白銀の狐は異世界にうっかり渡り幸せになる

ネコフク

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うっかり渡っちゃった編

神まためっちゃ怒られる

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 肩叩き棒の事でみんなに責められるもどこ吹く風、用意されていたお茶をのほほんと啜る神。

 ここで全身輝いているお前の口はどこなんだと突っ込んではいけない。光って見えないだけであります、実体。

「もう肩叩き棒そのことはええやん。今は玉藻をどうするかの話をせなあかんとちゃうの?」

「ぐぅ・・・・・・もっともな事を言われてしまった」

「主神のくせに」

「ああ、主神のくせにな」

「こらこら、敬ってぇな。君ら扱い酷いで」

 敬ってほしいなら他の神々のように威厳かつ完璧な姿を見せろよとは思っても誰も言わない。無駄だから。

「不測の事態で異世界に直接介入出来ないのは痛いな」

「制約の見直しも必要だ」

「改編を今度の集まりで提案するか」

「それはいいが今は緊急だぞ。呑気に待ってられん!」

 つい話が逸れそうになり、苛立ちげに安寿が円卓を叩く。

「難儀な制約やなぁ」

「「「お前が作ったんだろ!」」」

「しかも強制力強めやがって」

「せやかて我やお前らが好き勝手に手ぇ出したらあっちの神さん達困るやろ」

 それはそうだ。神域に住む神や七使いの長が、気分で他の世界をかき回したりする"場荒らし"を防ぐ為の制約なのだ。その制約が無い時に散々荒らされた神々の要請で出来たとも言える。
 ただ、神によって強制力を強めた結果、手が出せない状態になっているのだが。あの時もっと軽い罰にしておけば良かったものをと今更だけれど。

「ああ・・・・・・こうしているうちにうちの玉ちゃんが・・・」

「わかるぞ。私の息子の華炎と龍神族の黒曜と玉藻は特に皆可愛がっていたからな」

「そうだな、それに華炎と黒曜は玉藻と仲が良かったからこれを聞いたら荒れそうで恐ろしいよ」

 龍神族の長、こうが想像してぶるりと体を震わせる。3人のうち玉藻だけがおっとりとした性格で、他は良く言ってなのだ。しかも2人共庇護欲全開で玉藻を大事にしていたので、神がうっかり異世界へ渡らせたと知ったら・・・・・・である。

 (まだ神が居ない世界の一つで暴れさせるか・・・・・・)

「そうや」

 華炎と黒曜の暴れ先を紅が考えていると、神が良い案浮かびましたばりに手を打つ。

「制約があるから直接そこの世界に介入できないけど、手段はあるよ」

「何⁉それはどんな手段ですか⁉」

「それはな、そこの創造神にお願いすればいいやん。で、創造神が玉藻の近くにいる神に話してそこから神の声を聞ける者に伝える。謂わば伝言ゲームみたいなものやな」

「なるほど・・・・・・」

「そういえば炎舞のとこの奴が玉藻が渡った世界で生き神をしていなかったか?」

雨女あまめか。確かもう1000年ほど経っているがまだやっているはずだ」

「雨女の加護がある場所に魔法陣を設定していたはずだから創造神に頼んで雨女に保護してもらうか」

「そうだな、渡るはずだった夕凪の目的も話しておかないとな」

「前は急げだ、申請書類書いてくる!まってて玉ちゃん!」

 安寿と金剛は神獣へと姿を変え走り去って行く。ヒト型で走るよりも速いからだ。

「で、神」

「なんや」

「後出し過ぎでは?」

「いやぁ、本当はもっと早く思い出してん。でもみんなヒートアップしてたし?それに何回も経由して伝えるの面倒やん。さらに伝わるのに時間かかるやん?ダルって思ってしもうてなぁ」

「こうやって出ない策をずっと考えてる方が時間のムダです!」

「いや神域ここ時間無い世界やんな」

「そういう問題じゃねぇ」

「こうやっているうちにも捌く書類が増えていくんです!」

「息抜きできていいやん」

「全く息抜きになってないし」

「・・・・・・さてはサボる気満々で後出ししたな?」

「(ギクリ)」

「おい、神を捕まえろ!椅子に縛り付けて徹夜で書類を捌かせるぞ!」

 素早い連携で長達に取り押さえられ執務室に連行されていく神。廊下ですれ違う者達はギョッとしながらもああ、いつものやつかとその光景を見やる。

「殺生な~我いっぱい睡眠取らないと肌が荒れちゃう」

「光って見えないから大丈夫だ」

「そんな~」
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