告白してきたヤツを寝取られたらイケメンαが本気で囲ってきて逃げられない

ネコフク

文字の大きさ
上 下
11 / 66

どうやら激しかったようです

しおりを挟む
 俺は伊月さん、神楽は良規さんの車で大学へ行くと、神楽を狙って待っていた学生達が姿を見て固まっている。

 そりゃそうだ、αだと思っていた神楽がネックガードをして登校してるんだもんな。そして隣にはネックガードをしていない良規さんがαの威圧を出しながら神楽に密着して腰を擦ってるんだ、察するよな「神楽がΩで良規さんがα」だって。

 まあショックだろうよ。寄ってきたΩは神楽に番ってもらおうとしてたんだから。抑制剤を飲んでてフェロモンが出て無いから見た目だけで判断したのが運の尽きだったな。

 そんなキミタチ、何その顔。こっちを見て微妙な顔をしないでくれません?いや分かってますよ、伊月さんこのαが原因ですね?いつも柔らかな笑顔をしながら心の距離を保っている人が、俺の腰を抱いてせっせと頭にちゅっちゅっしているからですよね?安心してください、付き合ってませんよ。

 石像と化してる学生を放っておいても構わないと判断し、薬学部の棟まで送ってもらう。駐車場が医学部と薬学部の学生専用の所なのですぐ着くが、それでもかなりの学生に見られており(主に医学部と薬学部の学生だけど)伊月さん達が有名人ということもあって、昼には噂となって広がっていたのは仕方なし。



「祐善寺くんってΩだったの⁉」

「花ノ宮先輩と遠野先輩のデレっぷりが凄いんだけど!」

「三波くんが朝からきちんとしてる!」

 なかなか失礼な発言が聞こえて来たけど教室に入ると神楽と一緒にメッチャ囲まれた。
 バース性は隠してないけど言いもしていなかったが、そもそもここの学部は性差を気にする人が少なく仲良しなのである。

「やだ~私達祐善寺くんと三波くんがデキてると思ってたんだけど~」

「ねー」

「遠野先輩がαなのも驚いたよね」

「ネックガード着けてるからΩだと信じて疑わなかったわぁ」

「なんか祐善寺くん色気が凄いんだけど」

「こりゃあもしかして……」

「もしかしますなぁ」

 こらこら、ニヨニヨしながら神楽を見るんじゃない!今すぐ穴を掘って隠れそうなくらい真っ赤になってるぞ。

「これこれ皆の衆、神楽が恥ずか死ぬから止めなされ」

 唸りながら机に突っ伏してしまった神楽の背中をポンポンと叩きながら俺もニヨニヨする。

「でもめでたいわね。赤飯でも炊く?」

「そうねぇ、祐善寺くんを狙ってたΩの子達の顔を想像しただけで三杯はいけそうよ」

「昼が楽しみねぇ」

 確かに!ここんとこ神楽に突撃してくるΩがウザいくらいいたからなー。石化するか阿鼻叫喚になるか……神楽は見た目αの要素しかないからなぁ。ネックガードしてたらそりゃ驚くだろうよ。

 それにしてもクラスのみんなが神楽がΩだって事をすんなり受け入れているには内心驚いた。だってどう見たって十人中十人が神楽をαと判断するくらい一般的なΩ像から離れているからな。本人はそれがコンプレックスだったし。
 だから神楽にとって見た目を否定されないこの状況は嬉しいだろう。

「それより!三波くん!花ノ宮先輩が!デレを見せてたんだけど!」

「あれは尊すぎるでしょ!」

「ねえ、拝んでいい?拝んでいい?」

「付き合ってるの?」

「付き合ってませんが?」

「「「えっ、あれで!?」」」

 驚かれても付き合ってないし。あれは拒否しても「互いのこと知るんでしょ?」の一言を言われ、それを何度も繰り返したのち諦めの境地に達した結果だ。でもまあ傍から見たらそう捉えられるかもしれない。

「何でよ!」

「花ノ宮先輩ヘンな癖でもあるの⁉いや、あっても付き合うでしょ!」

「癖なんて知らねーよ!ってか人となりとか知らないから!」

「あんな高スペック知らなくても普通付き合うでしょ!」

「付き合ってから知ればいい!」

「ほんとにね」

「「「花ノ宮先輩!?」」」

 ひょっこり話の輪に入ってきた伊月さんにみんな慌てふためく。医学部生なのに何故薬学部棟に来たんだと思っていたら手に俺のリュックを持っていた。

「あ、リュック」

「ごめんね、僕が持ってっちゃった」

 そういえば車を降りる時に伊月さんが自分のと一緒に担いだんだっけ。というか、手ぶらで来たの気づいてなかったよ。

 周りに忘れん坊ーやドジっ子ーなど茶々を入れられながら受け取る。

「ここまで持って来てあげたんだからご褒美に帰ったらチューしてよ」

「&%$#∞$=&%!!」

 耳元で俺だけに聞こえるようにいい声で言われて奇声を上げなかった俺を褒めてくれ。土曜日から伊月さんがぐいぐいきて身と心が持ちそうにないんですけど⁉

「良規、用は済んだから行くよ」

 気づかなかったけど良規さんも来てたのか。ってうつ伏せになってる神楽に覆い被さってるんだけど何してんだよ!今までに見たことないくらい神楽の耳が赤くなって震えてるんだけど⁉

「わー!大丈夫か⁉傷は深いぞ!」

「もー祐善寺くんったらウブなんだから」

「遠野✕祐善寺……イイ……」

「薄い本が厚くなりそう」

 コラ、薄い本作るなよ⁉




 なんとか2限目が終わり、3、4限目が無く5限目までの時間、クラスメイトに絡まれるのを避ける為に父親の研究室に避難する。

 神楽は授業中になんとか落ち着いたけど、まだ少し動揺してるようだ。

 父親は出張で居ないが勝手に部屋で寛ぐ。昔からしょっちゅう来ているので、前室にいる学生や助手には何も言われない。

「神楽腰大丈夫か?」

「んーまだちょっと」

 いつもなら2人でコーヒーを淹れるんだけど神楽が辛そうなので1人で用意し持って行く。

「そんなに激しかったん?」

「ぶっ!!」

「わっ!」

 みんな、コーヒーを飲んだ瞬間変な事を聞いちゃいけないぞ。これはお兄さんとの約束だ。じゃないと大惨事になるからな!

「ごふっ、セナ、ごめ……カハッ……」

 思いがけずコーヒーも滴るイイ男になってしまった。出したコーヒーがブラックだったのが救いか。変な事を聞いてすまぬ。

 コーヒーやお菓子と一緒に出していたおしぼりで顔を拭き、後は適当にさっさっと撫で拭く。着替えたら?と言われたが、面倒なのでこのままで。

「変な事を聞いて悪かった」

「……いや、いいよ」

 テーブルやソファーを拭き終わった神楽がバツが悪そうにしている。もう聞いてくれるなって思ってるんだろう。

 だが!俺は聞いちゃうぜ!なんてったってオトシゴロノオトコノコだからな!

「で、激しかったん?」

「セナがセクハラするぅ」

 手で顔を覆い上を向く神楽は首まで真っ赤だ。

「だってさぁ、Ωの男で仲良いのって神楽しかいないんだもん。ほらΩっていっても男と女じゃ違うし、普通にヤッたんだから覚えてるだろ?」

「や……まあ……うん……」

「スポーツやってて体力がある神楽が腰を痛めるくらいなんだから気になる。それはもう詳しく知りたい」

「その心は」

「セックスの激しさを知りたい」

「露骨すぎる!」

 だってさー、知りたいじゃん?お尻の穴って慎ましいのよ?ヒートの時だってディルド挿れた事ないし、本当にあんなデカいのが入るのか、どれだけすればそんなに腰を痛めるのか、とか。一番気になるのは神楽に疲れが残っているのに、なんで良規さんはあんなに艶々してるのかだ。フツー動けば疲れるモンだろ?

「うう……」

「諦めてお兄さんに話しなさい」

「俺の方が早く産まれてるけどね」

 往生際が悪いな。さあ、話して楽におなり!

「おや瀬名は他人の情事に興味があるの?それとも僕とヤる参考にする気?」

「あひょっ!」

 入り口に設置されているパーテーションの脇から顔を出した伊月さんに驚いて変な声が出てしまった。何で俺達が此処にいるのが分かったんだ?え?勝手にスマホにGPSを仕込んだ?それ犯罪デスヨ。

「おいおい、俺と神楽のセックスは2人だけの秘め事だぞ」

 伊月さんが来たとうい事は良規さんも来たという事で。神楽の隣に足を組みながらドッカリと座り尊大な態度で言い放つ。何度も言うが良規さんはこれがデフォです。

「まあ、神楽のナカをぐちゃぐちゃに掻き回して朝まであえがしたとだけ言っておこう」

「凝縮して的確に言ってるし!」

 ニヤリと笑う良規さんに神楽の悲痛な叫びは届いて無い。また顔を隠し小さくなる神楽に良規さんがいやつと自分の頭をぐりぐりと肩に擦りつけている。

 神楽よ、良規さんに羞恥心というものは無いようだ。

「αはΩの発情期ヒートに付き合えるくらい体力があるからね」

 そうか、だから良規さんは元気なんだな。凄いなαの持久力。

「そういうわけだから浴室でやる回数増やしていこうか」

 やべ、藪蛇だったようだ。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

中華マフィア若頭の寵愛が重すぎて頭を抱えています

橋本しら子
BL
あの時、あの場所に近づかなければ、変わらない日常の中にいることができたのかもしれない。居酒屋でアルバイトをしながら学費を稼ぐ苦学生の桃瀬朱兎(ももせあやと)は、バイト終わりに自宅近くの裏路地で怪我をしていた一人の男を助けた。その男こそ、朱龍会日本支部を取り仕切っている中華マフィアの若頭【鼬瓏(ゆうろん)】その人。彼に関わったことから事件に巻き込まれてしまい、気づけば闇オークションで人身売買に掛けられていた。偶然居合わせた鼬瓏に買われたことにより普通の日常から一変、非日常へ身を置くことになってしまったが…… 想像していたような酷い扱いなどなく、ただ鼬瓏に甘やかされながら何時も通りの生活を送っていた。 ※付きのお話は18指定になります。ご注意ください。 更新は不定期です。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

イケメンがご乱心すぎてついていけません!

アキトワ(まなせ)
BL
「ねぇ、オレの事は悠って呼んで」  俺にだけ許された呼び名 「見つけたよ。お前がオレのΩだ」 普通にβとして過ごしてきた俺に告げられた言葉。 友達だと思って接してきたアイツに…性的な目で見られる戸惑い。 ■オメガバースの世界観を元にしたそんな二人の話  ゆるめ設定です。 ………………………………………………………………… イラスト:聖也様(@Wg3QO7dHrjLFH)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

α様に囲われて独立が出来ません!

翠 月華
BL
 男女という性別に加え第二の性別アルファ、ベータ、オメガというモノがある世界。  そんな世界には愚かな過去がある。一昔前、オメガは疎まれ蔑まられていた。そんなオメガ達だがある日を境に数が減少した。その哀しき理由に気づかず、オメガを酷似した結果オメガは宇宙の人口の一割以下まで減った。そして、人々は焦りオメガを保護という名で囲っていった。  そんな世の中に一人の平凡で平穏な暮らしを望むベータ、那央がいた。  しかし、那央はベータではなく、オメガだった。  那央の運命はいかに…

処理中です...