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学園祭編

言い訳だがな!

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 話のキリの都合で短めになっております。




 二学期が始まってからの1週間、生徒会の会計は本当に大変だった。

 各クラスや有志からの予算申請、広場に出店する店の交渉、講堂で行われる催し物の予算割りなど多岐に渡り書類が飛び交う。それをしっかり把握し、作業をこなす相沢さんは凄かった。何が凄いってどんなに忙しくてもチャラさが失われない事。真面目にやるとストレスが溜まるかららしいけどチャラチャラやっているのに仕事は正確で早いとか凄すぎだろ。

 オレはというと相沢さんが作成した書類の仕分けや各教室に届けたりしていた。その際、2人目の転入生である菅原がやたらチラチラ見てきてたけど気付かないふりをした。言いたい事がありそうなのに菅原はオレに近づかないんだよな。

 今日は1階の1年生の教室から書類を配り始める。2階が終わり、3階に上がると階段の手前の教室からクラス委員長に書類を渡していく。次はこことドアを引くと、そこには浅く椅子に座り背もたれにより掛かりズボンのポケットに手を突っ込んでメンチを切っているガラの悪い人がいた。

「⁉ま……MANAたん⁉」

 おっと、ガラの悪い人はオレのブランド「MAMA-CA」のディープでコアなファンの樫木竜司さんでした。竜司さんには立花のフェロモン対策の為にスター製薬の抑制剤を貰ったんだよね。それのおかげで新しい抑制剤を作れたから竜司様々だ。

「こんにちは~クラス委員長いますか?」

 にこやかに言うと「おい、委員長どこだ!」「どっか行っていません!」「MANAたんがお呼びだ!探せ!」「「はいっ!!」」とオレと話す時のほにゃほにゃした感じは鳴りを潜めヤンキー全開で他の生徒に指示を出している。

「あー…竜司さん竜司さん」

「おわっ、MANAたんが俺の名前を……⁉」

 おっ、さっきの棘々しいのはどこ行った?

「この書類を持って来ただけだから。竜司さんから渡しておいてくれるかな?」

「もももももモチロンです!!」

 何故か直立不動になった竜司さんに書類を手渡す。そんな竜司さんの姿を見た周りは唖然としている。緊張気味に受け取った竜司さんは胸に書類を抱き……握り締めた!!ちょっ、力入れ過ぎてぐしゃってなってる!ぐしゃって!一応大事な書類なんだけどそれ。

 それを見てあわあわしていると「そういえば……」とある噂を話してくれた。その噂というのは「姫川愛加が幼なじみを隣に置いているのに会長まではべらせてようとしていてそれに邪魔な会長のお気に入りの転入生を虐めている」というものらしい。

「なんか凄い噂だね」

「そうなんですよ!二宮にのみや出身の奴らが「MANAたんとコウは『運命の番』で会長の帝はその2人を中等部の頃から可愛がっている」って言ってたんでそれを知っている奴は信じてないですが……その関係性を知らない奴らは信じてるみたいです」

 確かに知らない奴は鵜呑みにする噂だな。

「それっていつくらいから噂が流れたのかな?」

「ほわっ、MANAたんかわっ……確か夏休み明けですかね」

 こてりと首を傾げ上目使いで見るとまた竜司さんの語彙がおかしくなってる。
 噂は……まあそうだよな。オレと宏太は5月から学校を休んでたから噂が流れるとしたら最近になるよな。

「俺の方でも噂を消すように動きますが3年ここまで流れて来るって事は学校中に広がってるって事なので気を付けてください」

「うん、ありがと。必ず親衛隊と一緒に行動するね」

 心配そうな竜司さんにお礼を言って他の教室に書類を渡し生徒会室に戻る。
 さっき聞いた噂話を話すと皆んな知っていたらしく、耳にする度否定はしてくれていたらしい。

「ちょっと噂の周り具合が早すぎますよね」

 一ノ蔵さんが考え込むように腕組みをしている。
 確かに噂がよく回るとしても夏休み明けてから1週間で全学年に行き渡るのはおかしい気がする。

「姫川くんは今年入学式当日に親衛隊が結成されたり、食堂で騒がれたり目立ってるから反感も買いやすい。本当1人にならない方がいいですよ」

 まーね、秋田鈴音の件もそうだけど立花に絡まれたり何かと目立っているのは確かだ。でも食堂の件はチカのせいだけどな!

「一ノ蔵さん心配ありがと。普段宏太が一緒だし親衛隊の人もついてるから大丈夫だよ!」

 ―――――――と本気で思ってた時がさっきまでありました。

 いやまさかだよ?そんな話した後すぐあると思わないじゃん?しかもトイレから生徒会室に戻る時に連れ去られるとは誰も思わないだろ。だって生徒会室や委員会の部屋がある廊下の入口には親衛隊がいるし、放課後のこの時間誰か廊下に出て来る可能性だって高い。それなのに連れ去られるオレって……

 でもさ、まさかあの人が連れ出すなんて微塵も思わなかったんだよね。
 言い訳だがな!




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 登喜「登喜でーす」
 有喜「有喜でーす」
 登喜「いきなりだけど今日は生徒会役員の机の中身をチェックするよ!」
 有喜「わーパチパチパチ」
 登喜「まずは一ノ蔵ちゃん」

 ごそごそ・・・

 登喜「筆記用具だけだねー」
 有喜「真面目な彼女らしいねー」
 登喜「次は今いない副会長の引き出し」

 ごそごそ・・・ごそごそ

 有喜「ポケットティッシュ何種類も出てきたんだけど」
 登喜「そういえば鼻かみ用とか用途によって使い分けてたね」
 有喜「なんかキモい」
 登喜「キモいね」
 有喜「捨てとこ」

 ポイポイポイ

 登喜「次エイトくん」

 がさごそ・・・パタン・・・

 登喜「あー・・・」
 有喜「んー・・・」
 登喜「必要だね」
 有喜「うん、必要だよね」
 登喜「でもここに入れとく必要性って・・・」
 有喜「持ち歩いてるやつが無くなった時の補充?」
 登喜「いつ無くなるかは知りたくないね」
 有喜「ないない」
 エイト「教えようか?」
 登喜有喜「「コ○ドームの使う場所は寮だけにして!!」」
 エイト「えー」

            続く
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