告白してきたヤツを寝取られたらイケメンαが本気で囲ってきて逃げられない

ネコフク

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チキン南蛮は至高の食べ物です

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「浴室?回数?」

 恥ずかしがりながらも聞こえていたらしく、怪訝な顔を向けられる。

「まさかセナ……」

「ヤッてないぞ!ヤッてない!」

「素股だけだよ」

「伊月さん言わないで!」

 今度は俺が顔を赤くする番だった。

「俺の事は聞いといて自分は隠すつもりだったの?」

「だって恥ずかしいし……」

「俺もだよ!」

 ジト目で見られたけどセックスより素股の方が恥ずかしいだろ!(主観)

「恥ずかしがる顔は可愛いけどあんま他の奴に見せるなよ」

 そう言うと顎をクイッと上げチュッと軽くリップ音をさせ良規さんが神楽にキスをする。ごく自然に。

 顎クイからのバードキス!なんという高度な技を自然に繰り出すんだ!あの3人がこの場にいたら拝み倒していたな。

「良規さん俺様っぽい。口調もいつもと違う」

「良規はこっちの方が素だよ。思った事を口に出すタイプだからね、もう少し腹芸を覚えた方がいいよ」

「腹の中が真っ黒なお前に言われたくないね」

 あら、不穏な空気になっきたわ神楽さん。え?元々仲は良くも悪くもないですって?今までそんな雰囲気を見せなかったなんて2人共演技派なのねぇ。

 にこやかに話している割に目が笑っていない2人に神楽と顔を合わせ嘆息する。どうやら伊月さんも例に漏れず我が強いタイプらしい。ま、そんな気配は所々してたけど。(強引だしな)

 そもそも何をしに来たのか。GPSで位置把握できていたなら父親の研究室にいるって分かっていただろうに。

「ところで伊月さん達は何しに来たんですか?」

「昼のお誘いだよ。どうせ騒ぎになると思って時間をずらして食堂へ行くと思ったんだ」

「ずらしたって騒がれるだろ。そんなトコにお前達だけで行かせられるかよ」

 やだ、良規さん男前!神楽がうっとり見てますよ。

「ちょっと良規をキラキラした目で見ないで僕を見てよ。僕だって心配で誘いに来たんだからね」

 向い側を向いていた顔を頬に手を沿えられて伊月さんの方に向けられる。見ると拗ねて少し口を尖らせた伊月さんがいた。

 何その顔、可愛いかよ。今までの張り付いた笑顔はどこ行った?

「はいはい、早く行こうぜ。俺チキン南蛮が食いてー」

「その前に瀬名は着替えて。そこのロッカーに替え置いてるでしょ」

「へーい」

 俺はコーヒーまみれになった服を着替えるべくロッカーに手をかける。




 チキン南蛮に釣られ食堂に来た俺達。昼休みも終わる頃だけどまったりしていたり次の授業が無い学生が結構いた。伊月さんと良規さんと来る度にざわつきが起き話し声が聞こえるので気にはしていなかったが、今回はちょっと違うようだ。

「ちょっ、組み合わせが違う!」

「あれ薬学部の祐善寺くんだよね?ネックガードしてるんだけどΩ⁉」

「逆に遠野先輩がネックガードしてないんだけど⁉」

「逆?逆なの⁉」

「ちょっと!伊月さんの隣誰⁉」

「あんなΩいたっけ?」

「マジカ……」

「いつものボサボサ弾かれたのか?」

 おーおーお前ら好き勝手言ってんな。最後失礼な事言われた気がするがそういえば俺、この食堂にボサボサヨレヨレでしか来てなかったわ。周りは騒いでるけど良規さんが威嚇してるし誰も寄って来ないだろ。それなのに寄って来たらただのバカだ。

「三波瀬名ぁ……」

 あ、バカがいた。

 食堂のおばちゃんからチキン南蛮定食を受け取り4人がけのテーブルに座りさて食べようとしたら、地を這うような低い声がして見上げると自分の腕を飯坂の腕に絡めて苦々しい顔をした根本が立っていた。

「えっ、瀬名⁉」

 飯坂、メッチャ驚いてるやん。そういえばコイツ俺のボサボサヨレヨレしか見てなかったわ。今の俺は伊月さんに髪をセットされ黒Tにダメージジーンズというヨレヨレではない服装。この状態は初めましてだな。つーか、周りもドヨッてるのは何故だ。

「ウソ……瀬名がこんなに美人なんて……」

「知久!」

「だって……」

 口を押さえて動揺する飯坂にそれを見て睨む根本。言い合いになってるが痴話喧嘩ならよそでやってくれ。伊月さん、不穏な気配を出さないで!ったく、俺は冷めないうちにチキン南蛮を食さなければいけないんだ。

「無視するな!」

 不味そうな痴話喧嘩を横目にパクパクと食べていたらダン!とテーブルを叩かれてしまった。無視もなにも俺名前しか呼ばれてないし痴話喧嘩始めたのそっちだろ。だったら食べててもいいよな?

「食うな!」

 それはムリ。だってチキン南蛮美味しいんだもーん。拒絶を込めて首を振る。

「チッ!相変わらず嫌なヤツ!」

 なんか食い意地がはってるヤツみたいに言われたけどほっとけ。食事中に突撃かましてくる方が悪い。

「ホント嫌なヤツだよ!お前やっぱり伊月先輩を狙ってたんじゃないか!」

 ヤッパリイツキセンパイヲネラッテタジャナイカ?

「瀬名、僕の事狙ってくれてたんだね」

「狙ってませんが?」

 箸がぴたりと止まり伊月さんが頬を染めて熱い眼差しで見てくるけど、そんな事実はございません。それが事実ならもう付き合ってるでしょうが。

「狙ってるのは伊月さんでしょ」

「そうだね」

「……っ!!コイツ伊月先輩を中学の時に振ったんですよ⁉大学入ったら入ったで小汚い格好をしてるしそれのどこが良いんですか⁉」

「全部」

「!!」

「瀬名の性格も顔もこのも好き。全て僕のものにしたいと思っているし、僕の全てを瀬名に捧げたいと思ってる」

 被せる勢いで答えた伊月さんに根本は何も言えなくなり、真っ赤になって震えている。

「それとさ、飯坂くんだよね?君その不快な匂いを付けて僕の側に来ないでくれるかな?」
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