告白してきたヤツを寝取られたらイケメンαが本気で囲ってきて逃げられない

ネコフク

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独占欲が爆発したようです

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 囲う宣言した伊月さんは柔和な笑みを浮かべているが、瞳孔が開いていて怖い。無意識に距離を取ろうと横にずれるが、開いた分だけじりじりと詰めてくる。

「あ……あの伊月さん?」

(怖い怖い怖い怖い!)

 無言でにじり寄って来るイケメンって怖い!いつもの柔らかな雰囲気が微塵も無いし、笑顔なのに笑ってない感じが余計に恐ろしい。

「はい、伊月様そこまでです」

 にゅっと俺と伊月さんの顔の形間に大藤さんによって銀のお盆が差し込まれた。ホッと息を吐くと、お盆の向こう側からチッと音が聞こえた。

「三波様を怖がらせてはいけません。囲うなら優しく真綿を締めるように、ですよ」

「……そうだな」

 いや、大藤さん何言っちゃってんの⁉そういうのは俺がいないトコで言うもんじゃない⁉俺の中でデキる執事から危険な執事になったんだけど⁉

 大藤さんの言葉に慄いていると玄関のチャイムが鳴り、お盆を引いた大藤さんが玄関へ向かっていく。伊月さんも体勢を元に戻りいつもの顔つきになっている。

 ビクビクとしていると、玄関の方からパタパタとスリッパの音がちかづいて来る。

「セナ!」

 リビングに勢いよく入って来たのは先ほど良規さんにドナドナされていった神楽だ。両腕を広げ心配そうな顔をしてソファーの背もたれの方から俺をぎゅうぎゅうと抱きしめる。だからお前の胸筋は凶器だといつも言ってるじゃないか!

「セナ大丈夫⁉伊月さんに圧かけられて迫られてない⁉」

 さすが従兄弟、分かってる。でも今はお前の胸筋で圧死しそうだけどな。

「神楽やめろ、三波がお前の胸の中で幸せ死にそうだ」

「あっ、ごめん!わー!セナ大丈夫!?」

 良規さんの言葉に慌てて腕を解かれ一気に肺に空気が入ってくる。あー、危うく天に召されるトコだったわ。ん~空気がウマい。ちなみに俺は神楽の胸では幸せではなく暑苦しく死ぬだけだからな。

 神楽の腕の中でぐったりしていると、伊月さんが俺の体を神楽から取り上げ膝の上に乗せる。
 これ人前では恥ずかしい態勢ではなかろうか。

「馬鹿力め。何しに来たんだ」

 ちょっと声が低くなった伊月さんに神楽が怯む。

「仕方ないだろ。神楽は心配性なんだ、ずっと三波の事を心配して俺の話を聞かないんだよ。だから仕方なく連れて来たんだ。誰が好き好んでお前のテリトリーに来るか」

 相変わらず良規さんは腕を組み仁王立ちしている。この人はこれがデフォです。

「だって今回だとは思ってなかったけど、俺はそういう話があったから察したよ?でもここに来る前に「部屋寮より広いかな~」って呑気に言ってたセナには意図的に説明してないでしょ。それで急にαと一緒に生活って。親友だもん、心配するよ」

 トゥクン……さすがマイスイートハート親友!もし俺がαなら惚れてるぜ!

「神楽っ!」

「セナっ!」

 感激し両腕を広げ抱きつこうとしたのに互いのαに阻止される。俺は伊月さんに腰を抑えられ、神楽は良規さんに腕を掴まれ一歩も動けなかった。

「他の男に抱きつこうとしたら駄目だよ」

「いや、神楽だし」

「さすがに俺もΩとはいえ許容はできないな」

「良規さん?」

神楽これは俺のΩだ。今までは互いに立場があったから許していたが、これからは遠慮なく独占させてもらう」

 神楽より10cm低い良規さんが腕を掴んでいない方の手を首筋に這わせ、さらに項に口付けるように寄せこちらを見る目は独占欲丸出しである。されるがままの本人は瞳を潤ませ真っ赤になって震えている。これは恥ずか死ぬ寸前か?

「……何その顔。なんで他の男にそんな顔見せちゃってんの?行くよ、部屋に戻ってお仕置きだ」

「良規さん⁉……セナっ!」

 引きずるように連れて行かれ振り返った神楽に、健闘を祈る意味を込めてサムズアップしたら絶望の顔をされたのは何故だ。

「抑え込んでいた独占欲が爆発したねぇ」

 嵐が去ったように静かになったリビングに伊月さんの暢気な声がやけに響いた。
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