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αは勝手に話を進める生き物です
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花ノ宮伊月―――――
彼は俺と根本の2個上の先輩で、中高共に生徒会長をしていた人物だ。通っていた学校は大学まであったが医学部が無く、ここに入ったらしい。ちょうど俺の代で大学に医学部と薬学部が出来たが、俺は父親が教授をしていて治験者だったのでここに入った経緯がある。
伊月さんは185cmある身長はαらしくしなやかな筋肉がついていて、サラサラな金茶の髪の艷やかな容姿は"王子"と称され性別、バース性関係無く大モテで、人だかりを探せば大体中心にいる。
そして根本を中学生の時に俺を理由に振った張本人である。
「ちょっとそこ退いてくんない?そこにいたらみんなの邪魔だって分かんないの?」
不機嫌そうに話すのは伊月さんの隣で腕を組み仁王立ちしている遠野良規さん。俺より少し低いネックガードをしているキツめの美人だ。
「………!!」
ビクリと根本が肩を震わせ飯坂の後ろに隠れる。ヤツはキツい性格の良規さんを苦手としているらしい。
「まあまあ良規、それじゃあ君も目立ってしまうよ。ほら君たちもここにいないで食堂に入ったら?」
あくまでもにこやかに言って俺達の横をすり抜けるが良規さんが振り返り、
「そこの根本、Ωらしいって何だよ。αだって華奢なのもいたらガタイの良い奴もいるんだ。見た目なんてバース性関係無いんだよ。世間の勝手なイメージを吐き散らかすんじゃねぇ!行くぞ三波、神楽!」
機嫌悪く促され、ここは従っていた方がいいと判断し神楽と一緒について行く。ちらりと見渡すと、良規さんの発言に気まずそうな学生がチラホラ……さっき笑ってた奴らだろう。有名人2人に悪い印象を持たれたくないんだろうな。なんせ家柄が良いスパダリツートップだし。
食券を買い品物を受け取り4人掛けのテーブルに座る。テーブルの上にはチキン南蛮定食が4つ。大学内にある3つある食堂にはそこでしか食べられない定食があり、チキン南蛮定食はここの食堂でしか出されていない。なのでその定食を目当てに月に数回ここを利用するが、それ以外は医学部と薬学部、父親の被験者のみが使える食堂を使っている。そちらはαとΩの学生が多いので徹底管理されているから使いやすいのだが、いかんせんここのチキン南蛮定食が美味すぎて定期的に食べたくなり、少しリスクをおかしてでも食べに来たくなるのだ。
「あのクソガキまだ三波にからんでんの⁉」
良規さんがチキン南蛮を噛みちぎりながら怒っている。この人美人なのに相変わらず食べ方がワイルドだな。しかも頬をパンパンにして食べてリスみたいだ。
「ウザいですけど寄って来るαを寝取るので父さんが助かるって言ってました」
一口チキン南蛮を齧るとじゅわっと鶏肉の旨味が口の中に広がる。上にかかっているタルタルソースと相性が抜群に良く、ご飯が進む。はっきり言ってヘタな中華料理店より美味い。
「あ~宇佐先生言いそう」
2年前まで良規さんも父親の被験者だったので性格を熟知していて納得した顔で頷いている。
「中学からあんな感じだよね彼。ビッチって自己紹介かな?」
綺麗な所作でチキン南蛮を食べながら話す伊月さんは微笑みながらも目の奥が笑っていない。
いやー、原因は俺を理由に根本をあなたが振ったからですよ、という言葉は言わずに飲み込む。これを言ってしまうと良規さんの機嫌がさらに悪くなりそうなので。
「で、神楽はどうなの?」
片眉を上げ黙々と食べる神楽に良規さんが問う。会うたびにこの質問を神楽に投げかける。態度にはあまり出さないが、良規さんなりに気にかけているらしい。
「Ωとβばかりすり寄って来て正直疲れます」
「神楽イケメンだから仕方ないよ。薬学棟出ると待ち伏せされてる事あるよな」
「ふうん」
次男とはいえ有名企業のお坊ちゃんなのでお近づきになりたいβや、番ってもらおうとするΩが寄って来る。αが来ないのは自分より神楽の方がスペックが高く、αとしてのプライドが邪魔をして話しかけられないのと医学部と薬学部が他の学部棟から離れているからだろう。
「あまり酷いようなら俺に言いなよ、ガツンと言ってやるから」
「いえ、良規さんに迷惑かけれません」
「良規の好きなようにさせてあげてほしいな。神楽も知ってるでしょ、そういう質なんだから諦めて」
「そうそうお兄さんに任せなさい!」
「……じゃあその時はお願いします」
困った顔の神楽に満面の笑みの良規さん。めっちゃいい笑顔だ。
しかしふふっ、と笑う伊月さんに嫌な予感がする。
「良規が神楽を守るなら僕は瀬名を守るよ」
「えっ?」
「だっ、ダメです!セナは俺が守るんです!」
慌てて俺をぎゅーぎゅーに抱きしめる力が強くて苦しいんだけど!神楽、お前の胸筋は今凶器になってるぞ!
でも俺も伊月さんに守られるのは勘弁願いたい。だって普段ボサボサヨレヨレなんだぜ?隣に眩しいキラキラ王子様がいたら目立ってしょうがない。何?格好をきちんとすればいい?だよねー、ってなるかい!この格好だから余計なαが寄って来ないんだよ!断じて面倒だからではない!……よ?(汗)
「良規さんも何か言ってくださいよ!」
「えー」
口を尖らせて不満を露わにするが、神楽が俺の項に頭を寄せぐりぐりするのを見てため息を吐く。
「伊月程々にな」
「「そうじゃない!!」」
違う、違うよぉぉぉ!俺に近づくと寝取ろうとしてくるヤツがいるんだよぉぉぉ!
「良規さん分かってますか⁉俺に近づくと伊月さんが根本に狙われますよ!しかも中学の時に振られてるから躍起になって露骨に寄って行くと思います。いいんですか⁉」
良規さんは伊月さんが唯一傍に置く人だ。αにとってその行為は特別であり、他人が口を出せるものではない。良規さんだってそうだ。
なのに2人別々に違う相手の傍にって。
「それにさっき神楽にまで色目を使ってたんですよ。だから……ひぃっ!!」
やべ、これ言っちゃいけない事だったようだ。良規さんの顔が険しくなり、負のオーラが見える気がする。
「あんのクソガキ一度キュッとしておくか」
良規さんが悪い顔してエアで喉仏をキュッとする仕草をするのを見て神楽と抱き合いながら震えてしまう。怖すぎるから美人がそんな仕草をしてはいけません!
「うーん……だったら余計に2人をほっとけないよね。そうだ、2人共僕のマンションから通いなよ」
「「え゙!?」」
「あっ、それいいかも」
「いや俺達被験者専用の寮にいてセキュリティも万全だし……」
「そもそも神楽は被験期間が終わって寮を出ないといけないよね?それに瀬名もあと2ヶ月後には被験期間終わるじゃない?うちのマンションはセキュリティやΩのサポートが万全だしいいよね?大丈夫、宇佐先生には話を通すから」
あ、これα特有の「決定事項だから」だ。確かに被験者専用の寮は被験期間が終われば出て行かなければいけない。しかしそれは年度末までにすればいいのであってすぐ出なければいけない訳ではない。それに俺は実家に帰るつもりでいた。だって俺、生活能力皆無だもん。
「俺料理も洗濯も出来ませんよ」
「知ってるけど」
「部屋だって汚す方が得意ですよ」
「大丈夫、お手伝いさんがいるから」
「ちょっと待って!部屋にお手伝いさんが付属でいるの⁉」
「普通いるでしょ」
「いるね」
「うん」
こてりと不思議そうに首を傾げる伊月さん達。え、そういうもんなの?一般家庭のうちは母親が全てやってるんですけど?
「そういや俺以外いいトコのお坊ちゃん達だったわ……」
俺と3人の常識が違ったわと脱力してしまう。共通の常識って少なそうだな。
「よし善は急げだ、宇佐先生に話に行くぞ!」
「宇佐先生たのもー!!」
研究室にある父親の部屋のドアを破壊する勢いでバーンと良規さんが開ける。ホントこの人は見た目と行動のギャップがエグい。
「やあ良規くんどうしたの?」
愛妻弁当を食べていたらしい父親が俺達を見て驚きもせず呑気に食べ続けている。
「三波瀬名を伊月にやってくれ」
「いいよ」
「え゙」
待て待て、「お菓子ちょうだい」「いいよ」ってくらいあっさり会話を終わらせるんじゃない!父さんも弁当を食べ続けてんじゃねぇ!
「あー、でも瀬名はまだデータ取ってるんだよねぇ。あと1回データ取るまでは我慢してほしいなぁ」
おい我慢って何だよ!って察するけどな!
「7年待ったんです、あと2ヶ月待つくらい難ないですよ」
「じゃあ大丈夫か。伊月くん瀬名を宜しくね」
「お任せください」
ちょいちょい、俺を置いてけぼりで話を進めるんじゃない!
「待てよ、みんな勝手に話を進めるな!父さんも軽すぎ!息子の身を簡単に渡してんじゃねぇ!」
「瀬名」
「なんだよ」
困った子だねぇと言わんばかりの表情の父親に手招きされ、顔を寄せる。
「あのね、実は花ノ宮家と遠野家からたくさん研究費貰ってるんだよ。だから僕に拒否権ないんだよねー。という事でガンバ☆」
父親に売 ら れ た !
「大丈夫、伊月くんと良規くんまだ童貞処女だから」
だから安心してと下手くそなウインクをするんじゃない!そりゃ22にもなってαの童貞は珍しいけど安心する要素ではないからな!つーか余計な情報を寄こしやがってどんな顔して2人を見ればいいんだよ!
彼は俺と根本の2個上の先輩で、中高共に生徒会長をしていた人物だ。通っていた学校は大学まであったが医学部が無く、ここに入ったらしい。ちょうど俺の代で大学に医学部と薬学部が出来たが、俺は父親が教授をしていて治験者だったのでここに入った経緯がある。
伊月さんは185cmある身長はαらしくしなやかな筋肉がついていて、サラサラな金茶の髪の艷やかな容姿は"王子"と称され性別、バース性関係無く大モテで、人だかりを探せば大体中心にいる。
そして根本を中学生の時に俺を理由に振った張本人である。
「ちょっとそこ退いてくんない?そこにいたらみんなの邪魔だって分かんないの?」
不機嫌そうに話すのは伊月さんの隣で腕を組み仁王立ちしている遠野良規さん。俺より少し低いネックガードをしているキツめの美人だ。
「………!!」
ビクリと根本が肩を震わせ飯坂の後ろに隠れる。ヤツはキツい性格の良規さんを苦手としているらしい。
「まあまあ良規、それじゃあ君も目立ってしまうよ。ほら君たちもここにいないで食堂に入ったら?」
あくまでもにこやかに言って俺達の横をすり抜けるが良規さんが振り返り、
「そこの根本、Ωらしいって何だよ。αだって華奢なのもいたらガタイの良い奴もいるんだ。見た目なんてバース性関係無いんだよ。世間の勝手なイメージを吐き散らかすんじゃねぇ!行くぞ三波、神楽!」
機嫌悪く促され、ここは従っていた方がいいと判断し神楽と一緒について行く。ちらりと見渡すと、良規さんの発言に気まずそうな学生がチラホラ……さっき笑ってた奴らだろう。有名人2人に悪い印象を持たれたくないんだろうな。なんせ家柄が良いスパダリツートップだし。
食券を買い品物を受け取り4人掛けのテーブルに座る。テーブルの上にはチキン南蛮定食が4つ。大学内にある3つある食堂にはそこでしか食べられない定食があり、チキン南蛮定食はここの食堂でしか出されていない。なのでその定食を目当てに月に数回ここを利用するが、それ以外は医学部と薬学部、父親の被験者のみが使える食堂を使っている。そちらはαとΩの学生が多いので徹底管理されているから使いやすいのだが、いかんせんここのチキン南蛮定食が美味すぎて定期的に食べたくなり、少しリスクをおかしてでも食べに来たくなるのだ。
「あのクソガキまだ三波にからんでんの⁉」
良規さんがチキン南蛮を噛みちぎりながら怒っている。この人美人なのに相変わらず食べ方がワイルドだな。しかも頬をパンパンにして食べてリスみたいだ。
「ウザいですけど寄って来るαを寝取るので父さんが助かるって言ってました」
一口チキン南蛮を齧るとじゅわっと鶏肉の旨味が口の中に広がる。上にかかっているタルタルソースと相性が抜群に良く、ご飯が進む。はっきり言ってヘタな中華料理店より美味い。
「あ~宇佐先生言いそう」
2年前まで良規さんも父親の被験者だったので性格を熟知していて納得した顔で頷いている。
「中学からあんな感じだよね彼。ビッチって自己紹介かな?」
綺麗な所作でチキン南蛮を食べながら話す伊月さんは微笑みながらも目の奥が笑っていない。
いやー、原因は俺を理由に根本をあなたが振ったからですよ、という言葉は言わずに飲み込む。これを言ってしまうと良規さんの機嫌がさらに悪くなりそうなので。
「で、神楽はどうなの?」
片眉を上げ黙々と食べる神楽に良規さんが問う。会うたびにこの質問を神楽に投げかける。態度にはあまり出さないが、良規さんなりに気にかけているらしい。
「Ωとβばかりすり寄って来て正直疲れます」
「神楽イケメンだから仕方ないよ。薬学棟出ると待ち伏せされてる事あるよな」
「ふうん」
次男とはいえ有名企業のお坊ちゃんなのでお近づきになりたいβや、番ってもらおうとするΩが寄って来る。αが来ないのは自分より神楽の方がスペックが高く、αとしてのプライドが邪魔をして話しかけられないのと医学部と薬学部が他の学部棟から離れているからだろう。
「あまり酷いようなら俺に言いなよ、ガツンと言ってやるから」
「いえ、良規さんに迷惑かけれません」
「良規の好きなようにさせてあげてほしいな。神楽も知ってるでしょ、そういう質なんだから諦めて」
「そうそうお兄さんに任せなさい!」
「……じゃあその時はお願いします」
困った顔の神楽に満面の笑みの良規さん。めっちゃいい笑顔だ。
しかしふふっ、と笑う伊月さんに嫌な予感がする。
「良規が神楽を守るなら僕は瀬名を守るよ」
「えっ?」
「だっ、ダメです!セナは俺が守るんです!」
慌てて俺をぎゅーぎゅーに抱きしめる力が強くて苦しいんだけど!神楽、お前の胸筋は今凶器になってるぞ!
でも俺も伊月さんに守られるのは勘弁願いたい。だって普段ボサボサヨレヨレなんだぜ?隣に眩しいキラキラ王子様がいたら目立ってしょうがない。何?格好をきちんとすればいい?だよねー、ってなるかい!この格好だから余計なαが寄って来ないんだよ!断じて面倒だからではない!……よ?(汗)
「良規さんも何か言ってくださいよ!」
「えー」
口を尖らせて不満を露わにするが、神楽が俺の項に頭を寄せぐりぐりするのを見てため息を吐く。
「伊月程々にな」
「「そうじゃない!!」」
違う、違うよぉぉぉ!俺に近づくと寝取ろうとしてくるヤツがいるんだよぉぉぉ!
「良規さん分かってますか⁉俺に近づくと伊月さんが根本に狙われますよ!しかも中学の時に振られてるから躍起になって露骨に寄って行くと思います。いいんですか⁉」
良規さんは伊月さんが唯一傍に置く人だ。αにとってその行為は特別であり、他人が口を出せるものではない。良規さんだってそうだ。
なのに2人別々に違う相手の傍にって。
「それにさっき神楽にまで色目を使ってたんですよ。だから……ひぃっ!!」
やべ、これ言っちゃいけない事だったようだ。良規さんの顔が険しくなり、負のオーラが見える気がする。
「あんのクソガキ一度キュッとしておくか」
良規さんが悪い顔してエアで喉仏をキュッとする仕草をするのを見て神楽と抱き合いながら震えてしまう。怖すぎるから美人がそんな仕草をしてはいけません!
「うーん……だったら余計に2人をほっとけないよね。そうだ、2人共僕のマンションから通いなよ」
「「え゙!?」」
「あっ、それいいかも」
「いや俺達被験者専用の寮にいてセキュリティも万全だし……」
「そもそも神楽は被験期間が終わって寮を出ないといけないよね?それに瀬名もあと2ヶ月後には被験期間終わるじゃない?うちのマンションはセキュリティやΩのサポートが万全だしいいよね?大丈夫、宇佐先生には話を通すから」
あ、これα特有の「決定事項だから」だ。確かに被験者専用の寮は被験期間が終われば出て行かなければいけない。しかしそれは年度末までにすればいいのであってすぐ出なければいけない訳ではない。それに俺は実家に帰るつもりでいた。だって俺、生活能力皆無だもん。
「俺料理も洗濯も出来ませんよ」
「知ってるけど」
「部屋だって汚す方が得意ですよ」
「大丈夫、お手伝いさんがいるから」
「ちょっと待って!部屋にお手伝いさんが付属でいるの⁉」
「普通いるでしょ」
「いるね」
「うん」
こてりと不思議そうに首を傾げる伊月さん達。え、そういうもんなの?一般家庭のうちは母親が全てやってるんですけど?
「そういや俺以外いいトコのお坊ちゃん達だったわ……」
俺と3人の常識が違ったわと脱力してしまう。共通の常識って少なそうだな。
「よし善は急げだ、宇佐先生に話に行くぞ!」
「宇佐先生たのもー!!」
研究室にある父親の部屋のドアを破壊する勢いでバーンと良規さんが開ける。ホントこの人は見た目と行動のギャップがエグい。
「やあ良規くんどうしたの?」
愛妻弁当を食べていたらしい父親が俺達を見て驚きもせず呑気に食べ続けている。
「三波瀬名を伊月にやってくれ」
「いいよ」
「え゙」
待て待て、「お菓子ちょうだい」「いいよ」ってくらいあっさり会話を終わらせるんじゃない!父さんも弁当を食べ続けてんじゃねぇ!
「あー、でも瀬名はまだデータ取ってるんだよねぇ。あと1回データ取るまでは我慢してほしいなぁ」
おい我慢って何だよ!って察するけどな!
「7年待ったんです、あと2ヶ月待つくらい難ないですよ」
「じゃあ大丈夫か。伊月くん瀬名を宜しくね」
「お任せください」
ちょいちょい、俺を置いてけぼりで話を進めるんじゃない!
「待てよ、みんな勝手に話を進めるな!父さんも軽すぎ!息子の身を簡単に渡してんじゃねぇ!」
「瀬名」
「なんだよ」
困った子だねぇと言わんばかりの表情の父親に手招きされ、顔を寄せる。
「あのね、実は花ノ宮家と遠野家からたくさん研究費貰ってるんだよ。だから僕に拒否権ないんだよねー。という事でガンバ☆」
父親に売 ら れ た !
「大丈夫、伊月くんと良規くんまだ童貞処女だから」
だから安心してと下手くそなウインクをするんじゃない!そりゃ22にもなってαの童貞は珍しいけど安心する要素ではないからな!つーか余計な情報を寄こしやがってどんな顔して2人を見ればいいんだよ!
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