規さんの会話は一言だけなので何の事を言っているのか掴めない。説明プリーズ。あと硬いものを尻にぐりぐりする説明も求厶。

「フェロモン」

「え?」

「飯坂ってヤツから伊月の『運命の番』のフェロモンが匂ってた」

 確かに飯坂から根本とは違うΩのフェロモンがわずかにしてたけど、ホントに微量だったのに気づいたんだ。

「『運命の番』のフェロモンってさ、本人達には強烈に分かるもんなんだよ」

 そう言って良規さんは神楽の手を取り手首の内側の匂いを嗅ぐ。こら、ペロリと舐めるのは止めてあげて。顔真っ赤にしてるから。

「よく聞くだろ?「会った瞬間にヒートを起こした」って。あれはそれが原因って言われてる。それくらい運命のフェロモンは強く香るんだよ」

「良規さんと神楽も?」

「俺達は神楽がΩとして成熟する前に出会って本能で感じたからフェロモンは関係ないな」

 なるほど、小学生の時に会ってたらそうなるか。

「でもよく良規さんは伊月さんの運命の番のフェロモンが分かりましたね」

「それはその場に俺もいたからな。頼まれて家格が低いパーティーに行くもんじゃねぇな」

 ケッと吐き捨てるように言いながら神楽の項をスンスン嗅いでいる。だから止めてあげて。さらに真っ赤になってプルプル震え始めたから!

「家格が低いトコのパーティーに何か問題でも?」

「ありあり大アリ!それなりのパーティーだと身元もしっかりしていてセキュリティやバース性対策も万全だけど、低いと抜けがあるんだよ。飯坂兄弟はその「抜け」だ。良い学校に通ってたが飯坂家は一般家庭、周りの華やかさに憧れたんだろ、兄の方が友人に頼み込んで2人でパーティーに潜り込んだらしい。そんな穴だらけのパーティーだ、バース性対策なんかしてやしねぇ。その場でヒートを起こした飯坂弟を伊月が拒否して俺が統制してなきゃ今頃花ノ宮家は飯坂アイツの弟を伊月の番に迎えてただろうよ」

 その時の事を思い出したのか抱き締める腕の力が強くなる。良規さんが言うようにそんな強い本能やフェロモンなら抗うのは余程の精神力が必要だっただろう。
頑張ったなという意味を込めて頭を撫でると、腕の力がもっと強くなる。……これはぐる゙じい゙……

「あの時は本家だけじゃなく分家の当主達も青くなってたよ。下手すれば祐善寺家うちにも飛び火してきてたし。ホント伊月さんの拗らせっぷりに救われたよね」

「それな!」

 明るく言ってるけど、普通拗らせるのは良くないんじゃないか?でもそれが拒否に繋がったなら直接的な被害は無かったって事か。……1人を除いて。

「だがなぁ、飯坂兄がフェロモンを纏って近づくって事は、弟に感づかれたか知られた可能性があるって事だ」

「だろうね。前から微かにさせてたけどあからさまだった」

 やっと顔を上げた伊月さんの眉間には皺が寄っている。そんな皺も美しいってどういうこと?

「書類があるから一応直接は来ないけど、人を介してフェロモンを当てるとか……契約内容を見直さないといけないな」

 運命に出会うってバース性関係なく憧れだろうし世間で持て囃されるけど、そういう事ばかりじゃないんだな。

「まあこちらからはそれしか出来ないよな」

「それしかとは?」

「伊月みたいに運命を拒否したαが出来る事は相手と会わない事。見たりフェロモンを嗅ぐと本能が騒ぐからな。海外に行くなど物理的に距離を取るしか出来ない」

「へぇ~」

「Ωが拒否した場合は会わない他に確実なものがある。それは他のαに項を噛まれる事。そうすればΩは噛んだαにしかフェロモンを出せなくなるから運命のαでも嗅ぎ取れなくなる。そうすれば会ってもお互い何も感じなくなる」

「Ω優位なんですね」

「そうだな。αは他のΩと番っても『運命』だけは嗅ぎ取れてしまう。だから嫌ならただただ逃げるしかないんだ。今回飯坂弟は間接的にフェロモンを嗅がせるくらいだから伊月と番うのを諦めてないだろ」

 こう聞くと運命の番って結構面倒で、拒否したいαにとっては厄介な縛りなんだな。

 ちょっとしょんぼりしている伊月さんをよしよしすると「瀬名癒やして~」と言いながらゴリゴリと尻に擦り付けるのは止めなさい。まだ落ち着かないのかと思ったら俺で興奮してた。じゃあ膝の上に乗ってる限り収まらないじゃん!俺も感じてきて勃ち上がりそうなんだけど⁉
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

処理中です...