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うっかり渡っちゃった編
玉藻、元の姿に戻る
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「えっと、神様でも怒られるものなのでしょうか?」
疑問に思うのは仕方ない。人々の想像する神は全知全能なのだ。
「そりゃ何かしたら怒られるでしょ。人と同じよぉ」
ケラケラと笑うアマンベールにいまいち納得出来ない3人。ちょっと信仰心が減ったようだ。
「まあそれは置いといてもう一つの目的は14年後に来る魔族襲来の為よ」
「「魔族襲来」」
王と教皇が身を乗り出すが、ジークフリートはスタンピードが何なのか分かっておらず、2人の勢いにびっくりしている。
「そう、スタンピード。前は私の時だったからそれから2000年経つわね。それを対処させる為に渡りがあったって事」
2000年前、アマンベールがこの世界に渡った目的は魔族襲来を退け争いを終結させる事と、荒れた大地を緑豊かにする事が課せられていた。
そして今回は魔族襲来の終息が主な渡り理由だ。ジークフリートの番は「強い絆があった方がやり易そうやん」という神の気まぐれ的なやつなので、いくらちょっとガサツな所があるとはいえアマンベールも番はついでなのだとさすがに言えない。
「アマンベールよ、前回とは大分違いますな」
教皇の言う「大分」とは争いの真っ只中にアマンベールがこの世界に来た事を指している。
「前回は特例なのよぉ。この世界の創造神が「あ、やべ、ヘルプ!」って渡りをお願いしてきた時期が遅かったから」
どうやらこの世界の一番偉い神もやらかしていたらしい。それを聞いた教皇の信仰心が結構減ったようだ。
しかしぶっちゃけすぎではないかアマンベール。
「今回は自分達でなんとかする為に前もって話してるのよ。渡りはサポート役って所かしら」
「それは女神のお告げと受け取って宜しいのでしょうか?」
「もちろん、14年あるんだからしっかり準備してね~」
王が帰ったら臣下を集め話し合わないとと考えを巡らせ、教皇は各教会に事の次第を周知させねばと急ぎ部屋を出て行く。
「あの・・・・・・」
「なあに?」
「タマモは間違ってこちらの世界に来たという事はすぐ帰ってしまうと言う事ですか?」
ジークフリートがおずおずとアマンベールに気になっていた事を聞く。ジークフリートとしては玉藻に残ってほしいのだ。
「あー、んー、それね、、、」
妙に歯切れが悪いアマンベールに一抹の不安が押し寄せる。
「そうしてあげたいんだけどねぇ。創造神が玉ちゃんの強さに目を着けて「スタンピードが終わったら帰す」って今ゴネてるからそれまでは居ると思うわよ。後は玉ちゃん次第ね。王子が玉ちゃんに居て欲しいなら頑張りなさい」
「はい!」
玉藻が居なくなるかもしれないと聞いた時は、目の前が真っ暗になってしまったジークフリートだが、この世界に残ってもらえるように頑張ろうと決意する。
まずは餌付けか?と考えるあたりはまだまだ子供である。
「女神アマンベールよ、ご相談があるのですが・・・・・・タマモなのですが、子狐のまま元に戻らないのです」
王が本来の目的の一つを思い出し、アマンベールに玉藻が急に子狐の姿になり、元に戻らないと話す。
「ああ、だからこの姿なのね。玉ちゃんくらいの子は上手く自分の意思で戻れないのよね。分かったわ、私が戻してあげる」
そう言うとアマンベールは玉藻を持ち上げ、手に神力を纏わせると光り玉藻を覆うように広げていく。その光が玉藻を見えなくしたと思ったら大きく膨らみ、小さな子供の形になっていく。
「アマメちゃん!」
ガバッとアマンベールに抱きつくそれは光を失っていくにつれ、さらさらとした白銀の髪にケモ耳と9本の尻尾を持つ姿が出てくる。
「タマモ!・・・・・・⁉」
嬉しくて駆けて行こうとしたジークフリートがある事に気付きフリーズする。
「アマメちゃんひさしぶり!」
「玉ちゃん相変わらず可愛いわね。でもチン!チンがペタペタくっくいてるから!チンがーーー!!」
そう、元に戻った玉藻はスッポンポンでアマンベールの顔に張り付いていたのだ。
「チンーーーーー!!」
疑問に思うのは仕方ない。人々の想像する神は全知全能なのだ。
「そりゃ何かしたら怒られるでしょ。人と同じよぉ」
ケラケラと笑うアマンベールにいまいち納得出来ない3人。ちょっと信仰心が減ったようだ。
「まあそれは置いといてもう一つの目的は14年後に来る魔族襲来の為よ」
「「魔族襲来」」
王と教皇が身を乗り出すが、ジークフリートはスタンピードが何なのか分かっておらず、2人の勢いにびっくりしている。
「そう、スタンピード。前は私の時だったからそれから2000年経つわね。それを対処させる為に渡りがあったって事」
2000年前、アマンベールがこの世界に渡った目的は魔族襲来を退け争いを終結させる事と、荒れた大地を緑豊かにする事が課せられていた。
そして今回は魔族襲来の終息が主な渡り理由だ。ジークフリートの番は「強い絆があった方がやり易そうやん」という神の気まぐれ的なやつなので、いくらちょっとガサツな所があるとはいえアマンベールも番はついでなのだとさすがに言えない。
「アマンベールよ、前回とは大分違いますな」
教皇の言う「大分」とは争いの真っ只中にアマンベールがこの世界に来た事を指している。
「前回は特例なのよぉ。この世界の創造神が「あ、やべ、ヘルプ!」って渡りをお願いしてきた時期が遅かったから」
どうやらこの世界の一番偉い神もやらかしていたらしい。それを聞いた教皇の信仰心が結構減ったようだ。
しかしぶっちゃけすぎではないかアマンベール。
「今回は自分達でなんとかする為に前もって話してるのよ。渡りはサポート役って所かしら」
「それは女神のお告げと受け取って宜しいのでしょうか?」
「もちろん、14年あるんだからしっかり準備してね~」
王が帰ったら臣下を集め話し合わないとと考えを巡らせ、教皇は各教会に事の次第を周知させねばと急ぎ部屋を出て行く。
「あの・・・・・・」
「なあに?」
「タマモは間違ってこちらの世界に来たという事はすぐ帰ってしまうと言う事ですか?」
ジークフリートがおずおずとアマンベールに気になっていた事を聞く。ジークフリートとしては玉藻に残ってほしいのだ。
「あー、んー、それね、、、」
妙に歯切れが悪いアマンベールに一抹の不安が押し寄せる。
「そうしてあげたいんだけどねぇ。創造神が玉ちゃんの強さに目を着けて「スタンピードが終わったら帰す」って今ゴネてるからそれまでは居ると思うわよ。後は玉ちゃん次第ね。王子が玉ちゃんに居て欲しいなら頑張りなさい」
「はい!」
玉藻が居なくなるかもしれないと聞いた時は、目の前が真っ暗になってしまったジークフリートだが、この世界に残ってもらえるように頑張ろうと決意する。
まずは餌付けか?と考えるあたりはまだまだ子供である。
「女神アマンベールよ、ご相談があるのですが・・・・・・タマモなのですが、子狐のまま元に戻らないのです」
王が本来の目的の一つを思い出し、アマンベールに玉藻が急に子狐の姿になり、元に戻らないと話す。
「ああ、だからこの姿なのね。玉ちゃんくらいの子は上手く自分の意思で戻れないのよね。分かったわ、私が戻してあげる」
そう言うとアマンベールは玉藻を持ち上げ、手に神力を纏わせると光り玉藻を覆うように広げていく。その光が玉藻を見えなくしたと思ったら大きく膨らみ、小さな子供の形になっていく。
「アマメちゃん!」
ガバッとアマンベールに抱きつくそれは光を失っていくにつれ、さらさらとした白銀の髪にケモ耳と9本の尻尾を持つ姿が出てくる。
「タマモ!・・・・・・⁉」
嬉しくて駆けて行こうとしたジークフリートがある事に気付きフリーズする。
「アマメちゃんひさしぶり!」
「玉ちゃん相変わらず可愛いわね。でもチン!チンがペタペタくっくいてるから!チンがーーー!!」
そう、元に戻った玉藻はスッポンポンでアマンベールの顔に張り付いていたのだ。
「チンーーーーー!!」
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