告白してきたヤツを寝取られたらイケメンαが本気で囲ってきて逃げられない

ネコフク

文字の大きさ
上 下
4 / 66

頭がぱーーーんとなりました

しおりを挟む
 俺が神楽を心配しているのは既に被験が終わり枷が無くなった事。本人が望んでいるのならいいのだが、意に沿わない行為は神楽を傷つけるだけだ。あいつは繊細なんだ。

「良規だって神楽と付き合いが長いんだ、瀬名の心配するような事は無いよ」

 分かってる。良規さんが神楽をどれだけ大事にしているかは。でもおくびにも出さないがあいつはコンプレックスを抱えているんだ。

 それでも難しい顔をしている俺の頭を優しく撫で……爆弾発言をする。

「それに僕と良規は偽カップルだから」

「え゙」

「瀬名と神楽もそうでしょ?」

 あれ、バレてた⁉いや周りに勘違いされるような事はしてたけど、俺達は付き合ってないから。
 いやいやいや、偽装?だって優秀な伊月さんが良規さんだけをずっと隣に置いて誰も近寄らせなかったら本物のカップルだと思うじゃないか!

「そうそう、ネックガードしてるけど良規はαだから」

「知らなかった!余計に神楽の傍にいさせられないじゃないか!」

「あぁ、神楽はΩだもんね」

「ネックガード!神楽にネックガード付けに行かないとっ!!」

「瀬名落ち着いて」

「落ち着いていられるかぁ!間違って番ったらどうすんだよ!」

 慌てて立ち上がろうとする俺の腰をがっつり抑えられて立ち上がることが出来ない。さすがα、力が強い。

「番っても平気でしょ。だって2人は『運命の番』だもん」

「え゙え゙ぇぇぇぇぇ!!」

 ヤバい、情報と爆弾発言が渋滞を起こしていて脳が処理出来ないんだけど⁉良規さんがα?神楽がΩなのを知ってる?運命の番?

「な……んでそんなに知って……」

「神楽から聞いてない?僕と神楽、従兄弟同士だけど?」

 パーーーーーーーン!!

 俺の脳が情報過多で真っ白になりぱたりとソファーに倒れ込む。あぁなんて広くてふっかふかなんだ。このまま寝ちゃおうかな……

「ふふっ……ふ……ふふ……」

「おーい瀬名、戻っておいで」

 伊月さんが背中を擦って現実逃避した意識を呼び戻してくる。お願いだからもう少し逃避させて。

「こら、戻って来ないとキスするぞ」

「瀬名、恥ずかしながら現実に戻って参りました!!」

 上半身を起こしビシッと敬礼のポーズをすると苦笑いされてしまう。

「本当瀬名は中学から変わらないね」

 おん?それは褒められてる?

「僕は中学高校と生徒会長で名家の嫡男だしこの容姿だからね、色んな目を向けられたり人がすり寄ってくるんだよ。それなのに瀬名の初めての言葉が「父の研究にご協力ありがとうございます!」だもんね。しかもそれだけ言って手を振って行っちゃうし。この子も他と一緒で媚を売るのかって思ったら裏切られて笑っちゃったよ。あぁ、一目惚れして寄付や被験者になったのは間違いじゃなかったって思ったね」

 そういえばそんな事があったな。
 あれは俺と神楽が被験者になった後、αのデータが少ないって嘆いていた父親が「莫大な寄付とαの被験者が一気に増えた」とホクホクしていて、そのうちの1人が伊月さんだった。
 で、たまたま研究所に来ていた伊月さんに走って行って敬礼してお礼を言ったんだ。だって父親がαの被験者集めを苦労してたのを見てたから嬉しくてさ。でもその時俺は同じ学校だとは知らなくてその後生徒総会で生徒会長なのを知ったんだよな。

「一目惚れ……一目惚れって俺と伊月さんの初対面って研究所だった気がするんですけど?」

 そう、俺の記憶が間違ってなければ伊月さんと初めて会ったのは挨拶をしたその時なのだ。

「さっき神楽とは従兄弟同士って言ったよね?たまたま祐善寺家に遊びに行った時に宇佐先生の被験者になった事を話ていて「同い年の綺麗な子がいた」って写メを見せてもらったんだよ」

 あ~、確かに写メを撮った気がする。あの頃の神楽はまだ体が出来上がってなかったし可愛らしい顔をしてたっけ。

「これは早くお近づきにならないとと思って紹介してもらおうと思ったら、被験者はハタチまで性交渉は禁止されているって聞いてね。それまで待たなければいけないなら僕も宇佐先生の研究に協力しようと神楽の運命である良規を誘って被験者になったんだよ」

 なるほど。そういう経緯で被験者になったのか。ただ、俺とヤる前提で被験者になったって聞こえたんだけどそこはスルーするとこか?

「それに知らないだろうけど、僕と君の婚約話も出てたんだよ」

「え、知らない」

「だろうね。これは僕のミスで無くなった話だから」

 苦笑する伊月さんのティーカップに大藤さんが紅茶を注ぐ。それまで気配を消して側にいるとは優秀な人なんだろう。それを口に運び一口飲むと深い息を吐く。俺はただそれを見つめ話すのを待つ。

「僕が他に取られる前に君を手に入れたかったから親に話して婚約を進めようとしたんだけどね、問題が起こってしまった」

「問題?」

「そう、問題。ある日僕は学校の廊下で告白されたんだ。まあそれまでもよくされていたし「またか」という思いしかなかったんだけど、周りにαがいたし牽制の意味も兼ねて「三波瀬名が好きだから付き合えない」って言ってしまったんだ。僕がそう宣言すれば周りのαは瀬名に手を出せなくなる。それは成功したんだけどね。問題は告白した生徒。他の人の名前を出して断られたのが屈辱だったんだろうね、真っ赤になって震えていたよ。それからだよね、彼が瀬名の彼氏や寄って行ったαを寝取るようになったのは」

 それって根本の事だよな?伊月さんがそうやって根本の告白を断ったのは聞いてたけど、俺の名前を出したのはそんな理由があったのか。

「そんな状態で瀬名と婚約したら僕にヒートテロを仕掛ける可能性があるからと2人の身の安全の為に距離を保つ事を約束させられ婚約話も流れてしまったんだ。まあ良規には怒られたよね、「好きなΩに迷惑かけるなんて!」って」

 まあ元華族である花ノ宮家は気に食わないから寝取るような人間は身内に入れたくないわな。
 それに伊月さんが俺に対して先輩後輩の距離を保っていて、さらに大学では苦手な良規さんが傍にいたから振られた根本は必要以上に伊月さんに寄らなかったんだろう。

「それなのに大学で変なαに目を付けられて……」

 くうっと眉間を押さえながら俯く姿も様になるなぁとつい考えるのは、伊月さんが何をしても絵になるからだろうか。

「ホント付き合ってないし。それに被験期間中は誰とも付き合うつもりはないし」

 マジで何で飯坂あんなのに目を付けられたんだろ。あの時そんなにフェロモンが漏れてたのかな?

「だからあと2ヶ月だけど瀬名、君を囲う事にした」

「え゙」

「神楽もハタチになって被験は終わったから良規と番うだろうし、そうなったらもう僕と良規が一緒にいる意味ないからね」

 まあそうなんだろう。俺は知らなかったけど2人が運命なら番うのは自然な流れだろうし。でもなぁ……

「でも神楽は……神楽の気持ちはどうなんですか?あいつ自分の体にコンプレックス持ってますよ」

 そうなのだ。神楽はαに間違えられるほど精悍な顔つきに身長が高く、しっかりとした筋肉を持っていてΩらしくないと卑下しているのだ。

「良規も見た目がαらしくないαだからね、神楽の気持ちを分かってあげられるし。長い付き合いだし任せておけば大丈夫だよ」

 それを聞いてホッとする。

「安心した?これで心置きなく僕に囲われくれるよね?」

 あっ、安心できない事がここにあった!
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

処理中です...