知らぬはヒロインだけ

ネコフク

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十五話

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「そろそろアイツに退場してもらいてぇ」

 いつもの4人しかいない生徒会室で愚痴をこぼすのはミハエル。芸術祭のイベントを失敗してから登下校を見計らい接触を図ってくるアリサに渋い顔をしている。

「時期的に市井しせいでデートしてその攻略対象者キャラクターの瞳の色の指輪を買って貰うミニイベントをこなしたいんだよ」

「あー、だから「私とデートしたいですよねぇ~」や「お揃いの指輪欲しいなぁ~」とか言ってたのか。お前とデートなんかするかボケェ!!」

「ミハエル様お口が悪いですわよ」

「だってあーたんアイツキモいんだもん」

 ここぞとはかりにアラベラに抱きつきスリスリと豊かな胸に顔を擦りつけるミハエル。やはりとんだエロ王子である。

 ゲームでは2年間かけて攻略対象者と仲を深めていくのだが、半年以上経っても誰一人として相手にされず焦ってきたのかクエスフィールとミハエルに焦点を絞り接触してくるようになったのだ。

「ハーレムルートを狙っているもんだと思っていたけど、無理そうだから推しに絞ってきたのかなぁ」

 前世の記憶でアリサの推しはクエスフィールとミハエルだと知っているクエスフィールは顔を単語顰しかめる。前世で親友と一緒にストーカーの如く付きまとわれた経験があるのでその勢いで来るのではないかとウンザリするも、アリサの実家である男爵家は馬車はあれど父親が使う為、登下校は乗り合い馬車を利用している。高位貴族や王族の4人は家の馬車で学院に通っているのでつけられる可能性は無いと安堵する。

 この世界に電車やタクシーが無い事に不便を覚えるも、この状況では無かった事にクエスフィールは感謝した。

 それにアリサは単位を落としたり授業をサボっているのでミハエルの・・・・・・いや、ここにいる4人の希望通りに事が進みそうでこれからの事を思いクエスフィールは笑みを深くする。
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