告白してきたヤツを寝取られたらイケメンαが本気で囲ってきて逃げられない

ネコフク

文字の大きさ
上 下
6 / 66

伊月さんの経歴もエグかったけど母親の実家も相当でした

しおりを挟む
「邪魔が入ったけどこれからの話をしよう」

 ダイニングテーブルに向かい合わせに座り、ファイルを手元に置いた伊月さんが不満気に話し始める。不満そうなのは大事な話なのに隣に座って太ももを擦りながら話そうとしたので向かいに座らせたから。大事な話なのに不埒な手が気になって頭に入って来ないに決まってる。




 話の結果だけ言えば俺はどうやら逃げられないらしい。

「まずはファイルを見てほしい」

 そう言われファイルを開くと、花ノ宮家の歴史から家族構成、伊月さんの経歴がつらつらとまとめてあった。

 さすが花ノ宮家、個人の経歴に家の歴史まで載せるとはハイソサエティ!と関心してしまったが、経歴の後のページがヤバかった。なんと、伊月さんの個人資産が何枚にも渡り記載されていたのだ!

 株、不動産から飲食店やアパレル関係など多岐に渡り経営、花ノ宮家が行っている事業の取締役や理事etc.etc……

 これ、どこぞのおっさんの経歴が差し込まれてない?と聞きたくなるような肩書きばかり。22の男の経歴じゃねぇし。俺の常識の範囲を軽く飛び越えていたので遠い目になったのは仕方ないと思う。俺は一般市民なのだ。

 しかも事細かく記載されていて、このマンションはΩに優しいラグジュアリーで富裕層向けのマンションとなっているが、やはり俺の為に建てたらしい。
 19階までは低~中層階と呼ばれ、一般人でも頑張れば手が届くような価格設定になっており、高層階の20~28階は富裕層向けの広さや内装が格段に変わり、29階に至っては4邸のみでここ以外伊月さんの友人に貸しているとのこと。
 さらに最上階の30階はペントハウスになっていて、専用のエレベーターじゃないと行けないらしい。そこは俺と番ったら住む予定……って書類に書いてあるんだけど⁉どゆこと⁉

「あ……あの……これは……?」

 震える手でファイルを閉じると、結構な厚みがあることに気づく。そりゃあんだけ細かく書かれてたら厚みだって出るハズだ。

「そのファイルは僕の履歴書だよ。瀬名は僕の事知らないよね?見返せるし言うよりいいかな、と思って。大丈夫、瀬名の事は色々調べて知ってるから」

 やべぇ。今さらりとヤバい事言ったよこの人。俺の事色々調べたって言ったよな?多分父親経由で色々聞いてそうだ。父親あの人嬉々としてあんな事こんな事言ってそうだな。

「で、どうかな?僕かなり優良物件だと思うけど?」

 テーブルに肘を付き顎を乗せ探るように見つめてくる伊月さんは、見た目だけでも超優良物件だ。経歴だって凄い。

 ―――――ただ凄すぎるのだ。

 α家系とはいえ代々町医者のうちは良く言って中の上だ。旧華族の花ノ宮家のような上の上、雲の上の存在に相応しくないだろう。
 神楽や良規さんのように家格が同等なら問題は無いが、家格の違いというものは何かと軋轢あつれきを生むのだ。

 それに名家になればなるほど優秀なαや名家のΩと婚姻を結ぶのを知ってる。だから一般家庭のうちではいくら伊月さんが願っても反対しか出ないのは必然だ。

 ぐるぐるもごもごしていると、一枚の紙をすっと目の前に置かれる。そこには母親の写真と文字が書かれている。

「それは君の母親である美夜みやさんの調査書だ」

 何故急に母親の調査書を見せられるんだ?ただの一般人なのに。やっぱり花ノ宮家としては両親も調べるという事か。

「三波美夜、旧姓鷹司たかつかさ美夜。Ωの名家である鷹司家の末っ子で宇佐先生と結婚を反対され縁を切られている」

「鷹司……」

 あるぇ?鷹司って俺が小さい頃からよく行ってた駄菓子屋のじいちゃんがそんな名字だった気が……

「彼女は元々婚約者がいてね、宇佐先生との馴れ初めは割愛するけど反対を押し切って番い、結婚してしまったんだよ。それを知った婚約者の家が怒ってね、三波家、鷹司家双方が相手側に賠償金を払って鷹司家は縁を切ったわけだ。ただ、あそこは末っ子を溺愛していたからね、まあ立場上の縁切りはしたけど見守ってるって感じかな」

「じゃあ、あの駄菓子屋は……」

「ああ、瀬名の家の近くにある駄菓子屋?あれは鷹司氏が瀬名と関わる為に出した店だね。よく親に連れて行かれただろ?」

 確かに駄菓子屋には父親や母親とよく行っていた。コンビニやスーパーでもお菓子は買えるのに連れて行かれ、駄菓子屋なのに妙に品揃えが良かった記憶がある。というか今気づいたが、俺の好きなお菓子は全て揃っていた。もしかして俺が好きだから置いていたのか……それにあそこのじいちゃんは俺が幼い頃からじいちゃんだった。ということは年齢からいってひいじいちゃんなんだろうな。

「母さんからは両親や親戚はいないって聞いてたのに……事実がエグい」

 両手で顔を覆う。もう今日の情報過多から目を逸らしたい。俺は研究職の父親と専業主婦の母親を持つただの学生だ。子供の頃から母親の実家に見守られ中学から名家の伊月さんに目を付けられてたなんて事実を素直に受け止められない。もし今混乱しているのにぐいぐい来られたら借用書でも婚姻届でも訳が分からないうちにサインしてしまいそうだ。

「これは僕が瀬名と婚約したいと話した時にはもう知ってた話だからね。一応鷹司家にも話は通しているし花ノ宮うちとしては何の問題も無いんだよ」

 ナルホド?縁を切られているとはいえ鷹司の血を引いているのには変わりないから花ノ宮家としては問題無いと?
外堀ガッツリ埋められてますやん!後は俺の返事待ち状態になってない⁉

「と……とりあえず家の事は置いておいて……俺好きな人が出来た事がなくてですね…」

「中学の時、付き合ってる人いたよね?」

 伊月さんの声が少し低くなって空気がピリついたのが分かる。

「いましたね。いたけど告白されて何となく付き合った的な?」

「そう、良かった。もし瀬名が相手を好きだった事があるなら消すところだったよ。ああ、だから彼に寝取られても平気そうだったんだね」

 怖ぇぇ!!この人時たま黒い事言うよな!そしてよく俺の事見てるな!しっかし見られてたのに7年気づかなかった俺って相当鈍いのか?

「マアソウデスネ」

 うん、伊月さんに見られていたのも俺が気づかなかったのもこの際無視だ無視。

「そこも置いといてですね、ファイルに一つ、気になる文章があったんですけど……」

「ん?どれだい?」

 身を乗り出した伊月さんに開いたファイルの気になる箇所を見せる。そこに書いてあるのは


 高校の時に『運命の番』と遭遇、運命の名前は『飯坂理久』


 伊月さん『運命』に会ってるじゃないか。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

処理中です...