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番外編
返り討ちにしてやんよ(大学編) 前編
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卒業式も終わり4月から俺は内部進学し、青藍と緋色と同じ大学へ通っている。学部を決めかねていたら同じ学部にしてほしいと言われ経営学部にした。まあモデル以外に母親の個人事務所も手伝う話が出てたから何の不満はない。
不満はないけど悩みならあるんだよな。
「ちょっとシーマよっ!」
「セイとヒイロも一緒なんて眼福!」
「ここの大学しにて良かった~」
「話しかけてみようか」
「それはダメっ、抜けがけしたって周りから全力で睨まれるからやめときなって!」
はい、これです。これが学生生活を悩ませる素です。
モデルの仕事をしているのである程度は騒がれるとは思ってたけど、食堂やカフェだけじゃなく図書室ですらウルサイ。原因は女生徒だ。あっち行ってもキャーキャー、こっち行ってもキャーキャー。
主に騒いでいるのは内部進学ではない生徒。大学からは女子も入学できるので覚悟はしていたけど入学早々これじゃあな……
何度か青藍や緋色がやんわり注意したけど、注意したらしたで余計騒がしくなったので無視する事にした。
高校でも騒がれたけど風紀や親衛隊がいたのが大きかったんだと実感している。
まあ、騒ぐだけで近寄って来ないので良しとする。過去の事件以来、一番苦手な年代だから寄って来られたら逃げるぜ俺は。
「話には聞いてたけどこれほどとは……」
「いや、去年はそこまでではなかったな」
「志摩がいるから余計だと思う」
「うげー」
もう少し時間が経てば落ち着くのかもしれないけど、俺たちの席の周りだけ席が埋まり、ガン見されたり耳をそばだてている女子ばかりでウンザリする。
「できるだけ一緒にいるが学年が違うからな。俺たちがいない時でも志摩は1人で行動するなよ」
「分かってるって!その為のいっちーだもんね!」
心配する2人にババーンといちるを指す。高校ではオカン智也が常時ついてたけど同じ大学とはいえ体育学部に進学した智也は、昼休みくらいしか一緒にいれない。そこで白羽の矢が当たったのがいちるだ。俺の誘いと緋色の圧力により同じ学部へ進学したいちるが常に俺の隣にいる。まあ本人は「データサイエンスが学べるトコならどこでもいいしね~」と言ってたのでよしとする。
「小遣い分働けよ」
「分かってるって」
どうやら俺を守る約束で小遣いアップされているらしいいちるは良くやってくれていると思う。
「シマ無事かー!!」
ドンという背中の衝撃と共に体を智也に抱き締められると周りから黄色い声が響く。背中の動悸から体育学部から離れているココまで走ってきたようだ。
「うっ……苦しいから離せ」
ぺしぺしと腕を叩くと俺の体を離し空いている席に座る。高校では当たり前の行動だけど大学では知らない生徒の方が多いので、従兄弟同士のふれ合いも別な方に捉える人間も多いのを智也に分かってほしいが無駄だろう。だって智也だからな!
「あ~イケメンが1人増えて俺の肩身が狭いわ~」
ぐびぐびとペットボトルの水を飲む智也を見ながらおどけて言ういちるだけど、少しツリ目の切れ長の瞳に整った顔は全方位好かれそうな雰囲気と合わさって高校の頃から人気があるのだ。ただ青藍や緋色の美貌に隠れて目立たなかっただけなんだよ。
5人揃ったので各自携帯のアプリからテーブル番号を入力し昼食の注文をする。このアプリは大学独自のアプリで食堂やカフェの注文から大学構内のコンビニやスーパー、生協の支払いや授業の出欠確認、講義の管理などできる大変便利なアプリなのだ。なので携帯忘れた時は目も当てられないけどな。
「あら、青藍様緋色様ご機嫌よう」
「げっ」
来ました、今一番悩ませる元凶が。2年の真鍋ゆりなと加賀野咲希とその取り巻きである。
2人共青藍と緋色が入学した時から惚れたらしく、無視しようが塩対応しようがめげずにアプローチをしているらしい。じゃあ強く拒絶すればいいじゃんって思うけどこの大学、高校と同じで良いトコの子供が揃っていて家のしがらみがあるらしい。青藍と緋色の家は気にするなと言ってくれているけど、会社を立ち上げるまでは余計な波を立てたくないので我慢しているところだ。うーん、世知辛い。
そんなお嬢様たちは毎回カツカツとヒールを鳴らしながら近寄って来るので床で滑って転ぶか足をぐねってくれないかなー?といつも思っている。
「緋色様、今月の雑誌見ましたわ。とても素敵でした!」
「青藍様も色気があって惚れ惚れしましたわ」
うっとりとしながら話しかけているが、青藍と緋色は丸無視なので端から見たら「独り言?」である。
無視されても話し続ける2人をバカみたいだなーと見ていると睨まれてしまった。
「あら金魚のフンさんこちらを見ないでくださる?」
その一言で周りがざわつきテーブルに座っている3人から殺気のような重い空気が流れる。1人だけニヤニヤしているのがいるがな。
そんな空気も読まず青藍と緋色に付きまとっているだとか優しい2人はそれを言い出せていないだけだとかペラペラと喋っている。まあ俺の事は興味無いみたいだしダサメガネかけてるから余計見た目を貶されるけど俺も彼女らには興味無いので気にしない。
「ふん、どうせその程度の顔なんだから雑誌は加工しているのではなくて?」
カッチーン。
「自分たちが化粧で顔加工してんのによく言うよ」
「はあ?私は化粧落としたって美人なのよ!あんたなんか化粧したってオカマになるだけでしょ!」
顔を真っ赤にして反論する2人は確かに美人の部類だと思う。が、しかーし!家に規格外の美人な母親と姉、ついでに兄がいるからそれと比べると月とすっぽん。薔薇とぺんぺん草だ。
「言ったな。その言葉憶えてろよ」
「はん、金魚のフンの言葉なんて憶えておく必要もないわ。皆さん行きましょう」
勝ち誇ったように去っていく集団にスイッチが入った俺。
「ムカつく。徹底的にブチのめしてやる!」
フンスとポチポチする携帯の画面を見て「容赦ねー」といちるが爆笑している。
「志摩ごめん、俺たちが排除しなかったからこんな事になって悪い」
「いいって。どうやったって俺たち目立つんだ、トラブルなんてどうせそのうちあったって。だったら今叩きのめした方がいいだろ」
「そうだな」
両脇から頭を撫でられつつポチポチと各所にラインをする。
待ってろよ、この顔を貶したのと青藍と緋色に手を出した事を後悔させてやる!
不満はないけど悩みならあるんだよな。
「ちょっとシーマよっ!」
「セイとヒイロも一緒なんて眼福!」
「ここの大学しにて良かった~」
「話しかけてみようか」
「それはダメっ、抜けがけしたって周りから全力で睨まれるからやめときなって!」
はい、これです。これが学生生活を悩ませる素です。
モデルの仕事をしているのである程度は騒がれるとは思ってたけど、食堂やカフェだけじゃなく図書室ですらウルサイ。原因は女生徒だ。あっち行ってもキャーキャー、こっち行ってもキャーキャー。
主に騒いでいるのは内部進学ではない生徒。大学からは女子も入学できるので覚悟はしていたけど入学早々これじゃあな……
何度か青藍や緋色がやんわり注意したけど、注意したらしたで余計騒がしくなったので無視する事にした。
高校でも騒がれたけど風紀や親衛隊がいたのが大きかったんだと実感している。
まあ、騒ぐだけで近寄って来ないので良しとする。過去の事件以来、一番苦手な年代だから寄って来られたら逃げるぜ俺は。
「話には聞いてたけどこれほどとは……」
「いや、去年はそこまでではなかったな」
「志摩がいるから余計だと思う」
「うげー」
もう少し時間が経てば落ち着くのかもしれないけど、俺たちの席の周りだけ席が埋まり、ガン見されたり耳をそばだてている女子ばかりでウンザリする。
「できるだけ一緒にいるが学年が違うからな。俺たちがいない時でも志摩は1人で行動するなよ」
「分かってるって!その為のいっちーだもんね!」
心配する2人にババーンといちるを指す。高校ではオカン智也が常時ついてたけど同じ大学とはいえ体育学部に進学した智也は、昼休みくらいしか一緒にいれない。そこで白羽の矢が当たったのがいちるだ。俺の誘いと緋色の圧力により同じ学部へ進学したいちるが常に俺の隣にいる。まあ本人は「データサイエンスが学べるトコならどこでもいいしね~」と言ってたのでよしとする。
「小遣い分働けよ」
「分かってるって」
どうやら俺を守る約束で小遣いアップされているらしいいちるは良くやってくれていると思う。
「シマ無事かー!!」
ドンという背中の衝撃と共に体を智也に抱き締められると周りから黄色い声が響く。背中の動悸から体育学部から離れているココまで走ってきたようだ。
「うっ……苦しいから離せ」
ぺしぺしと腕を叩くと俺の体を離し空いている席に座る。高校では当たり前の行動だけど大学では知らない生徒の方が多いので、従兄弟同士のふれ合いも別な方に捉える人間も多いのを智也に分かってほしいが無駄だろう。だって智也だからな!
「あ~イケメンが1人増えて俺の肩身が狭いわ~」
ぐびぐびとペットボトルの水を飲む智也を見ながらおどけて言ういちるだけど、少しツリ目の切れ長の瞳に整った顔は全方位好かれそうな雰囲気と合わさって高校の頃から人気があるのだ。ただ青藍や緋色の美貌に隠れて目立たなかっただけなんだよ。
5人揃ったので各自携帯のアプリからテーブル番号を入力し昼食の注文をする。このアプリは大学独自のアプリで食堂やカフェの注文から大学構内のコンビニやスーパー、生協の支払いや授業の出欠確認、講義の管理などできる大変便利なアプリなのだ。なので携帯忘れた時は目も当てられないけどな。
「あら、青藍様緋色様ご機嫌よう」
「げっ」
来ました、今一番悩ませる元凶が。2年の真鍋ゆりなと加賀野咲希とその取り巻きである。
2人共青藍と緋色が入学した時から惚れたらしく、無視しようが塩対応しようがめげずにアプローチをしているらしい。じゃあ強く拒絶すればいいじゃんって思うけどこの大学、高校と同じで良いトコの子供が揃っていて家のしがらみがあるらしい。青藍と緋色の家は気にするなと言ってくれているけど、会社を立ち上げるまでは余計な波を立てたくないので我慢しているところだ。うーん、世知辛い。
そんなお嬢様たちは毎回カツカツとヒールを鳴らしながら近寄って来るので床で滑って転ぶか足をぐねってくれないかなー?といつも思っている。
「緋色様、今月の雑誌見ましたわ。とても素敵でした!」
「青藍様も色気があって惚れ惚れしましたわ」
うっとりとしながら話しかけているが、青藍と緋色は丸無視なので端から見たら「独り言?」である。
無視されても話し続ける2人をバカみたいだなーと見ていると睨まれてしまった。
「あら金魚のフンさんこちらを見ないでくださる?」
その一言で周りがざわつきテーブルに座っている3人から殺気のような重い空気が流れる。1人だけニヤニヤしているのがいるがな。
そんな空気も読まず青藍と緋色に付きまとっているだとか優しい2人はそれを言い出せていないだけだとかペラペラと喋っている。まあ俺の事は興味無いみたいだしダサメガネかけてるから余計見た目を貶されるけど俺も彼女らには興味無いので気にしない。
「ふん、どうせその程度の顔なんだから雑誌は加工しているのではなくて?」
カッチーン。
「自分たちが化粧で顔加工してんのによく言うよ」
「はあ?私は化粧落としたって美人なのよ!あんたなんか化粧したってオカマになるだけでしょ!」
顔を真っ赤にして反論する2人は確かに美人の部類だと思う。が、しかーし!家に規格外の美人な母親と姉、ついでに兄がいるからそれと比べると月とすっぽん。薔薇とぺんぺん草だ。
「言ったな。その言葉憶えてろよ」
「はん、金魚のフンの言葉なんて憶えておく必要もないわ。皆さん行きましょう」
勝ち誇ったように去っていく集団にスイッチが入った俺。
「ムカつく。徹底的にブチのめしてやる!」
フンスとポチポチする携帯の画面を見て「容赦ねー」といちるが爆笑している。
「志摩ごめん、俺たちが排除しなかったからこんな事になって悪い」
「いいって。どうやったって俺たち目立つんだ、トラブルなんてどうせそのうちあったって。だったら今叩きのめした方がいいだろ」
「そうだな」
両脇から頭を撫でられつつポチポチと各所にラインをする。
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